aotearoa /「長く白い雲のたなびく国」の名前の由来

Cooper Island (High & Left of Center) & Long Island (RHS)

Kia ora koutou

すでに知っている方も多いと思いますが、New Zealand ( ニュージーランド ) は、マオリ語で Aoteaora ( アオテアロア ) と呼ばれます。
ao は雲、tea は白、roaは長い という意味で、aotearoa は「 長く白い雲のたなびく国」と訳されます。

ではどうしてマオリ語で Aotearoa 「長く白い雲のたなびく国 」と呼ばれるようになったのか、ここで解説します。

 

名前の由来にはいろいろな説がある

 

Aotearoa / 長く白い雲のたなびく国 の名前の由来は、マオリ族に古くから言い伝わる話がもとになっています。マオリ族の間に文字が普及したのは17世紀に入ってからと比較的最近のことで、それまではすべて口語もしくは彫刻のモチーフで伝承されていました。aotearoa の名前の起源も例外ではなく、このため全国各地で様々な説が唱えられています。

 

有力説:ポリネシア諸島から巨大タコを追って来たkupeの妻の言葉

 

幾つかある説の内、もっともよく知られいるのが、ポリネシア諸島から巨大タコを追って来たkupeの妻の言葉を起源とする説です。

その昔、Hawaiki ( ハワイキ )と呼ばれていた ポリネシア諸島 ( クック諸島、ソサエティ諸島、タヒチなどを含む)の酋長 Kupe ( クぺ)が漁に出ようとした時に、Kuramarotini(クラマロティニ)という名の女性に一目ぼれし、さらって島からカヌーで逃げます。逃げている最中に色々な怪物に出くわし退治しますが、Te Wheke – a Muturangi ( 略称フェケ)と呼ばれる巨大なタコを追って大航海を始めます。長い船旅の途中、Kuramarotini(クラマロティニ)が、水平線の向こうに白い雲が浮かんでいるのを見つけて” He ao! He ao!”  「 雲!  雲!  」と言って指さすと、Kupe ( クぺ)は雲の下には陸があるに違いないとその島に上陸し、その上陸した島がのちにaotearoa と呼ばれるようになった。

( 出典:Te Ara Encyclopedia of New Zealand )

 

Tangata O le Moana at Tepapa museum
一説には、
Kupe ( クぺ)のカヌーの名前が Aotearoa 号といい、ニュージーランドに上陸した際、記念としてそのカヌーの名前を付けたとも言われていまが、前述の巨大タコのフェケを追って来た話が有力説だと言えるでしょう。

 

Aotearoa は元々北島だけを意味していた

 

さて、実際にその巨大タコを追ってクペとクラマロティ二が上陸したのは Auckland ( オークランド) 沖  の Great Barrier Island ( グレイト バリア  アイランド ) でした。クペたちは、当初は Great Barrier Island をAotea( 白い雲 )と呼んでましたが、その後 更に細長い形をした大きな島が別に存在することに気付き、長いという意味のroaを付けて、 Aotearoa と呼ぶようになりました。
が、Aotearoaは北島だけを指し、南島は含まれていませんでした。南島を加えたニュージーランド全土が Aotearoa と呼ばれるようになったのはつい最近のことで、18世紀に入ってからになります。
その後、19世に入りニュージーランドの国歌「God Defend New Zealand 」がマオリ語に訳された時に、New Zealand の国名が  aotearoa と記されたことで、全土をaotearoa という呼び方で呼ぶようになりました。

余談:“Te Mana – o – Kupe” 「偉大なるクぺの島」

( Kupe and Te Wheke : © Sid Mosdell via Flickr ) 

余談ですが下の写真に写っている島は、私が住んでいるWellington近郊の島で、Mana  Island ( マナ アイランド )と呼ばれています。
クペはいったん家族をこの島に残して、一人で巨大タコWheke と戦い見事に退治し、後に娘の一人が父親のKupeに畏敬の念を込めて漂着していた島を “Te Mana – o – Kupe” 「偉大なるクぺの島」 と名付けたと言われています。

ちなみに、このMana という言葉は、偉大な、尊厳なという格を表す言葉として マオリ語の日常会話によく出てきます。    

( credit to Ursula Photography )

最後に、個人的な話ですが、どうしてこのブログに「白くたなびく雲の下で」と付けたのか、興味がある方はこちらもどうぞ。

 

Ngā mihi
wonderer

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。