NZ【BUDGET2022】国家予算:年収7ドル以下の人に300ドルの一時金

Kia ora

ニュージーランドでは最近政府が発表した「BUDGET(国家予算)2022」の話題でもちきりです。
特に年収7万ドル以下の人への生活補助費としての300ドルの一時金配当については、今でも喧々諤々論議されているほどです。

この編では「BUDGET(国家予算)2022」全体と、その一時金配当について、それから食料品の物価高騰対策、ファースト・マイホーム購入の促進策を説明します。

BUDGET とは?

 

BUDGET 2022の具体的な内容に入る前に、「最近ニュージーランドのテレビや新聞で見聞きするBUDGETってそもそも何? 」と思っている方へ。

ここでのBUDGET は国家予算のことで、ニュージーランドでは毎年5月中旬迄に予算組が行われれ、内閣府から国民に公表されます。

今年2022年は、5月19日の木曜日に副首相の  Grant Robertson (グラント・ロバートソン)財務大臣により発表されました。

BUDGET 2022 には色々な項目が含まれていますが、中には即刻施行されているものもあります。

* ニュージーランドの内閣府について興味がある方は、こちらも併せてご覧下さい。

 

BUDGET2022 キーポイント

 

そのBUDGET2022では、主に次のような予算組がなされています。

    • 年収7万ドル以下の人へ生活補助金として一時金350ドル支給
    • ガソリン税/道路使用税の引き下げと公共交通機関の半額料金をさらに2か月延長
    • 低所得者層の公共交通機関の半額料金の固定化
    • 食料品の値段高騰対策として、競争販売市場を目指すため早急な法律の改正
    • ファースト・ホーム購入促進
    • 111億ドルを医療分野に投入
    • 生活保護を受けているソロ・ペアレントの育児手当受給に向けてシステムの改正
    • 低所得者層の緊急歯科費用補助を年間300ドルから1000ドルに増額
    • 低所得者層用の26,500戸の家屋に断熱材と暖房設備の備え付け
    • 地球温暖化問題対策として29億ドル
    • 防衛費として6億6千万ドル

詳細は下記の政府のリンクをご覧ください。
https://www.treasury.govt.nz/publications/budgets/budget-2022

年収7万ドル以下に一時金350ドルの配当

 

今回の「BUDGET2022」の目玉は、何といっても年収7万ドル以下の人に対して、生活補助金として一時金350ドルが配当されることです。連日のようにマスコミで議論が交わされていました。

およそ210万人の国民がこの恩恵を受けると見られています。ニュージーランドの人口の45%に該当するので、ニュージーランドにお住まいの読者の中に対象となる人も多いことでしょう。

350ドルの一時金は一括ではなく、8月から3ヶ月の間に渡り支払われ、1週にすると27ドルに相当します。

勿論、この一時金配当の背景にはパンデミックの影響で急激な物価高に喘ぐ国民の生活を救済する目的があります。

「BUDGET2022」を発表した Grant Robertson (グラント・ロバートソン)財務大臣は、この一時金の支給は昨今の物価高に生活が圧迫されている低所得者層と中間所得者層が対象で、高所得者層は対象でないと説明しています。

尚、この一時金支給用として総額8億1千4百万ドルの予算が組まれています。

© Rusty Wallet via Flickr

 

食料品の値段を抑えるための法律改正

 

生活補助の一時金支給に続いて、次は食料品の値段を抑えるための法律改正についてもう少し詳しく説明します。

世界の例にもれず、ニュージーランドでも食料品の値段が高騰しています。この一年の間の食品の値段の上昇率は5.9%、過去10数年で最も高い上昇率を記録しています。

食料品の値段の高騰の主な理由として、NZの食品市場が複占状態(二大業者で占められている)であることが挙げられます。

日本と異なり複占状態のNZの市場で売られる食品は、価格が競争されることなく高い値段のまま取り引きされます。

そこで市場にこの2社以外の業者を参入させ価格競争を起こすことで、食品の値段を下げる目論みです。

具体的には現在この複占大手2社は利益を守るため、規参入業者の土地の購入やリースを拒否する権利を持ってますが、その権利を失くすよう法律を改善することが挙げられています。

ニュージーランドの食品の値段の高騰についてはこちらを。

 

ファースト・ホーム購入助成

 

最後はファースト・ホームの購入の促進策についてです。

昨今の住宅の値段の高騰により、普通の収入ではもはやマイホーム購入は手が届く範囲を超えてしまっているのが現状です。

そこで救済策として、「BUDGET2022」ではファースト・ホーム購入の際は住宅ローンの上限額が取り除かれました。

同時に、ファースト・ホーム購入への国からの助成金の対象となる家の価格も引き上げられます。これにより、現状の相場に応じた家を助成金を使って購入できるようになります。適用されるのは、オークランド、ハミルトン、タウランガ、ウェリントン、クライストチャーチ、クイーンズタウンの都市部で、6月1日より有効です。

尚、助成金はキウィセイバーと呼ばれる年金と同じようなシステムに3年以上加入していることが条件です。

このように住宅ローンの額が増え、助成金の対象となる物件が相場の値段に調整されたことで、毎年一万戸のマイホーム購入が可能になると見られています。

あとがき

 

これまで「BUDGET2022」で発表されたで、もっとも世間を騒がせている項目に絞って紹介てきました。

特に生活補助金の一時金350ドルの配当については、読者の方からも賛否両論が問われることでしょう。

私の地元ウェリントンの新聞に、ある若者が「週27ドルでは一回のウーバーイーツ代にも満たない」と書き込み、話題になりました。
その一方で、食事はできるだけ原料から作ったものを家で摂りさらに野菜と卵は自家供給しているので、週27ドルの補助をとても有り難く思う我が家のようなケースもあります。

個々に状況が違うので、一律に補助金の金額がいくらあったらいいというのは難しいですよね。

昨夜のニュースでは食品市場の競合化を図るだけでは食品の値段を抑えることは無理で、政府が複占業者の卸価格の設定について介入すべきであるという反対意見が出ていました。
全くその通りで、もう少し踏み込んだ策が必要であることは明らかです。

ファースト・ホームの購入については、ここ数か月住宅の値段も下がっていることから、ローン上限額が上がり助成金も増え、若い人たちのマイホーム購入がかなり現実的になっているようです。私の職場の同僚の間でもそういう話がちらほら聞こえてきます。

ニュージーランドの住宅事情についてはいつかまた詳しく書くつもりです。
ご期待のほどを。

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ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。