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日本でも大人気のニュージーランドのワイン。
そのニュージーランドワインにとって今年2024年は当たり年と言われ、これまで以上の良質のワインが期待されています。
また一方でシャルドネーが世界一に選ばれたり、極めつけは日本の天皇皇后両陛下のイギリス宮中の晩餐でニュージーランドのワインが振る舞われたりと、何かと話題に尽きません。
この編ではそのニュージーランドワインについて詳しく紹介します。
ちょっとしたニュージーランドワイン通になりましょう。
目次
1. ニュージーランドはワイン王国
ニュージーランドは日本よりも小さな島国ですが、700以上のワイナリーと呼ばれるワイン生産者、そして600か所以上のビンヤードと呼ばれるぶどう栽培畑が存在します。
そしてほとんどのぶどうはサスティナブルの基準にのっとって栽培されており、質の良いワインが作られています。
ニュージーランドのワイン輸出相手国は100か国以上にのぼり、額にして24億ドル以上、ワインはニュージーランドで6番目に大きい輸出品項目です。
特に白ワインの一種ソーヴィニヨン・ブランは世界の市場の17%を占めます。
〇 背景
ニュージーランドが名実ともにワイン王国である背景には、ニュージーランドの地形と天候が大きく関係しています。
ニュージーランドは涼しい海洋気候と、ぶどう栽培には最適な気候を持っています。
このためぶどうが実を付けている時間が長く、良質のワイン生産に繋がっています。
ニュージーランドには10個所のワイン生産地があります。
北島
Northland(ノースランド)
Auckland(オークランド)
Gisborne(ギズボーン)
Wairarapa(ワイララパ)
Hawke’s Bay(ホークスベイ)
南島
Marlborough(マールボロー)
Nelson(ネルソン)
Central Otago(セントラル・オッタゴ)
Waitaki Valley(ワイタキ・バリー)
North Canterbury(ノース・カンタベリー)
これらのワイン生産地は南緯36°~45°、そして海から 120 キロメートル 内に位置します。
北半球ではフランスのボルドー地方からスペイン(北緯 44°~ 46°)が同じ緯度になります。

(参照 https://www.nzwine.com/en/media/story/intro-to-nz-wine/#:~:text=Wine%20is%20New%20Zealand’s%206th,Zealand’s%20most%20widely%20planted%20variety. )
〇 主なぶどうの種類
理想的な天候と地形に恵まれているニュージーランドでは、様々な種類のぶどうの種類が開発、改良を重ね作られています。
その中でもソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネー、ピノ・ノワールは代表的なワインです。
🍇 Sauvignon Blanc (ソーヴィニヨン・ブラン)
ニュージーランド(NZ)を代表するワインと言えば、Sauvignon Blanc (ソーヴィニヨン・ブラン)になります。ソーヴィニヨン・ブランはNZでもっとも多く植えられているぶどうで、ワインの生産量も全体の2/3を占めます。また、世界市場においてはNZ産は17%を占めます。
NZのソーヴィニヨン・ブランは、他国に比べてフルーティーな芳香で、世界ではトップクラスの質を誇っています。
🍇 Chardonnay (シャルドネ―)
Chardonnay (シャルドネ―)は、ニュージーランドで最も広範囲で栽培されており、メジャーなワイン生産地では主力となるぶどうの種類です。特に北島のホークス・ベイ、ギズボーン、それから南島の マールボロー地方は有名で、それぞれの地域特有のシャルドネーが生産されています。例えば、シャルドネ―の都と言われるギズボーン は柔らかな口当たり、ホークス・ベイは凝縮した濃い味わいで知られています。
🍇 Pinot Noir ( ピノ・ノワール )
Pinot Noir ( ピノ・ノワール ) は、ソーヴィニヨン・ブランに次いで輸出量が多いワインで、世界的に知られている赤ワインです。涼しい温度と少雨を好み、ワイララパ地方のMartinborough (マーティンボロー)や南島の Central Otago (セントラル・オッタゴ)地方で生産されています。ピノ・ノワールはNZのワイン市場においてもっとも画期的なワインと言われており、知名度も売り上げも急成長しています。フルーティーな柔らかいティストが特徴で、ピノ・ノワールの代表とされるフランスのブルゴーニュ地方のものよりは飲みやすく高く評価されています。
ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネー、ピノ・ノワールの他にも Riesling (リースリング)esling, Pinot Gris,(ピノ・グリ) の白ワイン種や、Syrah (シラー)、ボルドータイプの赤ワイン各種が生産されています。

〇 歴史
- 1819年にBay of Islands (べイ・オブ・アイランズ)の土地に、イギリス人宣教師 Samuel Marsden(サミュエル・マーズデン)がニュージーランドで初めてぶどうの木を植えた。が、囲いがなかった為すべて山羊に食べられてしまった。
- 一番最初にワインを作ったのは、当時大英帝国の代理人として派遣された政治家 James Busby ( ジェイムズ・バズビィ)であった。1833年にワイタンギにぶどうの木を植え、1840年に白のシャンパンタイプのワインで客をもてなした記録が残っている。
- 1883年、ワイララパに最初のピノ・ノワールが植えられた。
- 20世紀に入ると、クロアチア、フランスなどのヨーロッパからの移民が商業的なワイナリーを作り、ワイン業界最初の担い手となった。

2. 2024年ワインニュース
〇 シャルドネ―がワイン・オリンピックで世界一に選ばれる
ボルドーやナパに続いて世界で12番目にワインの都に指定されているホークス・ベイは、NZで最もワイン生産の長い歴史を持ちます。
その中でも126年の伝統を持つ老舗である Church Road チャーチ・ロード・ワイナリーの Grand Reserve Chardonnay 2021が、イギリスで毎年開催されるThe International Wine Challenge (IWC)と呼ばれるワイン大会で一位に選ばれました。
この大会はフランスやスペインなど50ヵ国に渡るワインの中から500人の専門家によって厳選され、世界的に権威がある大会で、ワインのオリンピックとも言われています。
Grand Reserve Chardonnay 2021は、ローストナッツ、ブリオッシュに重なるようにシトラス系の香りが、特にストーン・フルーツ(桃やアプリコットなど核が大きい)の豊潤な香りが楽しめます。
すでにチャーチ・ロード・ワイナリーにはワインの注文が殺到し、現在生産が追い付かない状態だそうです。
〇 天皇皇后両陛下の英国宮中晩餐にNZのシャルドネがメニューに
先月末、日本の天皇皇后両陛下を迎えたイギリスのバッキンガム宮殿での晩餐会で、ニュージーランドのシャルドネーが振る舞われました。
チャールズ国王とカミラ女王主催の宮中晩餐のメニューはとても豪華で、茹でたヨーロッパアカザエビ、バジルのムース添え、メインはコーンウォール産ヒラメ、ハーブバター添えのレタス包み、インゲン豆とウズラの卵のサラダ、デザートは桃のコンポートとシャーベットでした。
そしてその料理に併せて厳選されたワインの中に2016 Kumeū River Hunting Hill chardonnayが入っていました。クミュー・リバー・ビネヤードは1982年オークランド西部に創業。そしてこの2016年の Hunting Hill chardonnayは、レモンライムと花の香りとリッチな味わい、そして後に程よい酸味と土壌の豊かさが残り、鳥やシーフード、それからパスタ、リゾットに合うと言われています。
〇 今年2024年はワイン当たり年
2024年の夏は雨が少なくドライな気候であったため、多くの地域で最高の品質のワインが出来ると期待されています。
特に南島のマールボロー地方では、100年来の日照り続きの天候と、ぶどう栽培には最高の状態でした。
雨に晒されることがなかった為、傷や菌が付いてない完璧な状態でぶどうが収穫されました。
マールボロー地方は、ニュージーランド最大のワイン原産地で、163個所のビネヤードがあり国の80%のワインを生産しています。
現在そのぶどうが発酵しワインとして試飲が始まっています。特にソーヴィニヨン・ブラン種においては長い日照時間のおかげでフルーティーな香りがより例年になく芳醇だと言われています。
3. 日本人が作るニュージーランド産ワイン
ニュージーランドには日本人が所有するワイナリーが数か所あります。
Kusuda Wine (楠田ワイン)とOsawa Wine (大沢ワイン)で、楠田ワインはワイララパ地方のマーティンボロー、大沢ワインはホークス・ベイにあります。
どちらもオーガニックで良質のクラフト・ワインを生産し世界中で人気があります。
詳細はこちらをご覧ください。
KUSUDA WINES – Martinborough, New Zealand
Osawa Wines – Hawke’s Bay
4. ワイナリー巡り
ワイン好きな方にはニュージーランドに来られたらワイナリーを訪れることをお勧めします。
ワイナリーではワインのテイスティングは勿論、ワイナリーによってはワインセラー見学、それからグルメ料理が味わえます。
またウェディングにもとても人気があります。
オークランドやウエリントンなど都市からでもツアーに参加して、郊外のワイナリーを訪れることができます。ツアーでなくても車で個人で回っても大丈夫です。
ただしワイン・テイスティングやレストランでの食事がいつも出来るわけではありませんので、個人で訪れる際はまず始めにインフォオメーションセンターに立ち寄って確認することをお薦めします。

5. あとがき
ワイン大会で世界を征したチャーチ・ロードのGrand Reserve Chardonnay 2021は、ニュージーランドでは店頭価格で40ドルで現在売られています。日本では前年の2020年ものが6,000 円で販売されているようです。
私は長年ソーヴィニヨン・ブラン派でしたが、ここ数年ピノ・ノワールに目覚めて飲むようになりました。お勧めはやはりセントラル・オッタゴ産で、20ドル位のボトルを美味しく頂いていますが、いつかは楠田ワイナリーのピノ・ノワールも飲みたいと思っています。
最後に、ウェリントン近郊のワインの産地ワイララパ地方に行かれる方は、以前ワイララパの観光名所について特集のブログを書いてますので、是非こちらもご覧ください。
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