過去40年来のスランプに陥っているというニュージーランドの住宅市場。
その一方で今こそがマイホーム買い時であるとも言われています。
この編では、不振が続くニュージーランドの住宅市場の動向や今後の見通しを解説しながら、果たして今が買い時であるかどうか説明していきます。
はじめに
日本と違い、ニュージーランドでは家族状況の変化により家の住み替えが頻繁に行われます。最近は新築物件への住み替えも多くなってきましたが一般的には中古物件への住み替えが多く、そのため日本に比べて不動産業が盛んです。不動産業界の動向は経済状態のバロメーターの一つになっているほどです
世界的なインフレーションの影響をまともに受けたニュージーランドでは、7%以上の物価高 を記録すると同時に金利も上がり、その皺寄せが不動産業界にも大きく響いています。
そのような状況の中で、果たしてマイホームを購入するのは得策なのでしょうか。。。
Housing market sees biggest sales slump in 40 years https://t.co/zesw1MVfdH pic.twitter.com/SAwniRW18K
— 1News (@1NewsNZ) March 22, 2023
現在の市場動向
この22年2月から今年2月までの一年間で販売された売買された住宅数は60,8596戸で、1983年以来最低値を記録しました。
2月の月間だけで見ても、売買された住宅数は4,100戸で、市場に出回った戸数は去年の同じ時期より16%上昇しているものの、1981年以来最低を記録しています。
また住宅の売買価格も12月から1月にかけては横ばいでしたが、2月は1月と比べて1%、過去3か月では1.5%低い値段で売買されました。前年度に比べると全国的に10.5%、109,491ドル以上値段が下がっており、今現在も住宅値は落ち込んでいます。
このような住宅市場は不振は、売り手、買い手双方ともに影響を与えていると言われています。
他にも次のような特徴が挙げられます。
- ファースト・マイホーム購入率は全体の24%、住み替えにより再購入率は27%であった。
- 全体の15%にあたる購入が複数の不動産所有者が現金で購入。過去最高記録タイであった。
- ウエリントンやオークランドだけでなく、全国各地で前年度に比べて10%以上値下りしている。
- 3月に購入された住宅地の全国平均値は1.1%下降し、933,770NZドルであった。
- 住宅市場の下落が強調されているが、2020から22年までの2年間の期間でみると43%上昇。コロナ禍以前に比べると約30%高い状態を維持している。
- 同様に賃貸住宅の値段も下落。オークランドの家賃は0.8%下がり週に583ドル、ウェリントンは3.7%下がり週に595ドル。
住宅市場不振の原因
このように、今も尚不振が続いている住宅市場の原因について、専門家は次のように分析しています。
- 昨今の金利の上昇と住宅ローンを組む規制が厳しくなったことで、買い手側は購入をためらっている。
- 特にファースト・マイホーム購買者は、住宅金利が一旦ピークに達すればその後住宅値が更に下がるのではいかと状況を見ている
- 現在失業率が低く、家主は差し迫った状況に置かれておらず急いで家を売る必要がない。このため住宅市場に残る家が増え続けて値段が落ちている
各都市の住宅価格とその状況
それではニュージーランドの各都市別の状況はどうでしょうか?
下の表は、各都市ごとの統計です。
数字は今年3月の時点での前月と1年前と比べた住宅地の価格変動値と、住宅価格です。
価格変動値(%) | 平均価格(NZ$) | ||
月 | 年 | ||
ニュージーランド | -1.1 | -10.5 | 933,770 |
オークランド | -1.0 | -13.1 | 1,321,661 |
ハミルトン | -1.3 | -8.4 | 816,620 |
タウランガ | -1.0 | -10.6 | 1,059,931 |
ウェリントン | -1.2 | -20.0 | 902,809 |
クライストチャーチ | -1.4 | -2.9 | 735,926 |
ダニーディン | -2.0 | -11.1 | 621,007 |
クイーンズタウン | +0.9 | 1,690,000 |
上の表から、ウェリントンの市場が最も弱く絶頂期からおよそ20%ダウン、クライストチャーチは安定しており下降率はわずか2.9%となっています。
クイーンズタウンだけは別で 0.9%と僅かながらも上昇し、平均住宅値は1,690,000 NZドルと、ニュージーランドで最も高い額を示し、未だに強い不動産市場であることがわかります。
13.1%の下降率を示したオークランドは、住宅値も去年の1.52百万ドルから1.32百万ドルへ下がっています。オークランドの中でも特にマヌカウとワイタケレ地区の下降率は15.5%を記録しています。
上の表以外の地方都市でも、ネイピア15.5 %、ヘイスティングス 14.0%、パーマストン・ノース 12.4%、 ワンガヌイ12.1%、ロトルア 10.8%と多くの市が10%以上の値下がりしています。
今後の見通し
さて、気になる年内の今後の動向ですが、専門家の分析をまとめてみました。
専門家によると不況が長引き今後も住宅の値段は下がりますが、住宅ローンの金利はピークに達したもしくは近々達すると見られすぐに金利が下がることが予想されていること、また銀行と消費者の間で組まれる住宅ローンの規制についても緩和されるだろうから、購買力が上がるのではないかと見られています。
また、別の専門家は住宅ローンの利率が少しでも下がり、そして移民数が増え、投資家が以前のようにニュージーランドの不動産の価値を見直すようになれば、住宅値段は一旦底値をついた後に上昇すると予測しています。
ですが、この予測は現在のように雇用率が高く失業率が低いことを前提としており、万が一失業率が高くなれば、不動産価格は更に下がることもありえるとしています。
鍵は労働者市場ということでしょうか。
このようにニュージーランドの住宅市場は鶏が先か卵が先かの状態ですが、今年2023年の後半は明るいというのがおおかたの見通しのようです。
参照
https://www.rnz.co.nz/news/business/486522/housing-market-sees-biggest-sales-slump-in-40-years
https://www.stuff.co.nz/life-style/homed/real-estate/131688772/house-price-falls-spread-heres-where-house-prices-have-fallen-by-20
https://www.newshub.co.nz/home/money/2023/04/new-zealand-annual-house-prices-retreat-further-in-march.html
あとがき
現在のニュージーランドの住宅市場について色々と説明してきました。
言い方をかえれば、今が底値もしくは底値に近い金額でマイホームを購入できると言うことです。ただし、住宅ローンを組むとなると金利が高いので不利になります。ですので、現金で買う場合のみになります。
お隣の国オーストラリアでは不動産価格が底値をつきすでに上昇傾向にあるそうです。
ニュージーランドもオーストラリアに続くことでしょうから、現在マイ・ホーム購入を思案中の方やこれからニュージーランドに移住される方は、今マイホーム購入を検討する価値が十分あると思います。
但し、くどいようですが現金で払えればということになります。
Ngā mihi
wonderer