1年で値段上昇5.9 % NZの食料品の値段が高い理由

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パンデミックやロシアのウクライナ侵略など不穏な世の中で、多くのニュージーランド人は、パンデミックよりも食料品と石油の値上がりによる生活苦を恐れている傾向にあるそうです。

どうして食品の値段が高騰し続けているのでしょうか?これからその理由を説明していきます。

はじめに

ニュージーランドでは食料品の値段が高騰しています。この一年の間の食品の値段の上昇率は5.9%、過去10数年で最も高い上昇率を記録しています。

Consumer NZ (ニュージーランドの消費者団体)が1,000 人を対象に調査を行ったところ、98%の人が食品の物価上昇は生活に影響を及ぼしており、内84%はいつも買っている商品が高いため購入をあきらめたことがあると回答しています。

また別の機関の調査では、国家の経済力に対する不安材料として、住宅地の値段、返済見込みの無い借金に次いで、食品の物価上昇が挙げられています。

ニュージーランドは5百万人の国民を養う充分な量の食料品を生産しているといいます
それなのにどうしてこれほどまでに食品の値段が高いのか、不思議に思えて仕方がないというのが普通でしょう。

食料品が高い理由

ではどうして、NZの食品の値段が高いのかその理由を見ていきます。

◎ 複占市場

ニュージーランドの食品の値段が高い理由として、まず真っ先にNZの食品市場が複占状態であることが挙げられます。
複占とはある財や商品の供給者が2社しか市場に存在しない状態です。因みに1社のみの場合は独占といいます。
(出典:ウキペディア ) 

市場を牛耳る二社は、Woolworths NZ(ウールワースNZ)と、Foodstuffs (フードスタッフ)です。
Woolworths NZ(ウールワースNZ) はCountdownを、Foodstuffs (フードスタッフ)はPak ’n Saveや、New World、それからFour Square を所有しています。

両社は競合他社が不在の市場で価格競争をする必要がありません。その結果として製品は高い値段で販売されることになります。

実際に両社を合わせた超過利潤は1年間で4億3千万 NZドルに昇ると言われています。
第3社が市場に参入して価格競争が起こすことが値段を下げることに効果があることは明確です。が、この小さな国で別の業者が参入できるかは多いに疑問があります。

◎ 海外輸出と値段が同じ

前に述べたように、ニュージーランドは500万人の国民の口に入る充分な量の食品を生産しています。

が、その生産された品のほとんどがアジアなどの環大平洋諸国に輸出されています。特に酪農品や肉類は高値で取り引きされており、去年一年間の海外への輸出高は、酪農品160億NZドル、牛肉37億ドル、羊3.9億ドルでした。


それに比べて、例えば牛肉の国内消費量は生産量の僅か13%にしかすぎません。

そしてその僅か13%の国内消費用の牛肉も、海外輸出用と同じ値段で生産者から出荷されています。酪農品についても同じです。つまり、肉類や酪農品などの生鮮食料品は NZ国内でも海外輸出用の値段で売られているということになります。

しかも海外輸出の取り引き額は年々上がっており、それに応じて国内消費される品の値段も上がっているのが現状です。

実際に国内で売られる牛肉の値段はこの10年間の間で12%以上、時には31%上昇していることもあります。例えば1 キログラムの牛挽き肉は10年前は12ドルであったのが16ドルに、1 キログラムのラムの肉は、15.50ドルから18.65 ドルに値段がはね上がっています。

◎ NZの地理上の位置

悲しいかな、ニュージーランドが置かれている地理上の位置も、食品の値段高騰に一役買っています。

ニュージーランドは、他の国よりもはるかに遠いだけに、海外からの輸入時には輸送コストがそれだけかかってしまいます。特に昨今の原油価格が値上がりは否が応でもすぐさま反映されます。
また、コロナ禍の為、需要に対して物資を輸送する船やコンテナーの数が足りていないことも、輸送コストを上げている原因の一つです。

なんと、去年一年の間だけでNZへの輸入コストは500%も上昇しているとか。勿論その輸入コストカバーするのは消費者で、その分を上乗せした額を食料品代として払っているということになります。

◎ 市場が小さい

そして勿論、人口が少ないニュージーランドでは生産コストが高くつくことも原因の一つです。人口が多いアジアやアメリカ合衆国などのように大量生産のため生産コストが低くなるメカニズムは適用されません。

◎ その他の理由

その他の要因として、高い人件費とパッケージングコストやバイオセキュリティ面における規制も挙げられます。それから、近年の世界的な天候不順や、このところインドネシアの椰子油の産出が減っておりそれに伴い原材料費が上がっていることも値段の上昇に大きく影響しています。

(参考資料:https://www.stuff.co.nz/national/explained/128004400/explainer-why-do-we-pay-so-much-for-our-groceries-in-new-zealand )

あとがき

 

複占市場や、高い輸送コストが商品の値段に影響していることは理解できます。
が、生鮮食品が生産者から出荷される時点で海外への輸出用と同じ値段が付けられていることには腑に落ちません。

例えば日本で売られているNZ産のラム肉。このラム肉は日本でも生産地のNZでもそんなに変わらない値段で売られていることになります。

生産者の利益を守る為だそうですが、それにしてもやはり納得できません。どうにかならないものでしょうかと思っているところ、5月に発表されたニュージーランドの国家予算 BUDGET 2022、食品値段を下げるべく現在の法律を早急に改善することが盛り込まれています。
期待できそうですね。

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1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。