Kia ora
10月17日に行われた総選挙で予想通り圧倒的な強さで勝利した労働党 ( Labour Party )。
その労働党の党首で継続して政権を率いるジャシンダ・アダーン( Jacinda Ardern ) 首相が先週新内閣を発表しました。
ジャシンダ・アダーン首相はまだ若干40歳の女性。
その彼女が組む内閣も一言で表現するならば斬新そのものです。
20人の閣僚の内、女性8人、マオリ5人、ポリネシア人3人、同性愛者3人と、ダイバース( 多種多様な人種 ) な顔ぶれです。
特に5人のマオリ閣僚の採用は過去最多の数になります。
更にその中の一人、新外務大臣は顔にマオリの伝統入れ墨 ( tā moko )を入れた女性で、世界中の注目を浴びています。
今回は、そのtā mokoのマオリ女性のナナイア・マフタ外務大臣と、同性愛者の副首相と大臣の三人の閣僚を紹介します。
ナナイア・マフタ 外務大臣
名前:ナナイア・マフタ
(Nanaia Cybelle Mahuta )
役職 : 外務大臣
マオリ時事副大臣, 地方自治省大臣
●1970年8月にオークランド生まれ。
オークランド大学でマオリビジネスを学ぶ。文化人類学の修士号を持つ。
マオリ・キングの親類に当たる。
ナナイア・マフタ新外務大臣就任のニュースが発表されるや否や、世界のメディアでセンセーションを巻き起こしました。
アメリカ合衆国のジョージ・ブッシュ政権下で黒人女性として初めて国防総省長官を務めたコンドリーザ・ライスとも比較されているほどで、今や時の人と言っていいくらいです。
2016年に、このマオリの伝統的な入れ墨 ( tā moko 女性の顎に施されている入れ墨は moko kauae と呼ばれます) を施し、NZの国会で初めての tā moko 女性議員として国会に参上しました。
⋆tā moko についての詳細はこちらをご覧ください。
さてこのナナイア・マフタ女史の顔の入れ墨 moko kauaeについて一人の女性作家がツイッターで「醜い」「野蛮」と批判したことから騒動に発展。この発言は各種ソーシャルメディア上で激しい抗議を受け、小売店側ではその作家の本の販売ボイコットにまで発展しました。
未だにユーロセントリック(白人主義)の古い考え方を持つ人がニュージーランドに、それも学識者の中に存在することを改めて思い知らされる出来事でした。
ですが、同時にNZ国民の大多数はナナイア・マフタ新外務大臣就任に肯定的であることも証明されるという、興味深い出来事でもありました。
Foreign Minister Nanaia Mahuta accepts moko kauae ‘will be something of a curiosity’ as author Olivia Pierson faces backlash for labelling it ‘uncivilised’ https://t.co/tN4S4Nr8Uj
— Te Karere Ipurangi (@Karere) November 4, 2020
グラント・ロバートソン 副首相
名前:グラント・ロバートソン
(Grant Murray Robertson)
役職:副首相
経済省大臣/インフラストラクチャー省大臣
スポーツ・リクリエーション省大臣
●スポーツレース省大臣1971年、パーマストン・ノースに生まれる。
オタゴ大学で政治学を学ぶ。その間オタゴ大学の生徒会長を務め、NZ大学生協会の再構築についての論文を書き、優等学位を取る。
NZでは初の同性愛者の副首相
グラント・ロバートソン新副首相は、ジャシンダ・アダーンの右腕の存在として、特に コロナ・ウイルス対策経費策で敏腕を奮いました。今後は経済復興について大きく期待されています。
私生活においては、NZで最初の同性愛者のラグビーチームKrazy Knightsの仲間と2009年に結婚。その時に自分が同性愛者であることを世間に公表しました。
2012年にテレビのインタビューで、【同性愛者が政治家であることを懸念している人の事をどう思うか】という質問に、次のように回答し、一般国民の同性愛者への理解と認識を深めたと言われています。
「同性愛者だからニュージーランド人を理解出来ないというのか? 私は一人のニュージーランド人として、*父親が刑務所に行くとどうなるか、ラグビーの ALL BLACKS が負けた時、家をリノベーション工事に取り掛かる時の気持ちが理解出来る。。。」
(出典元:ウキペディアhttps://en.wikipedia.org/wiki/Grant_Robertson)
⋆ロバートソンの父親は会計士とて勤めていた会社から12万ドル横領した罪で刑罰を受けています。
キリ・アラン 自然保護省大臣
名前:キリ・アラン
(Kiritapu Lyndsay Allan)
役職:自然保護省大臣、危機管理省大臣
アート・文化・遺産省副大臣
●環境問題省副大臣1984年 ベイ・オブ・プレンティ地方に10人兄弟の9番目として生まれる。
16歳の時に高校中退し、KFCで働いている間に労働組合に深く関わる。
その後ビクトリア大学で法律と政治学を学び、その間当時の首相のヘレン・クラークのオフィスでインターンとして働く。
幼い頃マオリ語しか話さない祖母に育てられたキリ・アラン新大臣は、小学校に入学初日に名前をマオリ名のキリからKittyに変えられ、マオリ語を話すと頬を叩かれたそうです。
初めて議員として当選し国会に参上した際に「小学校で祖母から受け継いだ文化を否定された事は、マオリとしての祖母の存在が無視された事も同じである。そのような声なき声を持つ祖母を讃える」という名演説を行いました。
2016年弁護士の女性と同性婚をし一児を設け、国会の会議中に赤ちゃん同伴で出席したことでも話題になりました。家庭ではマオリ語でのみ話しているそうです。
以上私の三人の閣僚を紹介しました。
三人とも40代~50代と若い上に、それぞれ独特の思想や個性が上手く主張され、日本の政治家とは大きく違います。
今後ジャシンダ・アダーン首相についても特集で紹介していく予定です。
ご期待の程を!
Ngā mihi
wonderer