世界で最も強いパスポートランク、NZ6位、日本38位。その決め手は?

このほど発表されたノマドパスポート指数2024年で、ニュージーランドが世界で最も強いパスポートランキングの6位に入りました。日本は38位です。意外に思う人は多いのではないでしょうか。

この編では、そのノマドパスポート指数や、ニュージーランドと日本のパスポートに対する評価の差について紹介します。

ニュージーランドと日本のパスポートを比べる前に、一般にあまり馴染のない「Nomad Passport Index(ノマドパスポート指数)」について紹介します。

世間で知られている「ヘンリーパスポート指数」は他の国へのビザなしでアクセスできるかどうかで評価されています。
対してノマドパスポート指数は、入国ビザに加えて税制や、自由に暮らす度合い、二重国籍を認めているかどうかなどの他の要素も考慮されています

その理由として、「他の指標でも表されているように、多くの人々がパスポートは渡航特権という観点でのみ捉えがちである。しかし、旅行者が海外で納税や自由、秩序、もしくは監視下に置かれるなど、自国とは全く異なる条件や状況に遭遇した場合の対応を踏まえない限りは、本当のパスポートの強さが図れない。」と主催者側は説明しています。

簡単に言えば、ノマドパスポート指数は外国に入国後いかに旅行や生活がしやすいかを評価するものと言ってよいでしょう。

具体的に、指標を出すカテゴリーの一つ「認識」の部門は*「World Happiness Report (世界幸福度報告書)」や、*「Human Development Index (人間開発指数)」、そして主催者側の経験からくる主観に基づいた「各国の国民がどのように認識され受け入れられているか」に注目しています。

*「World Happiness Report (世界幸福度報告書)」については、以前特集を組んでいます。詳しくはこちらを。


*「Human Development Index(人間開発指数)とは、各国を人間開発の4段階に順位付けするために用いられる平均余命、教育、識字及び所得指数の複合統計である。
(出典:ウィキペディア)

それでは、実際に今年2024年度に発表された199ヵ国を対象とした「Nomad Passport Index (ノマドパスポート指数)」の順位を見ていきましょう。

1. スイス
2. アイルランド
3. ポルトガル
4. ルクセンブルク、 フィンランド
6. アラブ首長国連邦、オランダ、ノルウェー、ドイツ、ニュージーランド、アイスランド、イタリア、ギリシャ 
14. スウェーデン、チェコ共和国、マルタ、イギリス

ご覧のように西欧の国が圧倒的に上位を占める中で、欧州圏外からニュージーランドとアラブ首長国連邦だけが6位タイでランクインしてます。
アラブ首長国連邦は去年2023度は首位でしたが、国内外の企業経営者に影響する新たな税法改正で順位を落としています。

最下位の199位はアフガニスタン、197位はイラクとイエメンでした。

では日本のランキングはというと、38位タイでした。
ここで、6位タイのニュージーランドとどのような差があるのか見てましょう。

  ニュージーランド 日本
ランク 6位タイ 38位タイ
総合ポイント 106.50 101.50
部門別の評価 他国の入国簡易度(ビザ不要、入国時にビザ受給) 173 173
税金制度(海外移住、海外での収入) 30 20
認知度(幸福感、安全性) 50 50
二重国籍 50 20
自由の度合い 40 40

ニュージーランドと日本の差は全体で見るとそう大きな差がないように見えますが、唯一大きく異なるのが、二重国籍が可能かどうかという点です。

この二重国籍は、ノマドパスポート指数の審査では「昨今のグローバルな世の中においては大事な要素」とされています。
二重国籍を保有しない日本のパスポートには致命的な要素
となっています

ちなみに、ビザを取得せずに外国への渡航が可能な国の数を「パスポートの強さ」と定義する「Henley Passport Index(ヘンリー・パスポート指数)では、194ヵ国の日本は、フランス、ドイツ、イタリア、シンガポール、スペインと並んで1位、ニュージーランドは189ヵ国で20位となっています。

いくらビザなしで入国できる数が多くても、実際に海外で生活するのにそれほど有効でなかったら強いパスポートと言えないかと思いますが、参考までにランキングの上位国を挙げておきます。

  1. フランス、ドイツ、イタリア、日本、シンガポール、スペイン(194)
  7. フィンランド、韓国、スウェーデン(193)
  9. オーストリア、デンマーク、アイルランド、オランダ (192)
 13. ベルギー、ルクセンブルク、ノルウェー、ポルトガル、イギリス(191)
 18. ギリシャ、マルタ、スイス(190)
 20. オーストラリア、チェコ、ニュージーランド、ポーランド(189)
 24. カナダ、ハンガリー、アメリカ(188)

お分かりのように、ニュージーランドと日本のパスポートの強さの違いは、二重国籍が決め手です。

二重国籍の有無は海外材在留者にとってもとても重要なことです。
幸いニュージーランドでは罪を犯した場合に強制送還される点以外は、私のように市民権を持たない永住者にも市民と同じ権利が与えられているので、普段困ることはありません。
が、子供の将来についてとなると全く話は変わります。
22歳までに国籍を選ばないといけずニュージーランドのパスポートを取得した場合、親が日本人であっても日本では外国人になります。

一方で、私の周りには二重国籍を持ち祖父母のいる海外の国やオーストラリアで教育を受けたり、就職したり、また帰国後ニュージーランドで生活している人は沢山います。それでもニュージーランドの国政や経済に混乱が生じているような様子は全くありません。

真のグローバル化を目指すなら、日本も二重国籍を許すべきではないでしょうか。

Ngā mihi
wonderer

(参考)
https://www.stuff.co.nz/travel/350203868/new-zealand-passport-flying-high-new-world-rankings
https://nomadcapitalist.com/nomad-passport-index/

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。