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ここ数年の移民ブームを受けて、ニュージーランドの就労ビザに規制がかけられました。その規制内容もさることながら、発表と同時に即時に行われたこともあり、海外からも注目を浴びています。
この編ではその新しい就労ビザの変更された内容や、背景、そして社会の反響などを詳しく説明していきます。
NZ tightens visa rules over 'unsustainable' migration https://t.co/0o9I8N6arv
— BBC News (World) (@BBCWorld) April 8, 2024
就労ビザ大きく変わる!
2024年4月7日、ニュージーランド政府は就労ビザに規制を掛けることを発表、そして翌日4月8日から実行に移しています。
改正された就労ビザの主な内容は次の通りです。
- 低熟練度職種(レベル4 and 5 の職種のカテゴリー)の英語能力の必須
- 最長滞在期間を現行の5年から3年に短縮
- 最低限の技術と経験の証明が必要
- バスやトラックドライバーのTransport Work to Residence Visaの他、グリーンリストと呼ばれる fast track to residency ビザの対象から建設業種などの18業種が排除
理由と背景
移民動向
ニュージーランド政府が思いきった制限を取った直接の原因は、去年2023年の移民数が過去最高に近い数字を記録したからです。その数173,000人。ニュージーランドの人口は5,124,000人ですので人口の30人に1人が、去年移民してきた割合になります。
その173,000人の移民数のうち、5万2000人が低熟練度職種、また900人が移民労働者搾取保護の就労ビザで入国しています。
さらに今年2024年に入ると、3月だけでも15,120人、合計51,336人が就労ビザで入国し、現在就労ビザでニュージーランドの滞在している数は199,434人に上ります。
こうした急激な移民数の増加がインフレーションに拍車をかけていると言われています。
ニュージーランドの移民数の急増の原因や社会への影響などの詳細はこちらをご覧下さい。
似たような状況にあるオーストラリアも向こう2年間で移民数を半分に減らすと発表しています。
政府のコメント
このような移民数の動向について、先月11月に組閣された連立内閣の Erica Stanford (エリカ・スタンフォード)移民相は声明の中で「持続不可能」とし、次のように述べています。
「中等学校の教員など、技術不足が見られる部門に高い技術を持つ人材を確保・維持する必要がある。同時に、技術不足が見られない部門では国民の雇用が優先されることを確実にする必要がある」
反響
スタンフォード移民相は、就労ビザの審査基準に英語の能力を加えることで、外国人労働者が自身の権利を理解し、また雇用主からの不法な扱いに早い段階で対応できるなど、労働者搾取対策に繋がると説明しています。
が、その一方で、自国で多額の借金をしてニュージーランドで就労している人の中には、英語能力がないため借金を抱えたまま自国に戻る人も出てくると予想され、非人道的であるとの声も出ています。
また、建設業界、バスやトラックのドライバーなどの職種で深刻な人手不足に陥ることや、海外からの投資機会が失われることなども危ぶまれています。
あとがき
移民の急増はニュージーランドだけでなく全世界で起こっている現象だそうです。
ですので今回のニュージーランドの就労ビザの規制が、海外からも注目を浴びているのでしょうね。
私自身の話で恐縮ですが、私は1990年代の後半に一般部門で永住権を取得しています。永住権を申請した直後にアジア人移民急増を受けて永住権の申請基準が厳しくなりました。個人で申請していましたので、追加の書類の提出など応対に一苦労しました。ですのでおよそ1年後に規制が緩和され、すぐに永住権が下りて安堵したことを昨日のように覚えています。
こういう話もありますので、これから永住権や就労ビザを取得されようとする方も、今回の規制に臆することなく臨んでいただければと思います。
Ngā mihi
wonderer