NZ 14歳以下は生涯喫煙できない国へ

Kia ora

日本の新聞でも取り上げられているのですでに知っている方も多いかと思いますが、ニュージーランドは「14 歳以下は生涯喫煙できない社会を目指す国」として、現在全世界の注目を浴びています。

この編では、更に踏み込んで「14 歳以下は生涯喫煙できない」いうここまで思いきった施策を打つに至るまでの背景など、NZ社会を掘り下げて解説します。

14歳以下の喫煙禁止

ニュージーランド政府は、完全なタバコフリー(禁煙社会)を目指し、現在14歳以下の年層は生涯煙草の購買を禁ずる法律を制定する予定であることを発表しました。世界で例のない厳しい喫煙制限として、今世界中の注目を集めています。

この新しい法律は2027年施行予定で、この時点で14歳もしくは14歳以下の年層は一生煙草が買えなくなります。

12月9日、副保健相の  Ayesha Verrall ( アイシャ・ヴェラール) 女史は、「 若者を喫煙させないために、若年層の煙草の購買・販売を違法とする。法的に喫煙できる年齢を繰り上げていくことでタバコフリーの世代層を広げ、最終的には完全なタバコフリー社会を実現する為である。時間がかかり非効率な他の手段に比べ、若者が絶対にタバコを吸わないようにすることが、タバコフリー社会の実現にはもっとも効果的である」と発表しました。

さらに、ヴェラール 副保健相は、ニュージーランドでは喫煙率は年々下がっているが、依然として、喫煙は死因の大きな要素の一つに数えられ、癌の原因の25%を占めている。特にマオリ、パシフィック系や低所得者層で傾向が高く、こうした人々をほおっておくことはできないとしています。

NZ政府が発表した統計によると、現在NZでは15歳以上の喫煙率は 11.6% 、そしてマオリの大人の喫煙率は29%で、内5人に4人が18歳に達するまでに喫煙を始めています。喫煙が元での死者数は年間5,000人、一日に14人の割合で、また喫煙者3人の内2人が死亡していることになります。



現在14歳以下の生涯煙草を購買を禁止する法律は、「タバコフリー2025」と呼ばれる計画の一部です。「タバコフリー2025」には、他にタバコのニコチン量の大幅な減量、タバコ販売店の削減、煙草のパッケージのデザインの制限、そして依存症から抜け出すための支援などが含まれています。

その一方で、これまで行ってきたタバコの税率引き上げによる禁煙政策は、ある程度の効果があったものの限界があるとし、継続しない方針です。

また、今回の施策にはベイプ(電子タバコ)の販売の制限は含まれていません。ベイプ(電子タバコ)は現在の法律では18歳以上となっています。

© manhhai via Flickr

世界の動向

この喫煙者の年齢制限策は、世界で最も厳しい措置と海外のメディアで言われていますが、ブータンでは煙草の販売が絶対的に禁止されており、そのブータンに次いでニュージーランドは世界的に最も厳格なたばこ規制国となります。

イギリスは2030年までにタバコフリーにするとし、カナダとスウェーデンは喫煙率を人口の5%以下に抑えるとしており、これらの国はNZの動向に習うものと予測されています。が、ニュージーランドは小さな国だからこそできると一部の専門家は指摘しています。

隣国オーストラリアは12年に世界で初めて、たばこのパッケージにロゴなどの表示を禁止しています。

ちなみに、世界のタバコの値段を比較すると、ニュージーランドはオーストラリアに次いで世界でもっとも高く、現時点で20本入りのマールボロ1箱が3,000円近く。三位のアイルランドは1,800円と、オーストラリアとニュージーランドのタバコの値段は他の国を大きく引き離しています。
ちなみに日本では600円の値段がついています。

あとがき

ニュージーランドは今後タバコ税を課してタバコの値段を上げることはないと上述しましたが、その理由がタバコをやめようと苦しんでいる人を罰するだけで効果はなく、その代わり支援グループを立ち上げるそうです。ニュージーランドらしい柔和な考え方が象徴されているかと思います。

それにしても、NZのたばこの値段が現在3,000円近くするなんて驚いてしまいました。まさに贅沢品ですよね。
私がNZに移住した25年前は確か500円位でした。その当時はカプチーノ一杯が180円位だたったと思います。
3,000円の値段でも喫煙している人は、いくらタバコの値段が上がっても吸わざるをえないのかもしれません。その点でも、値段を上げるのではなくて、喫煙年齢を制限する方が効果的なのでしょうね。

これまで説明してきたNZ政府の14歳以下の喫煙禁止政策は、簡単に言うと若いうちに悪い芽を摘むという事ですが、完全なタバコフリー社会にするには良い策だと思います。皆さんはどう思われますか?

Ngā mihi
wonderer



ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。