投票日の3週間後に最終結果発表、3党による連立政権 : ここが面白い!NZの総選挙

Kia ora

ニュージーランドではようやく総選挙の公式投票結果が発表されました。
実に投票が終わって3週間後のことでした。
そしてその結果、連立政権が、しかも三党にまたがる連立政権が組まれることが決まりました。

日本とはかなり勝手が違うニュージーランドの総選挙について、あまり政治について詳しくないという方にもわかりやすいようにできるだけ易しくかみくだいて紹介します。

1. 国会と総選挙について

まずはニュージーランドの国会と総選挙の仕組みについて簡単に説明します。

  • 国会は英国議会制をモデルにした一院制(下院のみ。1951年に上院が廃止)
  • 議会は120議席からなり、各党が政権を取るには61議席以上が必要
  • 61議席に足りない場合は、他の党と連立政権となる
  • 任期3年制の議会で選任された首相が内閣を組織
  • 3年毎に総選挙が行われる
  • 小選挙区比例代表(地区の候補者一人と党と二つの項目に投票)
  • 18歳以上のニュージーランド市民もしくは12か月以上滞在している永住者が投票権を持つ

2. 2023年の総選挙結果

2023年の総選挙は、10月2日から14日まで12日間にかけて投票が行われました。

最終投票日の10月14日に開票され翌日にはその結果が公表されました。が、その後不在票を数えたり、地区によっては票の数え直しなどがあり、ようやく11月3日に正式な結果が発表されました。
最終結果は次の通りです。

National  48 席
Labour 
34
Green  15 席
ACT  11 席
NZ First  8 席
Te Pāti Māori  6 席

おわかりのように、党の中で48議席と最も多くの議席を得たNational ( 国民 ) 党が、これまで6年間続いたLabour ( 労働党 ) に代わって与党として組閣することになります。

ですが、National 党の議席は48席と、必要数の61議席に達して無いため、他の党と連立して政権を組むことになります

その連立する党は、11議席を持つACT党だけではまだ議席が足りないため、 8席を保持したNZFirst 党も加えた3党からなる連立政権になります。

3. ここが面白い !

前に書いた部分と重なる所もありますが、今回の総選挙で面白い点を挙げています。

  • 投票期間が10月2日から14日まで12日間
  • 正式な開票結果が出るまで3週間
  • 再度の票読みの結果、二つの地域で当選議員が入れ替わった(National 党に変わってLabour 党の議員が当選)
  • しかも一つの地域ではその差はわずか29票!
  • National 党だけでは議席が足らず、他の党、しかも2党と連立し三党連立政権を組むことに。

 

特に、Winston Peters (ウィンストン・ピーター)氏が率いるNZfisrtは、National 党の党首、Chirs Luxon ( クリストファー・ラクソン) 氏が、絶対連立したくないと言っていた党です。

National 党とNZfirst 党は、海外投資家による住宅の購入や年金受給年齢について180度異なるポリシーを持っています。


これから組まれる内閣、それからその新内閣の政策に注目が集まります。

4. 新首相 Christopher Luxon (クリストファー・ラクソン)

今年2023年の総選挙で、党首としてNational 党を勝利に導いたのは、Christopher Luxon ( クリストファー・ラクソン)氏です。
当然、 首相にはこのクリストファー・ラクソン氏が就任することになります。
日本ではあまり馴染みのないラクソン氏がどんな人なのか、簡単にプロフィールを紹介します。

4.1. 生い立ち

Christopher Mark Luxon 1970年にクリストチャーチでアイルランド/スコットランド/イギリスのカソリックの家系に生まれ、8歳の時にオークランドのHowickに移る。父親は Johnson & Johnson 社のセールス、母親はサイコセラピストであった。

4.2. 経歴

高校生の時にクライストチャーチに戻り、高校では弁論大会で優勝。学生時代は、マクドナルドやホテルのポーターとしてアルバイトをする。カンタベリー大学卒後、1993年からユニリーバ社に勤め2008年に同社のCEO( 最高経営責任者)となる。2012年から2019年まではニュージーランド航空の CEO ( 最高経営責任者)を歴任。従業員の賃金値上げを巡る労働組合との紛争や、当時の国民党の党首で首相のJohn Key ( ジョン・キー)のビジネス同胞者として名が知れるようになる。後に、ニュージーランド航空はアフリカ紛争を支援した事で弾劾され、過ちを認めた。

2020年に国民党員としてオークランドのBotany 地区で議員に選ばれる。労働党の政権下、野党である国民党の、地方政治、研究、化学、製造、土地情報についての広報担当者となる。2021年、国民党内の改革後、党首に就任。

余談ですが、23歳の時にカソリックの教会で知り合った女性と結婚。子供が二人いるラクソン氏の総資産額は2,100万NZドルと言われています。
さすがは National 党の党首だけのことはありますよね。

5. あとがき

以上、今回はNZの総選挙についてさらりとまとめてみました。
新内閣や政策などが発表されれば、特集を組んで詳しく紹介していきたいと思っています。

National とLabour が何とかして連立を避けたかったNZfirstが政権に加わることで、これからも予想外のことが起こると予想されています。

特にNZfirstを率いるWintston Peters ( ウィンストン・ピーターズ )氏は「the king 」と呼ばれ一目置かれた存在です。
前々回の2017年の総選挙で National とLabour が同議席となった際、どちらが政権を取るかは連立政権を組むことになったNZfirstのピーターズ 氏の選択次第でした。
つまり、彼の一言で当時 Ardern (ジャシンダ・アダーン)氏が率いるLabour 党 が政権を取ることになった次第です。

その、ピーターズ氏がどんな旋風を巻き起こすのか、ますますニュージーランドの政治から目が離せなくなりそうです。

Ngā mihi
Wonderer 

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。