日本で人気のNZ産ラム肉 イースターに食べる、美味しく食べるコツ、健康に良い理由などあれこれ

Kia ora

羊の国のニュージーランドでは羊毛業だけでなく羊肉業も盛んで、ラムと呼ばれる子羊の肉は普段の食卓に、それからバーベキューにもよく登場します。

先週のキリストの復活祭を祝うイースター祝日には、ラム肉のロースト料理を食べたという人も多いことでしょう。

日本や中国においても、ここ最近ニュージーランド産のラム肉は質が良くて美味しい肉としてとても人気があります。

そのニュージーランド産のラム肉が人気がある理由や、あまり知られてない特徴、そしてイースターで食べる習慣の言われなど、ラム肉に関わるあれこれを紹介します。

   ラム肉とは

まずラム肉はご存じの方も多いように子羊の肉を指します。成長した羊肉はマトンと呼ばれます。
は年齢によって格付けがされ価値が大きく異なりますが、その格付けの基準は産出する国によって異なります。

羊肉産業の盛んなニュージーランドでは、ラム肉は永久門歯(永久歯の前歯)がない生後12か月の羊を指します。

ラム肉の定義が一歳未満ではなく、永久門歯( 永久歯の前歯)がないとされる理由は、羊の飼育は放牧によって行われ正確な年齢が把握できない為、その代わり門歯の数を基準として品質管理が行われています。オーストラリアも同様です。

そしてその「ラム」の中でも次のようなさらに細かく分けられた定義があります。

生後4~6週間の離れしていない「ミルクフェッドラム(Milk-fed lamb)」
・生後6~8週間「ベイビーラム(Baby lamb)」または「ヤングラム(Young lamb)」
・生後3~5ヶ月「スプリングラム(Spring lamb)」

若いほど肉質は柔らかく、臭みも少ないですが、1頭からとれる肉の量が少ないため高価になります。

また成長した羊肉マトンについても、永久門歯が1から2本のメスまたは去勢されたオスの羊肉は「ホゲット」と呼ばれます。永久門歯が生えるまでに去勢されていないオスは、食用としての価値はなくなります。
「マトン」には羊特有のにおいがあり、味が濃くも多く乗っています。肉に加えて、臓器や舌も食材となり、皮は革製品や毛皮として使われます。

   ラム肉と宗教の関係

昔から子羊は中東の宗教を含む様々な宗教において、生贄の動物として使われています。

キリスト教では、イエス・キリストが自らを犠牲にして十字架に貼り付けられて死んだことから、「lamb of God ( 神の子羊) 」と例えられます。それ故に、キリストの復活を祝うイースターの日曜日の夕食にラム肉のローストを食べる習慣があります。

   ニュージーランドのラム肉の特徴

ニュージーランドの羊は、新鮮な空気や充分な日光と雨、それから生い茂る樹木に囲まれた恵まれた自然環境の中で放牧され、牧草を食べて育ちます。人工添加物や成長ホルモン材を使用せずに牧草のみを食べて育った子羊の肉は、脂肪分が少なく引き締まっていながらも柔らかく、また深みのある味わいで健康にも良く、世界でも最高級の質を誇ります。また、ethical (道徳倫理に叶った)方法で飼育されていることも人気の理由の一つです。

ニュージーランド子羊肉の最大の輸出国は中国、次いでイギリス、アメリカ合衆国で、日本は七番目に入っています。

   日本の輸入事情

一昔前の日本はとにかく「安さファースト」で冷凍のロール肉や、加工品原料など低価格帯の部位が出回っていましたが、最近は、質の良い美味しい羊が求められています。

日本で食卓に上がる子羊肉のほとんどはオーストラリアとニュージーランド産です。一般に、オーストラリア産のラムは6–10か月まで成長させたもので一頭あたり20–24 kgと身が大きく、ニュージーランド産は生後4–8か月で15–16 kgと小ぶりです。

また、急激な経済成長を経た中国でもラム肉の需要が高まっていることが原因で、日本のみならず世界的にラム肉の値段が高騰しています。

   ラム肉を美味しく食べるコツ

もともとラム肉は、特にニュージーランド産のものは、深い味と柔かな身で知られていますが、スパイスや他の材料と一緒に料理していっそうその味を堪能出来ます。また、ラム肉自体にもいろいろな部位がありそれぞれに合った料理方法を楽しむことができます。

例えば「ラムといえばラムチョップ」と言われるくらい有名な「ラムチョップ」は、焼いて食べるが一般的です。因みにラムチョップは肩から腰にかけての背肉(骨付きリブロース)のかたまり肉を骨にそって1本1本切り分けたものです。骨がついているためロースではなく、ラムチョップと呼ばれます。ラムラックは この骨付きのロース肉の塊を指します。


もも肉はローストに、足の脛のシャンクと呼ばれる部位は煮込み料理に適しています。

そのラム肉を美味しくする為のちょっとしたコツを紹介します。

・料理する前に肉を冷蔵庫から取り出して室温に戻す。肉が乾燥しすぎるのを防ぎます。
・肉を料理してから切り分けるまでに5-10分時間を置く。味が肉全体に染み渡ります。
・好みに合わせた温度で焼き上げる。
   50°C – very rare
     55°C – medium rare
     60°C – medium (pink)
     65°C – medium well
     72°C – well done

   ラム肉が健康に良い理由

ラム肉が健康に良い言われる三つの理由を紹介します。

  ● 脂肪が人体に吸収されにくい

肉の動物性脂肪は肥満の原因として知られていますが、ことラム肉に限っては当てはまりません。
人間の体温とラム肉の脂の溶け始める温度、つまり「融点」の違いによるものです。だいたい36℃前後の体温を持つ人間に対し、ラム肉の脂の融点は44℃と8℃も高いことから、腸内に入った脂が溶けて腸で吸収されることはなく、そのまま体外に排泄されます。
ちなみに牛肉の融点は40℃、鶏肉30℃、豚肉28℃です。

  ● 不飽和脂肪酸が多い

ラム肉は牛肉・豚肉・鶏肉と比べると、「不飽和脂肪酸」を格段に多く含んでいます。
不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げ、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を抑えると言われています。

  ● カルニチンを含む

「カルニチン」は、動物性タンパク質に含まれるアミノ酸の一種で、羊肉、牛肉、馬肉や魚のカツオ、牛乳などに含まれていますが、その中でも特に羊肉には多く含まれています。カルニチンは脂肪代謝に重要なアミノ酸で、 脂肪酸と結合しミトコンドリア内に輸送されることにより体内の脂肪酸の燃焼を促します。よって肥満防止として効果があると言われています。果物や野菜にはカルニチンはほとんど含まれていません。

   あとがき

例に漏れず我が家でもラム肉は度々食卓に上がる一品です。
ラム・チョップは、オイスターソースとニンニク、ショウガで味付けて焼き、もも肉はロースト料理にそして食べきれないローストはコリアンダーやミントのハーブを使ってカレーとして登場します。
寒い時期には、トマトと一緒に半日かけて煮込んだラムの脛のシャンクが大の人気です。

が、今回この記事を書くことでラム肉がいかに健康に良いかを知り、もっと料理のレパートリーを増やそうと思わず息巻いている今日この頃です。

Ngā mihi
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ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。