Kia ora
今年2022年ニュージーランドに新たな祝日が設けられました。12番目となる祝日はマタリキ・ホリディと呼ばれ、2022年は6月24日に当たります。
この編ではマタリキ祝日が制定された理由や経緯、マタリキについて、 それからニュージーランドや世界の祝日の事情を紹介します。
目次
マタリキ祝日が出来た理由
"Matariki is a time of unity, renewal, celebration, and hope. With the challenges we have all faced in recent times, it allows us to come together with whānau and friends to pause, reflect and look optimistically to the future." 🔗https://t.co/uMld70gri9 pic.twitter.com/Ec93CLmIP3
— RNZ Te Ao Māori (@RNZTeAoMaori) April 7, 2022
ニュージーランドでは法律の改定に伴い、今年2022年からマタリキ・ホリディと呼ばれる祝日が新たに設けられています。
◯ マタリキ・ホリディについて
ニュージーランドでは12番目となるマタリキ・ホリディは、 月齢に基づいたマラマタカと呼ばれる太陰暦に従い、6月から7月にかけて三ヶ月が現れる日に最も近い金曜日と制定されています。今年2022年は6月24日に当たり、向こう30年間、2052年までの日にちが決められています。
マタリキはマオリ族にとって新年を意味し、マオリの伝統的な月暦に従って行われる年中行事の中では最も意義のある行事です。それ故にこの日は国を挙げてマオリ新年を祝う様々な催し物が計画されています。
◯ マタリキホリデーの意義
このマタリキ・ホリディの発案者である、芸術・文化・遺産の副大臣 * Kiri Allan ( キリ・アラン) は、「マタリキ・ホリディの導入は mātauranga Māori(ヨーロッパ人が入植する前のマオリ人を認識)を国として初めて制定する歴史的な出来事である。ニュージーランドの国民全員が自身と人々について関心を向け、ニュージーランドの法律、原則、哲学を学ぶ機会を導くものである。」と声明文を発表しています。

キリ・アラン大臣
マタリキ・ホリディの制定に対し、野党のNational Party ( 国民党) は、マオリ文化を祝うこと自体に賛成であるが、わざわざ新たに祝日を設けるのではなく、既存の祝日を代替えすべきと反論。 その理由として、マタリキ祝日を制定することで、国の経済に4億5千万ドルの負担がかかるというものです。
が、アラン副大臣は、「一般的に祝日は雇用者のストレスや燃え尽き症候群を緩和するのに加え、国民が休日に外出することで消費量が増えることで経済効果が見込まれる、特に冬のオフシーズンのホスピタリティやツーリズム業界には冬の活気材となりうる。それゆえマタリキの祝日は文化的にも経済的にも意義がある」と強調。
マオリ党副党首の Rawiri Waititi ( ラウィリ・ワイティティ)は、「このマタリキ祝日は、ニュージーランドの公平で平等な社会と将来を考える良い機会であり、ワイタンギ条約に基づいて国の法律を改定するべき」と擁護しました。
余談ですが、この新しいマタリキ・ホリディを制定する法律は、ニュージーランドで英語とマオリ語で書かれたものとしては5番目になります。
(参照https://www.rnz.co.nz/news/national/464833/matariki-public-holiday-passes-into- )
マタリキとは
マタリキとはマオリ語でおうし座のそばにある小さなプレアデス星団を指します。
日本では昴(すばる)と呼ばれ、秋の終わり頃から春先にかけて見る事ができます。
ニュージーランドでは、マタリキは、この時期5月下旬~7月の間の明け方、東の空に低く昇ります。
ニュージーランドの原住民のマオリ族はちょうどこの頃秋の収穫を終え、新しい年を家族や部族で祝っていた名残で今もマタリキとして祝う習慣が残っています。
詳しくはこちらを。
ニュージーランドの12日の祝日とは
ここでニュージーランドにはマタリキ・ホリディの他にどんな祝日があるかみてみましょう。
全国統一の11日の祝日と、地方によって異なる記念日が1日設けられており、合わせて12日の祝日があります。
◯ ニュージーランド全国統一の祝日
1月1日 | New Year’s Day 元旦 |
2日 | Day After New Year’s Day 元日の翌日 |
2月6日 | *Waitangi Day ワイタンギ・デー |
3月~4月 |
Good Friday グッド・フライデー |
Easter Monday イースター・マンデー |
|
4月25日 | Anzac Day アンザック・デー |
6月第1月曜日 | Queen’s Birthday 女王陛下誕生日 |
6月~7月金曜日 | Matariki マタリキ |
10月第4月曜日 | Labour Day 勤労感謝の日 |
12月25日 | Christmas Day クリスマス |
26日 | Boxing Day ボクシング・ディ |
◯ 主な地域の記念祝日
- オークランド/ノースランド地方 1月29日の直近の月曜日
- ウェリントン地方 1月22日の直近の月曜日
- カンタベリー地方 11月の第2もしくは第3金曜日
- オタゴ地方 3月23日の直近の月曜日
祝日が土曜日、日曜日に重なるときは、次の平日が振替休日になります。

© Marco Verch Professional Photographer via Flickr
世界各国の祝日の日数
では他の国々の状況はどうなのでしょうか?
去年2021年の時点では、祝日が最も多く設定されている国はイランで27日、次いでスリランカの25日、カンボジアの21日となっています。日本は17日、韓国は16日、アメリカ合衆国は去年1日増えて11日、イギリスは8日、他のヨーロッパ諸国では10日~14日となっています。一番少ない国はメキシコで7日間。各国を平均すると11日になります。
あとがき
このように他の国の祝日の日数と比べてみても、ニュージーランドのマタリキ・ホリディが設けられたことは、当然のことだと思います。
くしくもニュージーランドはパンデミックで閉じていた国境を段階的にですが開き、海外からの訪問者が行き来できるようになりました。これを機に数年振りの家族や友人との再会を果たす人は多いかと思います。
今年のマタリキは一層思い入れのあるお祝いになることでしょう。
最後に、マタリキ用のカラキア(祈り)を紹介します。
是非声に出してお読みください。
Matariki e
Matariki te tupuna
Matariki te tawhito
Matariki te Kāhui whetū
Matariki hunga nui
Matariki ahunga nui
Matariki manako nui
E ara Matariki ki runga rā
Whano, whano,
Haramai te toki
Haumi e ! Hui e ! Tāiki e !
マタリキ
マタリキ ー 人々を奮い立たせる
マタリキー 古くから伝わる
マタリキ ー 星の集まり
マタリキ ー 人々を結び付ける
マタリキ ー 次の植え付けの準備
マタリキ ー 偉大さを熱望する
今 マタリキの星が空に上がる
皆 集まれ、集まれ、
そしてともにマタリキを祝うのだ
皆が一緒に集まって一つになるのだ!
* マオリの祈りKarakia( カラキア) の紹介記事はこちらを。
祝日の
Ngā mihi
wonderer