NZの最低時給 2024 年4月1日より2%引き上げの$23.15は妥当??

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Kia ora

2024年4月1日より、ニュージーランドでは最低賃金を初め色々な経済補助額が引き上げられています。その一方で、新たに課税対象となったり課税率が高くなった項目もあります。

これからそれぞれの項目を紹介するとともに、最低賃金の引き上げ率が現在の経済状況において妥当かどうか考えていきたいと思います。

では早速、2024年4月1日より額が引き上げられた項目を紹介します。

最低時給

併せて、この最低賃金の80%である研修/見習い中の賃金もNZ$18.16に、また9月1日から
* Living Wage (生活賃金)は $27.80に増額されます。

* Living wage ( 生活賃金)についてはこちらをご覧ください。

生活補補助額

消費物価4.66% の上昇に合わせて平均5.28%増額、370,977人が対象

手当種類対象増加額NZ$ /週取得額NZ$/週
失業手当夫婦子供有$28$635.10
子供無$26$601.46
1人子供有$28$494.80
子供有$13$353.46
子供扶養新生児$4$73
1人目$ 8$144
二人目以降$ 6$117
ひとり親家庭$22$494.80

詳細については下記のリンクをクリックしてWork and Income のサイトをご覧下さい。
Benefit rates at 1 April 2024 – Work and Income 

その他の増額項目

  • 大学生手当   $27.94/週 増額して$314.15/週
  • 年金 1人   $ 23.10/週増額して$519.47/週
       夫婦   $35.50/週 増額して$799.18/週
  • 家主  利益の80%が非課税

収得額が増額されている一方で、新たに課税、もしくは増税されている項目もあります。

  • EV車に1000kmあたり$76、ハイブリッド車には$38が道路使用料として徴収
  • 信託財産の課税額を33%から39%に引き上げ(利益が$10,000以下の場合は除外)
  • 商業家屋の課税率の引き上げを検討中

背景

これまで紹介してきた今年2024年の最低賃金や他の項目の額の引き上げを導入したのは、去年11月に組閣した新内閣です。

その新内閣でWorkplace Relations and Safety(厚生労働省)相に就任した ACT党のBrooke van Velden(ブルック・バン・ベルデン)女史は、2%の最低賃金の引き上げについて次のような声明文を発表しています。

経済状況はここ数年の間に大きく変わっており、政府は低所得者層を守るとともに、尚且つ雇用を促す労働市場を作る必要がある

その理由として、

  • 失業率は依然として低いにもかかわらず、移民数の増加により労働市場の需要が下がり気味な為、購買率が下がり経済効果が抑えれている
  • 労働党の政権下であった2016年から2023年の間に最低時給の引き上げ率は48.8%と、25.1%のインフレーション率の約2倍に及んだ

ことを挙げています。

このため、2%の引き上げ率は慎重に検討された上でのバランスの取れた率であり、経済発展と収入の増加、そして労働市場の強化が見込めれた数字だと主張しています。
また、約80,000 人から145,000 人の労働者が恩恵を受けると見込んでいるそうです。

と、強気な政府ですが、その一方で実は政府は当初1.3% の引き上げを検討しており、経済産業省は4%を推していたと言われています。

反対意見

今回6年ぶりに与党に回ったLabour(労働)党は予想通り、

  • 商品やサービスの値段が上がる一方なのに、インフレ率に合わせた賃金の引き上げをしないことは、低所得者層を無視しているのも当然
  • 経済専門家は4%の引き上げ指標としているのにも関わらず僅か2%の引き上げとは、連立内閣は公約としている税金削減を実行するにあたり、富裕層の機嫌と弱者層を引き換えにしている

経済的に苦しんでいる家庭には十分でなく無謀

と、断固反対しています。

最低賃金引き上げ率がインフレーション率に相応かどうかについては、私は専門家ではないので個人的な意見は控えます。

ですが日本でここ数年急増している時給が高い国に移って短期間働く「海外出稼ぎ」を検討している方には、この機会によく考えてもらいたいと思います。

単純に時給だけを比べれば、ニュージーランドは魅力的な国だと言えるでしょう。
ただし、時給と同じように物価も高く、特に賃貸家賃は驚くほど高いです。
例えばウェリントンの街中でフラットシェアといって一軒を数人でシェアすると相場は週に380ドル前後です。最低賃金でフルタイムで働いて税金を差し引いた手取り額の半分に相当します。それから食費や他の必需経費を差し引くと手元にはほとんど残らないでしょう。

海外出稼ぎされる方は、最低時給だけでなく実際に生活できるかどうかも含めて検討されることを強くお勧めします。

Ngā mihi
wonderer

(参照)https://www.google.com/amp/s/www.newshub.co.nz/home/politics/2024/04/minimum-wage-benefits-student-allowance-all-the-payment-increases-coming-into-effect-today.amp.html

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。