2024年 ニュージーランドで生活する上でのプラス、マイナス要素

Kia ora

ニュージーランドでは、今年2024年に入り野菜や果物が去年に比べて安く手に入るようになりました。最低賃金も上がり喜ばしいことですが、逆にマイナス面も増えてきています。

この編では2024年ニュージーランドで生活するに当たり、こうしたプラス要素とマイナス要素を紹介します。

では早速2024年ニュージーランドに住むにあたってプラスとなる要因を紹介します。

ニュージーランドに住むプラス要因は何と言っても高い時給です。この4月よりニュージーランドの最低賃金は前年度より2%の引き上げされNZ$23.15となっています。この最低賃金の80%である研修/見習い賃金もNZ$18.16に上がっています。
また9月1日からは* Living Wage (生活賃金)も $27.80に増額されます。

食糧品の値段のインフレーションが収まりつつあります。2023年4月から2024年3月にかけて上昇率は0.7%と、2021年の3月以来最も低い率を記録しました。前年度は2.1%、その前の年は12.1%の上昇率でした。
インフレ率が低い理由に、野菜や果物の値段がこの一年で劇的に下落したことが挙げられます。 下落率は13.3%と1999年以来の記録で、特にトマトやレタス、アボカドに顕著に表れています。また月別の対比では2月に比べて3月は食糧品の値段は0.5%下がりました。クマラ(さつまいも)、りんご、ラム肉、ビーフステーキ、ベーコンの値下がりが影響しています。逆に、アルコール類、そして外食産業では去年より6%高くなっています。

(出典)https://www.newshub.co.nz/home/lifestyle/2024/04/annual-food-price-inflation-slows-to-0-7pc-the-smallest-rise-in-three-years.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

どこの国もそうであるように、生活するにあたってプラス要因ばかりではありません。勿論マイナス要因もあります。
また、プラス要因が転じてマイナス要因になるというケースもあります。

最低賃金が2%の引き上げでNZ$23.15になったことに併せて、今年3月の時点でニュージーランド全体での給与もしくは時給は平均で4.1%上昇しています。これは、4%のインフレーション率を超えています。その理由として、公的機関の5.6%の給与の引き上げが挙げられます。
特に、医療と福祉分野では残業代を含めた給与の8.1%引き上げを示し、両分野での人件費のインフレーションは6.3%に上っています。
このように非常に高くつく人件費を補うため、物品やサービス料金に上乗せられることは勿論ですが、中には閉業に追い込まれるケースも危ぶまれています。

これまで下がりつつあった失業率が、2024年3月までの上四半期に4.3%に上昇し、失業者数は10,000 人増えて134,000人となっています。
一方で、パートタイムなどの非正規雇用者の数は去年の10月~12月の下四半期に比べて16,000人増え 355,000人を記録しました。
また、若者の失業数は1年間で21,000人、非正規雇用者数は44,100 人に上り、若者の定職離れが顕著に現われています。
専門家の予測では、失業率は2025年中旬までに5.5%上昇すると予測されています。

今年に入り持ち家住まいの率が下がり、借家の率が劇的に跳ね上っています。専門家によると、持ち家を買う余裕がない人の数が増えているからだそうで、これまで以上の人が借家に、そして長い間住んでいます。統計では、去年2023年11月の時点で約41万戸の借家(一軒家、アパート、フラットなどを含む)が登録されおり、2010年に比べると38%増えていることになります。
一方、年平均4.57% の率で上昇していると言われる賃貸料は、この1年の間に7.14%を記録しています。
一般に賃貸料金は世帯収入の20%を占めると言われています。住宅ローンや、固定資産税、保険料金などマイホームにかかるコストより低いですが、それでも安くはありません。また、住まいを変わるたびに子供の学校など生活環境が変わることもあります。さらに、売り手市場ゆえに、大家からの退去告知を恐れて中には借家の修復など借り手の権利を主張できないケースも見られます。

(出典元:https://www.opespartners.co.nz/property-management/historical-rent-increases. )

前政権が投じた公共交通機関料金12歳以下は無料、13~24歳は半額の制度が廃止になりました。
各行政区の補助により子供や学生には多少の割引がありますが、学生やぎりぎりの生活をしている家庭にとって学校や職場に行く鍵となる交通手段の値段が上がることは大きく影響します。
反対の声とともに、市民からは政府はサスティナブルな移動手段に投資すべきである意見も出ています。
が、執行にあったった現政権の Christopher Luxon ( クリストファー・ラクソン)首相は、ここ数年利用者数は23%減っており公共交通機関離れが進んいる。このため、政府は低所得者層には収入税の減額など大きな目で見てアプローチする必要があると述べています。

(出典元)https://www.1news.co.nz/2024/04/30/end-of-public-transport-subsidies-devastating-as-costs-bite/#:~:text=the%20close%20button.-,Fees%2Dfree%20advocates%20say%20it%20is%20’another%20blow’%20for,the%20cost%20of%20living%20crisis.

外務省大臣 Nicola Willis ( 二コラ・ウィルス)は人件費の削減のターゲットとし、各省や公共機関に対し6.5~7% の職員のリストラを要請、年間15億NZドルのコスト削減を目指しています。
現時点で4,000人がそのリストラの対象になっています。

余談ですが、このほどニュージーランドのテレビ局がまとめたニュージーランドとアメリカ合衆国の物価の違いを上げています。

  ニュージーランド(NZドル) アメリカ合衆国(NZドル) 比較
ガソリン1L当たり 2.85 1.64 72%高
2bedroomアパート賃貸月額 オークランドCBD 2,360 ニューヨーク 8,216 71%低
住宅値 925,812 663,517 40%高
平均収入(年) 65,749 100,462 35%低
大学の授業料 6000-10,000 17,412 54%低
医療診断費用 38 210 81%低

表を見ると、ニュージーランドはアメリカ合衆国に比べてガソリン代、賃貸料が70%、住宅地は40%高く、逆に医療診断費用は81%低いことがわかります。
ニュージーランドは国民個人の生活維持費がとても高く、また医療福祉制度が進んだ国であると言えるでしょう。

(参照)https://www.1news.co.nz/2024/05/05/prices-compared-how-kiwi-consumers-fare-against-us-counterparts/

以前別のブログの中でも書きましたが、これからニュージーランドに出稼ぎや移住目的で渡航予定の方には、賃金の高さだけでなくこうした現実も踏まえて渡航準備されることをお薦めします。

私が在住している首都ウェリントンでは、連日のように報道される国家公務員や職員のリストラのニュースは、自分自身はリストラ対象に当てはまらないとしても、親類や友人、知り合いが。。。と、心に黒い影を落としています。
また、心理的な影響から買い控えなど財布の紐も固くなりがちです。

こうして国民の消費率も下がっていることでしょう。

早く不況という暗闇のトンネルを抜け出すことを願うばかりです。

Ngā mihi
wonderer

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。