マオリ族の暦マラマタカで運勢やガーデニング、釣りの日を知る

Kia ora

ニュージーランドは今、マタリキ、マオリ新年を迎えようとしています。

マオリ族は西暦が導入されるまでは、マラマタカと呼ばれる独自の太陰暦を用いていました。マタリキ新年やそれぞれの月の始めなど時間を区別していた他、その日の運勢を見たり、釣りや植栽に向いているどうかなど日常生活の営みにマラマタカが採り入れられててました。

そのマオリ族のマラマタカが近年、特にガーデニングで脚光を浴びています。
この編ではそのマラマタカについて詳しく解説していきます。

マラマタカは、ニュージーランド先住民族のマオリ族が用いていた月の満ち欠けの周期を基にした太陰歴(たいいんれき)を指します。

マラマタカでは、マオリ語でwhiro (フィロ )と呼ばれる新月と、特定の星や星団が月の始まりの合図となります。
ひと月は新月から満月になるまで29日と半日です。
いち年は12か月からなり、いち年の始まり、つまり新年は Pipiri(ピピリ)と呼ばれる 5月~6月になります。新月とともに明け方の空にマタリキ星団が現れることから、この時期はマタリキと呼ばれ、国民の祝日も制定されているなど、国を挙げてマオリ新年が祝われています。

尚、部族によってマラマタカの呼び方や、満月をひと月の始まりとするなど、マラマタカの認識が異なります。

マラマタカの道理をよく理解するために、ここで太陰暦について簡単に説明します。

  • 月の満ち欠けの周期を基にした暦(暦法)である
  • 陰暦(いんれき)とも言われる。「太陽暦」(陽暦)の対義語である
  • 英語でlunar calendarと呼ばれる
  • その周期を朔望月(さくぼうげつ)といい、1朔望月を1月とする。
  • 月は地球に対して一定の周期で公転しており、その周期は29.5日で1年は354日となる
  • 閏月(うるうづき)などを入れて季節のずれを調整する太陰太陽暦と、季節のずれを調整しない純粋太陰暦がある。単に「太陰暦」と言った場合、日本や中国などの東アジアでは太陰太陽暦を、イスラム圏は純粋太陰暦を指す。

因みに、日本で「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」で知られる六曜(ろくよう、りくよう)は中国から導入されています。 太陽が昇ってから陽が落ちるまでを3つ、夜に入ってから日が昇るまでを3つというように、1日を6つに区切り六曜を当てはめたと言われています。

マオリ族は日常生活の中に、日付や月などの時間の区分としてだけでなく、日々の営みを決める手段としてもマラマタカを取り入れていました。

特に作物の植え付けや収穫や、釣り、それから部族の儀式や子供の洗礼などには、マタマタカで向いている日に行い、向いていない日は避けられていました。
新年のマタリキなど季節行事も同様です。

ひと月に29ある月の形の内の幾つかを取り出しています。それぞれの月の形の呼び名や、エネルギーレベル、そしてガーデニングや釣りの良し悪しも記載しています。ご参考下さい。

月の呼び方マオリ語/日本語エネルギー推奨されるアクティビティ
whiro
新月
休養、リラックスして運気を高め、家族や友人と一緒に過ごしたり、自分を見つめたりして次に備える。野菜畑の準備。
ōuenuku
三日月
水や自然と戯れる。*pepeha(ペペハ)や *karakia ( カラキア )を人とシェアする。ガーデニング、釣り。
tamatea tūhāhā
上弦の月
予期せぬ事が起こりうるので用心が必要。周囲に注意を向けながら、自己啓蒙に精進する。 ガーデニング
huna
九日月
海を大切し、自身の健康や心、魂を省みる。
atua whakahaehae
十三夜の月
周囲を見渡して自然の変化に目を留め、悪しきものは除外。果物や樹木を植える
ōturu
満月
活動開始。短期目標を立てたり、人を集めたり、政の計画を立てる。ハーブの植え付け、釣り
takirau
立ち待ち月
行動を緩め、計画を見直し戦略を立てる。自然に触れる時間を作る。草むしりをして土の準備
oike
居待ち月
長期を見据えて少しリラックスする。変化を感じとり、他人へのアプローチ方法を考える。家の内と外を掃除。
tangaroa-ā-mua
下弦の月
チームの士気を高めるとき。家族や友人や周囲と考えを共有する。釣り、野菜を植える
ōmutu
二十六夜の月
エネルギーが段々と低下する。新月に備えてカラキアをしたり、休養、次の計画を立てる。用心を。

*pepeha (ペペハ)はマオリ族の自己紹介、karakia ( カラキア ) は祈りを意味する。詳細はこちらを。

ひと月に次いで、次はいち年を12に区切るそれぞれの月の名前とその意味を紹介します。
前にも述べましたが、マラマタカの1年は夜空に新月とマタリキ星団が現れる5~6月に始まります。

Pipiri (ピピリ 56月)
Ka pipiri ngā mea katoa i te whenua i te mātao, me te tangata.
寒さゆえ大地の万物の営みは減じる。人間もしかり。

Hongonui (ホンゴヌイ 6 ~7 月)
Kua tino mātao te tangata, me te tahutahu ahi, ka pāinaina
薪を燃やして団を取り寒さを凌ぐ

Here-turi-kōkā (ヘレ・トゥリ・コーカー 7~8月)
Kua kitea te kainga a te ahi i ngā turi o te tangata.
団を取る炎で膝が赤く照らされる

Mahuru (マフル 89月)
Kua pūmahana te whenua, me ngā otaota, me ngā rākau.
大地、そして植物や樹木のまわりの寒さが和らぐ

Whiringa-ā-nuku (フィリンガ・ア・ヌク  9~10月)
Kua tino māhana te whenua.
大地が段々と暖かくなる

Whiringa-ā-rangi (フィリンガ・ア・ランギ  10 ~ 11 月)
Kua raumati, kua kaha te rā.
 夏が近づき太陽が日増しに強くなる 

Hakihea (ハキヘア 11 ~ 12 月)
Kua noho ngā manu kai roto i te kōhanga.
雛鳥が巣の中で育つ

Kohi-tātea (コヒ・ターテア 12~1 月)
Kua makuru te kai: ka kai te tangata i ngā kai hou o te tau.
果物が熟し、旬を味わう

Hui-tanguru (フイ・タングル 1~2 月)
Kua tau te waewae o Ruhi kai whenua.
さそり座が夜空に輝く

Poutū-te-rangi (ポウトゥー・テ・ランギ 2 ~3月)
Kua hauhake te kai.
穀物を収穫する

Paenga-whāwhā (パエンガ・ファーファ― 3~4月)
Kua putu ngā tupu o ngā kai i ngā paenga o ngā māra.
穀物、野菜が畑の横に積まれる

Haratua (ハラトゥア 4 ~5月)
Kua uru ngā kai kai te rua, kua mutu ngā mahi a te tangata.
食物の貯蔵を終えいち年の仕事を締めくくる。

これまでニュージーランドの先住民族のマオリがその昔使っていたマラマタカを紹介してきましたが、いかがでしょうか。
運気などは迷信であると言ってしまえばおしまいですが、マラマタカ自体はそうではないようです。


潮の干満は月の満ち欠けによるものとして、日本では昔から太陰暦は釣り人に用いられていますが、実は潮の干満だけではありません。引力のおかげで新月には樹液や水分が根の部分に集中し、逆に満月には葉や花の部分に集中するそうです。
ですのでニュージーランドでは最近ガーデニング用のカレンダーにもこのマラマタカが掲載されるようになりました。

先人が自然から得た知識は奥深いものがあると思いませんか?

Ngā mihi
wonderer

 

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。