
Kia ora
ニュージーランドの グリーンストーン/ Pounamu の第3話です。
今回はHei Tiki ( ヘイ ティキ ) について紹介します。
ニュージーランドに馴染みがある人なら、たいてい、Hei Tiki ( ヘイ ティキ )と言葉を聞いたけではぴんと来なくても、下の写真を見てピンとくるという人が多いのではないでしょうか。

Hei Tiki from Creative Commons
前編の「グリーンストーン 第2話 – デザイン選びは正しく」で、「胸から下げるペンダントの Pounamu は、肌の上に直接着けることによって、その人のエッセンスを吸い込むので、着けた人が他界した後子孫が身に着けることによって、その家族の絆が深まるといと信じられている」と書きましたが、そのもっとも代表的なものが、この Hei Tiki ( ヘイ ティキ )になります。
Hei Tiki ( ヘイ ティキ )の由来
Hei Tiki ( ヘイ ティキ ) の Hei はマオリ語で首、もしくは首にさげるペンダントを意味し、Tiki ( ティキ ) は、この人間の形をしたものを指します。
Tiki ( ティキ )は、マオリ神話の中に登場する唯一の人間で、森の守護神、 Mahuta ( タネマフタ)によって創造されたと言われています。女神 Hineteiwaiwa ( ヒネ テイワイワ ) を象徴し、生殖、出産、生命の営みを意味します。
Hei Tiki ( ヘイ ティキ )はマオリ代々に伝わる
このため、昔は、妊娠している女性に、安産を願い夫の家族が Hei Tiki ( ヘイ ティキ ) のペンダントを贈っていました。

Maori-Wahine-with-Matt-of-Kiwi-Feather-and-Pendent-Heitiki-by-David-Paul-Gooding.
そして、この Hei Tiki ( ヘイ ティキ ) は、持ち主が他界すると一緒に埋葬されることもあります。およそ一年後、マオリの慣習に従い石塔に移す為に掘り起こされた際に、家族の手にゆだねられます。
こうして、Hei Tiki ( ヘイ ティキ ) は代々の子孫にまで受け継がれていきます。
こんにちの Hei Tiki ( ヘイ ティキ )
このように、Hei Tiki ( ヘイ ティキ ) は、外見のみならず独特な意味合いがあり、そう簡単には贈り物として選べません。
が、最近は、グリーンストーン/ pounamu で作られたものだけでなく、シリコンや粘土など色々な材質で作らたものが、クラフト・マーケットなどでお目見えするようになりました。色も、ピンクやオレンジ色など斬新で色とりどりです。これなら、お洒落感覚で身に着けることができるかと思います。
自分でHei Tiki ( ヘイ ティキ )を作ってみたいという方、まずはこの動画を観て試してみるのもいいかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=2NB4zDxyuAg
余談ですが、Whanganui ( ワンガヌイ ) 出身でその辺りの部族の酋長の子孫だという同僚は、冠婚葬祭や同僚の送別の会など際は、必ず先祖代々受け継がれているという、見事な Hei Tiki ( ヘイ ティキ )のペンダントを身に着けていました。長さが10 cm以上とかなり大きいそのHei Tiki ( ヘイ ティキ )、彼女の話では保険評価額は$NZで4万5千ドルだそうです。
また、数年前ですが、イギリスで家の庭でHei Tiki ( ヘイ ティキ )が偶然見つかり3千ドルの値段がついてニュースになりました。
そのHei Tiki ( ヘイ ティキ )は、頭の部分が少し欠けているにも関わらず、1600年から1800年代の初めに、稀な色が薄い種類のグリーンストーン/ Pounamu で作られており歴史上貴重なものとして、その値段が付いたそうです。
このようにHei Tiki ( ヘイ ティキ )はとても価値があるものです。
もし自分で所有する機会があればきちんと鑑定をしてもらって大事に扱うことをお薦めします。
グリーンストーン/ Pounamuとマオリとの関係や、ペンダントのデザインに興味がある人は是非ごちらをご覧ください。
Ngā mihi
wonderer