Tēnā koutou
コロナウイルスによるロックダウンがレベル2となり、先日およそ三か月ぶりに同僚と職場で再会することができました。以前と全く同じ状態で同僚と肩を並べて働くことは当分先になりそうですが、同僚の元気な姿を見たり、上司からの説明でこれからの方向性がわかり、一種の安堵感を覚えたものでした。
さて、その集まりは、マオリの同僚の音頭で karakia ( カラキア ) から始まりました。 karakia ( カラキア ) は形式的に使われるものとして、私は普段あまり気に留めることがなかったのですが、今回のロックダウン明けで数カ月ぶりに会う同僚と一緒に行った karakia ( カラキア ) はとても厳かで特別に感じるものがあり、ここでその karakia ( カラキア )について調べてみることにしました。
このブログの文末に、前述の同僚が選んだロックダウン明けの karakia ( カラキア ) を載せていますので、是非最後までお読みください。
目次
karakia ( カラキア ) には集まりが上手くいくようにと願いが込められている
karakia ( カラキア ) はマオリ族の祈りのことで、マオリ族は昔から、食事の前や儀式を行う際に karakia ( カラキア ) を行う慣習があります。
現在は、 *Pōwhiri ( ポフィリ )と呼ばれる歓迎式や冠婚葬祭は勿論、マオリ人の集まりとは限らず、職場や学校などの集まりやミーティングが上手く行くよう願いを込めて、参加者全員で karakia ( カラキア )をすることがニュージーランドでは日常となっています。
*Pōwhiri ( ポフィリ )についてはこちらをご覧ください。
karakia ( カラキア ) はもともとおまじないであった
karakia ( カラキア ) はもともと、マオリ族が先祖と精霊の導きと保護を祈願し、呪文のようにり返し繰り返し唱えることで、その部族に利益をもたらし問題を避けていたと言われています。簡単に言うと、まじないのようなもので、参加者全員の意志力を強めて可能性を高くしたということになります。神を聖なるものとして崇拝する宗教的な儀式ではありません。
karakia ( カラキア ) の特徴
昔は、マオリ部族の中の tohunga ( 祭事、霊的な指導者 )が霊とのメディア/ 媒体者として karakia ( カラキア ) を執り行っていました。
敵と戦う、食料となる鳥を狩る、漁をする、kumara(さつまいも)を植える、いなくなった犬を探す、さては頑固な女性の性格を和らるためなど、日常生活におけるそれぞれの状況に応じた karakia ( カラキア ) が唱えられていました。
現在では、大人から子供まで誰もが karakia ( カラキア ) を唱えることができます。
中にはうっとしい雨が止むようにという子供用の karakia ( カラキア ) もあるほどです。
カラキアで呪文のように唱えられている言葉は、古くから伝わる言葉で色々な事象を象徴しています。
そしてその内容ですが、冒頭で、atua ( マオリの守護神、霊など)を呼び覚まして讃え、中分では事象を解き放ち、最後に事象と結びつくアクションが完了したことが示されています。
19世紀に入ってマオリ族にキリスト教が普及すると、カラキアの末尾に、amine(アーメン)と言う言葉を入れてキリスト教に応用するものが登場しました。
現在は、伝統的なカラキアとキリスト教の影響を受けたカラキアの両方が日常隔たりなく使われています。
ロックダウン明けのkarakia ( カラキア )
最後になりましたが、冒用に述べた私の職場の同僚が選んでみんなで祈ったカラキアです。
Whakataka te hau ki te uru,
Whakataka te hau ki te tonga.
Kia mākinakina ki uta,
Kia mātaratara ki tai.
E hī ake ana te atākura he tio,
he huka, he hauhunga.
Haumi e! Hui e! Tāiki e!
西から突風が吹こうが
南から寒波が押し寄せてくるかもしれない
丘の上も、海も
凍り付くほどに寒くなるであろう
だがやがて夜明けがやって来る
凍り付いた大地や水は赤い太陽の光を浴びる
皆集まって結束するのだ
そして乗り越えようではないか
Ngā mihi
wonderer