Tēnā koutou, katoa
Taika Waititi ( タイカ・ワイティティ )が、「NZは人種差別の国」の発言をして、一週間が経ちました。
名前だけではピンと来ない人も多いかと思いますが、ワイティティは「BOY」「HUNT FOR WILDER PEOPLE 」などを製作したNZを代表する映画監督です。
現在43歳のワイティティは、マオリとロシア系ユダヤ人を両親を持ち、ウェリントンのビクトリア大学で演劇を学んでいる頃から舞台で活躍した後に、映画製作を初め、2010年の「BOY」で一気に知名度を上げを挙げた後に、「WHAT DO WE IN THE SHADOWS」、「HUNT FOR WILDER PEOPLE 」の大ヒット作品を世に送り出しています。
去年は、アメリカ製作映画「Thor: RagnaroK」を監督し、自らも出演。また、The New Zealander of the Yearにも選ばれました。
そのワイティティが、イギリスの音楽雑誌のインタビューで、
「NZは地球上で一番素晴らしい所だが、人種差別がはびこる場所である。今だに多くの人々が、マオリ語の土地の名前を正しく発音することさえ、あからさまに拒絶している」
と発言。
その翌日に、TV3の朝の人気番組「Breakfast 」のメイン・キャスト Duncan Garner (ダンカン・ガーナー) が、新聞のコラム欄に「ワイティティは間違いなく優れた映画監督であるが、この発言は極端すぎるものであって、意図的な破壊行為を思わせる」と書いた事が、火に油を注ぎいた状態となり、メディア界は喧々諤々とした状態になってしまいました。
それから一週間過ぎた今でも、この件に関しては色々な記事が毎日のように更新されています。
私は、ワイティティが言う、マオリ語の土地の名前が正しく発音されてない理由は、単純に人間のずぼらな性格によるものが大きいのではないかと思っています。
例えば、健康に良いと分かっていても階段ではなくついエレベーターで昇り下りするように、あまり深く考えずに、簡単で慣れている方法をつい選んだしまっているのと同じだと思うのです。
勿論、中には実際に忌み嫌っている人もいるかもしれませんが、子供の頃から英語だけを話す人、特に高年齢の人には、尚更、マオリ語の発音は難しいかと思います。ですが、tangata whenua ( タンガタ・フェヌア、大地に住む人々の意で先住民マオリ族を指す)であるワイティティにとっては、歴史的でもっと根深い問題を意識しての発言だったのかもしれません。
ちなみに、ワイティティは、NZの人種差別反対の運動「Give Nothing To Racism」にも参加しています。
このようにワイティティの発言で揺れているNZですが、私はそれでもNZは他の国に比べて、人種差別や男尊女卑の問題が極端に低く、ひとりひとりの権利が尊まれたとても良い国だと思っています。
アメリカは問題外として、隣のオーストラリアでは未だに、オーストラリアに最初に足を踏み入れた人はキャプテン・クックという人が多いですし、悲しきや日本では、ヘイト・スピーチなどが公衆の場で行われている始末です。
先代から日本で生まれているのだから日本人として認識される社会ではありません。元はと言えば、イギリスも日本も、帝国主義の名の元によその国を強制的に植民地支配した事が原因。
一方NZは、大英帝国の植民地となった時、treaty of waitangi (ワイタンギ条約)を交わし、史上で初めて、原住民のマオリ族とヨーロッパ人入植者との共存を図った国です。
この点から、NZは他の国に比べると人道主義の面でははるかに進んでいます。
だからこそ、紆余曲折をしながらも、今日のリベラルで平等主義の社会があるのではないでしょうか。中途半端な終わり方ですが、今回はここで一旦締める事にします。
ワイタンギ条約については、「ワイタンギ条約の本当の意義に馳せる熱い想い」で詳しく書いていますので、ご興味のある方は是非こちらを。
Ngā mihi
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