マオリの挨拶 HONGI ( ホンギ )

Kia ora,

 以前 マオリの挨拶という題で、Kia ora や、Tēnā koe/kōrua/Kōutou という言葉を使ったマオリの挨拶を紹介しました。


今回は、同じマオリ式の挨拶でも言葉での挨拶ではなくて、HONGI ( ホンギ )と呼ばれるちょっと一風変わった挨拶について説明します。

Te Puia Rotorua © Adam Bryce via Tourism New Zealand

HONGI ( ホンギ )の由来

HONGI ( ホンギ )とは、額と鼻を擦り合わせて行う挨拶で、古くから伝わるマオリの慣習の一つです。

額と鼻を擦り合わせることで、お互いの生命の息吹を交換し、客人はホスト側の部族の一員として迎えられと考えられていました。

今日においても TE MARAE ( マラエ:マオリ部族の集会所)での集まりや、Powhiri ( ポフリ)と呼ばれる歓迎式、Tangi(タンギ:葬式)などの儀式の時には HONGI ( ホンギ )で挨拶する事が習わしとなっています。

また、
日常生活においても、特に男性の間で、相手に対しての尊敬の念を表すために HONGI ( ホンギ )を交わしている風景を目にすることがあります。右手で握手しながら左手をお互いの肩に置き、目を閉じてがっちりと額と鼻を擦る姿は真剣そのもので、ある種の緊張感が漂います。

Hongi ( ホンギ )を行うのはマオリ男性とは限らない

 ですが、ホンギは男性だけがするものと限りません。相手が女性でも、またマオリでなくてもホンギで挨拶される事があります。

Te Puia by Fraser Clements via Tourism New Zealand

ニュージーランドでは、国賓が空港に着くと総理大臣とともに地元のマオリ部族の代表が出迎え、そしてホンギをする習わしがあります。

イギリス王室のウィリアム王子とキャサリン妃もホンギをしました。キャサリン妃は前もってホンギについて聞かされていたようでちゃんと鼻を擦り合わせていました。

が、時々ホンギを知らない要人が勘違いして、フランス式に頬にキスしようとした模様がニュースで報道されてお茶の間を沸かせることもあります。

あとがき

私はこれまで、職場で仕事を始めた時と、娘の小学校入学の Powhiri ( ポフリ: 歓迎式 )でホンギをした事があります。初対面の相手に、しかも男性と鼻を擦り合わせるのですから、かなり緊張しました。それも、私は客人の立場にあったため、ホンギをした相手は迎えてくれた大勢の人数でした。

慣れれば形式的に額と鼻を擦り合わせることに抵抗感は無くなるのでしょうが、人生の内に数度あるかないかという私自身は、好んでホンギをしたいと思わないのが本音です。普段はさすがにホンギで挨拶される事がないので、いいのですが。。。

 Ngā mihi
wonderer

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。