巨大タコ?スペルミス?折紙動物? ウェリントンに奇抜なアートがお目見え

Kia ora

お天気のいい日にアイスクリームを食べながらウォーター・フロントをそぞろ歩く。ウェリントンを訪れたら一度はして経験してみたいものですよね。
そのウェリントンのウォーター・フロントに、最近新しいアートのオブジェクトが幾つかお目見えしているので紹介します。

ウエリントンにおいでの際はお見逃しなく。

Te-Wheke-a-Muturangi

 

現在ウェリントンのウォーター・フロントで最も人の目を引いているのが、この巨大タコのオブジェ。
* City to Sea Bridge下のWhairepo Lagoon ( ファイレポ・ラグーン)に鎮座し、圧倒的な存在感を醸し出しています。


このオブジェの名前は  Te-Wheke-a-Muturangi (テ・フェケ・ア・ムツランギ) 。マオリ語でムツランギのタコを意味します。

Te-Wheke-a-Muturangi (ムツランギのタコ)は、マオリ神話でマオリの祖先の地と言われている Hawaiki ( ハワイキ:南太平洋諸島に位置する)のムツランギ家の守護神です。が、あまりにも破壊的な力があるために、探検家クペが討伐しようと追っている内にニュージーランドを発見したと言われています。

この逸話に興味がある方はこちらをどうぞ。

Te-Wheke-a-Muturangi (ムツランギのタコ)のオブジェクトは、ウェリントンで開催中の Aotearoa NewZealand Festival of The Arts のプロジェクト” Kura Moana ” ( クラ・モアナ )の作品の一つ。

” Kura Moana ” ( クラ・モアナ)は 海を学ぶ場所を意味し、その昔南太平洋諸島の人々が別の新しい人生を求め、長い航海を経てニュージーランドにたどり着いた過去の歴史を再現するものです。

夜にはクペと巨大タコの戦闘が水の上に投射される他、色々なアートがウォーター・フロントのあちこちに設置されています。

このTe-Wheke-a-Muturangi (ムツランギのタコ)初めとするAotearoa NewZealand Festival of The Arts は3月21日まで開催されています。
お見逃しなく。

尚、 Te-Wheke-a-Muturangi (ムツランギのタコ)は、マオリの精鋭アーテイスト Lisa Reihana ( リサ・レイハナ)によって製作されています。リサ・レイハナはアート界の最高峰と言われる ヴェネツィア・ビエンナーレでNZ代表として作品を展示したことがあります。

因みにその作品『Pursuit of Venus [infected] 』は、テパパ博物館で一般公開されています。
詳細は、こちらをどうぞ。

 

また、City to Sea Bridge については、こちらを。

 

WELL_NGTON

今年1月にマリーナに登場して以来、度々マスコミで報道されている黄色い文字の彫刻。初めて見た時にあれっ?と首を傾げた人も多いのでは。
よく見ると、WELLINGTONではなく WELL_NGTONです。そうです、 I ( アイ) の文字が抜けています。

これは勿論スペルミスではありません。その抜けている  スペースに立って  i ( アイ)   をポーズして、 ‘I am in Wellington’. を表現しようという計らいです。
おかげで今インスタグラム上でウェリントンで最も人気のあるスポットになっているとか。因みに公式ハッシュタグは#inwellingtonです。

このWELL_NGTONの彫刻はウェリントン市の依頼でThe Glue Societyというアート団体が製作しています。高さ 2.2 メートル、横幅8.9 メートル、重さは各々80~120kgです。

ウェリントンへの帰属意識を高めると共に、ソーシャル・メディアでウェリントンを世界に発信する目的で作られています。
そして、海外 からの観光客は勿論のこと、オークランドなど国内からの観光客にも撮った写真を家族や友人とシェアし広まるのが狙いです。

現在はテパパ横のマリーナ側に設置されていますが、色々な所に移すことが可能で、また今の色の黄色から変えることも出来るとか。

集客目的で製作費13万ドルを投じて製作されたこの彫刻、経済効果は如何ほどに。

# Paper Pals Aotearoa

次はテパパ博物館の前の広場にある彫刻です。4つの高台の上でも新しい彫刻に衣替えしています。

新しい彫刻は、折り紙で作られたような動物で、 #Paper Pals Aotearoa ( ペイパー・パルズ・アオテアロア) の作品名がついています。訳するとニュージーランドの折紙の友という意味合いになるかと思います。

子供の頃から折り紙に馴れ親しんでいるという製作者の Ben Pearce  ( ベン・ピアース) は、低コストで誰でも簡単に習えることができることから、折紙は民主的で庶民的な芸術であるとしてこれまで数々の彫刻で表現しています。

この #Paper Pals Aotearoa ( ペイパー・パルズ・アオテアロア) は、昨今のパンデミックという苦しい状況の中で、ユーモアがあり、そして老若男女誰でも思わず微笑んで優しい気持ちになるものをという発想から生まれたと言います。

その折紙動物のモデルとして、プケコ(NZ の固有種の鳥)、パンダ、猿、それから恐竜の類いと、大陸や時を隔てた動物が選ばれています。その背景に、彫刻を見た人に人間と野生動物、それから大陸と野生動物の関係を意識してもらいたいとの願いが込められており、環境意識も作品の意図に含まれています。

ちなみにテパパの広場に彫刻が設置されるようになって15年、この折紙動物は8番目となります。彫刻は、ウェリントン・スカルプチャー・トラストが応募作品の中から選び、受賞者には賞金として5万ドルが与えられます。

あとがき

色々なアートのオブジェが楽しめるウォーター・フロントは、やはりアートの街ウェリントンならではのことでしょう。

この編では3つのオブジェクトを紹介しましたが、他にも面白いアートのオブジェクトは沢山あります。別の編で紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。

Ngā mihi
wonderer

 

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。