ダリ: シュールレアリスム展@NZテパパ博物館

Kia ora

ニュージーランドの首都ウェリントンにある国立博物館テパパにて特別展「シュールレアリスム・アート」がこのほどオープンしました。

シュールレアリスム・アートのコレクターとして世界で名高いオランダの美術館から180点の作品が一同に公開されています。これほどの規模を誇るシュールレアリスムの展示会はアジア太平洋地域では初めての試みです。

「シュールレアリスム・アート」は、現在の多様化するアートに最も影響を及ぼし、言わばポップ・アートの原点とも言えます。10月末まで開催されていますので、この機会をお見逃しなく。

概要

「Surrealist Art: Masterpieces from Museum Boijmans Van Beuningen」の名がついている通り、このテパパの「シュールレアリスム・アート」点は、世界でも有数のシュールレアリスム・アート・コレクターであるオランダの ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館 から来ています。

展示されている画家は巨匠 サルバドール・ダリの他、ルネ・マグリット、マン・レイ、マックス・エルンスト、 マルセル・ドュシャン などシュールレアリスム・アートの代表アーティストが名を連ねています。しかも展示数は180にも及び、絵画、写真、彫刻、フィルム、本など様々なスタイルの作品を見ることができます。

Man Ray, The Witness, 1941 (1971)

シュールレアリスムって何?

そもそもシュールレアリスムは、1924年フランスの詩人アンドレ・ブルトンのマニフェスト「シュールレアリスム宣言」をきっかけに生まれた芸術運動を指します。

芸術家や作家は、シュールレアリスム・グループを結成 。政治的な行動をとる手段として数々の作品を発表し、またたく間にシュールレアリスムの動きは世界中に旋風を巻き起こしました。

 ( このとても貴重なアンドレ・ブルトンのマニフェスト「シュールレアリスム宣言」も展示されています。)

シュールレアリスム・アーティストの目標は、夢や、無意識の中に潜んでいる意識を追求して表現することです。人間の無意識の世界を訴えるため、作品は、概して挑発的、大胆、そしてふざけているようにも解釈され、このため無意識の存在さえ一般に知られてなかった当時は、見る人は驚き、混乱し、歓喜するなど、感情を激しく揺さぶられました。

このシュールレアリスム運動はその後世界各地に広まり、現代のアートシーンにも色濃く影響を残しています。
日本では詩人の*瀧口 修造(たきぐち しゅうぞう)が知られています。

*瀧口 修造(たきぐち しゅうぞう)1903 – 1979年。近代日本を代表する美術評論家、詩人、画家。戦前・戦後の日本における正統シュールレアリスムの理論的支柱であり、近代詩の詩人とは一線を画す存在。
( 出典 : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%A7%E5%8F%A3%E4%BF%AE%E9%80%A0 )

シュールレアリスムを日本語に訳するのはなかなか難しいですが、一言で説明すると、超現実主義が当てはまると思います。

展示作品紹介

さて、テパパ博物館で開催されている「Surrealist Art: Masterpieces from Museum Boijmans Van Beuningen」の180点にも及ぶ珠玉の作品の中から、敢えて4つの作品をここで紹介します。

●  ダリ、 Mae West Lips Sofa、1938、( 110 cm × 183 cm × 81.5 cm )

ダリがパトロンの家のオブジェとして作成したこのピンク色のソファーは、当時セックス・シンボルとして知られていたアメリカの女優にインスピレーションを受け、官能的な感覚を表現すべく製作されています。

● ダリ、Impressions of Africa、1938

ダリの「実際に行ったことはないが、記憶の中にあるアフリカは作品にする価値がある」の声明を表した作品。絵の中でキャンバスに向かってるのがダリ自身、その後ろには妻の顔と神父の顔が描かれ、無意識の中にあるアフリカとの繋がりが描かれています。

● マン・レイ、 Venus Restored、1936、彫刻、 ( 41.0 x 44.0 x 71.0 cm )

女性は女神として崇められる一方で、男性に従属し、歪んだファンタジーやエロティックな暴力を受けるものという男性の願望を描いたシュールレアリスム・アートの一例です。

● ルネ・マグリット、Not to be reproduced ( 複製禁止 ) 、1937

鏡に向いている顔でなく、反対側の頭の後ろが、それも本物そっくりに映っているこの絵には、「イメージは、真実をそのまま映しておらず、造られた真実を映している。」のメッセージが込められています。

サルバドール・ダリ詳細

シュールレアリスムと言えば真っ先に思い浮かぶアーティスト、ダリのプロフィールを挙げます。

サルバドール・ダリ ( Salvador Dali )
1904年スペインのフィゲリス ( Figueres ) に生まれる。マドリッドで教育を受けている間、印象派とルネッサンス運動に強く影響を受け、その後キュービズムアートに強く興味を持つようになる。1929年にパリに移りシュールレアリスムアーティストのグループに参加。すぐにグループのリーダー的な存在となり、代表作品である「記憶の固執」など数々の著名な作品を生み出した。1940年アメリカに移り商業的な成功を収め1948年にスペインに帰国。

スペインではカソリック教の信仰心に戻ると声明しながらも、当時のフランコ体制下のファシズムを支持する内容の作品を公に幾度となく発表し、シュールレアリスムアーティストのグループから破門される。
が、シュールレアリスムの展示会には主要アーティストとしてその後も招待され続けた。1989年没。

ダリは生涯に渡り夢、無意識、セクシュアリティ、宗教、化学や自身の人間関係などを絵画、グラフィック・アート、フィルム、彫刻、家具、写真など1,500点以上にものぼる作品で表現し、他のシュールレアリスム・アーティストや後のポップ・アートに多大な影響を及ぼした。が、実際にはそれらの作品よりも、ダリ自身の公の場でのエキセントリックで仰々しい振舞いが世間の注目を集めた。

(出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Salvador_Dal%C3%AD)

あとがき

シュールレアリスム・アート「超現実主義アート」と言うと複雑で理解するのに難しく思われた方、上記の作品解説を読んで「なんだー、そんな事なのかあ」と思っていただければ幸いです。

現在の私たちの身の回りにあるアートの発祥の作品として、思いの外楽しむことができるのではないでしょうか。

展示会には、下の写真のような、自分の夢を話して活字にするブースもあります。
小学生中・高学年以上の子供も充分に楽しめるかと思います。

このテパパのシュールレアリスム・アート展は10月末まで開催されていますので、ニュージーランドにいらっしゃる方、ウェリントンの観光がてらにいかがでしょうか。
観覧の際は、事前にチケットを購入することをお薦めします。週末などは時間帯によってチケットが完売しているようです。

またテパパでは、*日本人アーテスト塩田千春さんの「 The Web of Time」も展示されています。ぜひ一緒にお楽しみください。

*塩田千春さんの「 The Web of Time」の詳細はこちらをご覧ください。

●「Surrealist Art: Masterpieces from Museum Boijmans Van Beuningen」情報
    開催期間 :2021年10月31日迄
  場所    : テパパ国立博物館4階
  入場料   :  大人$23.5 学生$ 18.50 子供 $ 9.50
                     ファミリーパス A ( 大人2人子供1人)$ 35.50
                     ファミリーパス B ( 大人2人子供2人)$ 57.50
     チケット予約サイト : 
  https://premier.ticketek.co.nz/shows/show.aspx?sh=SURREAL21

● テパパNZ国立博物館
    場所    : 55 Cable Street, Wellington 6011, NZ
       開館日  : 10時~6時 クリスマス日を除き無休
   入館料  : 無料
     HP     : https://www.tepapa.govt.nz/

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1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。