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かのロンリー・プラネットに「世界で最もクールな小首都」と言わしめたニュージーランドの首都ウェリントン。美しい自然に囲まれ、多様な文化と創造性に富んでいることで知られています。
この編では、そのウェリントンの観光ガイドでほとんど取り上げられないとっておきの情報を紹介します。
これからウェリントンに住む予定の方は是非ご参考下さい。
目次
絶対知っておくべき4大事項
ではまず初めに、これからウェリントンを訪れる予定の方向けに、絶対知っておくべきウェリントンの4大事項を紹介します。
其の1: ニュージーランドの首都
其の2 : カフェとアートの街
其の3 : *「Windy Wellington/風の都」の異名を持つ
其の4: **地震が多い
*傘は使えません。フード付きのレインコートはウェリントンでは必需品です。
**1日に少なくとも1回の地震が記録されています。
ウェリントンの特徴
勿論絶対知っておくべき4大事項以外にも、ウェリントンならではの面白い特徴がたくさんあります。
これからウェリントンに定住される方、頭の片隅にでもいいので覚えておいて下さいね。
- ニュージーランドの北島の南西部、南緯41° 17’(41時17分)に位置する。
イギリス王室主権の国の首都として最南端にある。 - 政府機関の官庁やBeehiveと呼ばれる国会議事堂の他に、国立公文書館、国立図書館、国立博物館テパパがある。またニュージーランド・シンフォニー・オーケストラやロイヤル・ニュージーランド・バレエ団が本拠地を置く。
- ウェリントン市の人口は、210,000人。
ポリルア市やハット市などの隣接する市を含んだウェリントン地方の人口は434,900人。 - ニュージーランドでは、オークランド、クライストチャーチに次いで3番目に大きい都市である。
また、ニュージーランドの他の市と比べて人口密度が高い - 温帯海洋性気候で一年中比較的に穏やか。30 °C を越えたり 4 °C を下回ることは滅多にない。
- 平均風速27km/時で、世界で最も風が強い首都。
強い南風が吹き抜けることが多く、このため体感温度が低く感じられる - 1840年に初代 * ウェリントン公 Arthur Wellesley ( アーサー・ウェズリィー)にちなんで付けられた。
- ウェリントン湾には三つの島がある。
Matiu/Somes Island, Makaro/Ward Island、Mokopuna Islandで、戦時中に設けられたMatiu / Somes Islandの捕虜収容所には第二次世界大戦中に日本人が収容された。 - ウェリントンの地元のプロのラグビーチームは Hurricanes ( ハリケーンズ)
*ウェリントン公◆英サマセット州のウェリントンに由来する貴族称号で、初代のウェリントン公はアーサー・ウェルズレー(Arthur Wellesley)。
マオリ語の呼び方
ウェリントンはマオリ語で3通りの呼び方があります。
- Te Whanganui-a-Tara ( テ・ファンガヌイ・ア・タラ)
タラの偉大なる湾の意味。
ウェリントン湾は、タラ (マヒア半島の首長Whatonga 息子)が制定した説から。 - Te Upoko-o-te-Ika-a-Māui (テ・ウーポコ・オ・テ・イカ・ア・マーウイ)
*マーウイが釣った魚が北島を形成したというマオリ神話に由来し、その魚の頭の部分がウェリントンに当たる - Pōneke ( ポーネケ)
旧ウェリントン湾の呼び名「 Port Nicholson(ポート・ニコルソン) 」を短くした「Port Nick」を英語の音におき替えたもの
*マウイの神話についての詳細はこちらを
歴史
1) マオリ族とウェリントン
先住民族マオリ族に伝承される話では、10世紀に Kupe ( クペ ) が、ポリネシア諸島のHawaiki ( ハワ10イキ)から巨大タコを追いかけてニュージーランドを発見。そしてウェリントン湾岸に妻や娘住み着いたと言われる。(クぺの子孫の部族はRangitāne 、Muaupoko 部族と呼ばれた)。
19世紀初頭にマオリ族部間に勃発した* マスケット戦争で、ニュージーランドの北部の部族Te Āti Awa ( テ・アーティ・アワ)族が支配した。
その後マヒア半島の首長Whatonga (ファトンガ)の息子のタラが南下して定住し、1820年まではWhatonga族の子孫で占められた。が、 次第に他の部族に制圧されるようになった。
その部族にワイカト地方の Ngāti Toa (ナーティ・トア)の部族が含まれる。Ngāti Toa (ナーティ・トア)族は、** マオリ族の武闘ダンス Haka(ハカ)を作った首長Te Rauparaha (テ・ラウパラハ)が率いた部族として知られており、現在もウェリントン北部に多くの子孫が住む。
* マスケット戦争 1807~1837年 イギリス入植者からマスケット銃を手にしたマオリ族が部族間の互いの領土を巡り戦争を、繰り広げた。戦争の数は3,000に上り、40,000 人近くの死者、10, 000人が奴隷。マオリ族の部族構成と歴史をを著しく変えた。
* * マオリ族の武闘ダンス Haka(ハカ)を作った首長Te Rauparaha (テ・ラウパラハ) の詳細についてはこちらを。
2) イギリス入植者とウェリントン
19世紀の初頭から主にイギリスの捕鯨家や商人が住み、マオリ族の協力の元貿易を始める。
1839年 William Wakefield(ウィリアム・ウェイクフィールド)大佐がマオリ族から土地を買いイギリス市民に売り始める。イギリス人入植が本格的に始まる。
1840年 ワイタンギ条約が締結。
– Petone(ペトネ)やウェリントン市内に入植者用の家が建て始められる。
– 初代測量監督のEdward Wakefield (エドワード・ウェイクフィールド)の元現在の自治形態 が作られる。
– ウェリントン市となる。

1865年 ニュージーランドの中央に位置し、またイギリス王室の海軍の軍艦も寄港できる港があるという理由で、オークランドに替わり首都に制定される。同年、国会が開かれる。当時の人口は約5,000人。
1876年 最初の庁舎
1881年 旧最高裁判所
1910年 Governor-General / ガバナー・ジェネラルと呼ばれるNZ総督の公邸、首相官邸が建てられる。
社会面
1) 経済
基幹産業はサービス業です。政府のお膝元、財政、ビジネスが発達している他、特殊効果技術を含んだ映画産業のメッカでもあります。またここ数年は二つの大学の研究所のおかげで、情報技術改革産業の目覚ましい躍進が見られます。
港湾都市として、国内、海外の輸入出を行う他、オークランドに次いで2番目に大きい国際空港を備えています。また電車とバスが走っており、南島のピクトンまでフェリーも就航しています。
2) 文化
ウェリントンは芸術や文化においてもニュージーランドの首都として位置付けられます。
- 「カフェの街」オランダ移民がニュージーランドで初めてのカフェを開き文化人の集いの場としてカフェ文化が栄えた
- 「学生の街」 キューバ・ストリート界隈はビクトリア大学とマッセイ大学の若い学生の文化が栄えており、お洒落で小さな飲食店、雑貨屋、OPshop と呼ばれる中古品店が立ち並ぶ
- 「アートの街 」 テパパ国立博物館を初めとする博物館や美術館は入場料が無料。そして街の至るところに、ウェリントンならではの面白い彫刻やオブジェが見られる。
- 「映画の街」アカデミー賞を受賞したピーター・ジャクソン監督『指輪物語』の製作会社ウェタ・ワークショップを中心とした映画産業の発展のおかげで、世界でも有数の映画製作都市の地位を築く。
- 「イベントの街」各種コンサートやスポーツ大会、バレエ、オペラなどの劇場イベントが盛ん。WOW と呼ばれるWorld of Wearable Art (ワールド・オブ・ウェアラブル・アート ) は特に有名で、他にも民族別の映画祭や食の祭典などのイベントも沢山行わている。


3) 数字でみるウェリントン
次はウェリントンを数字で見てみましょう。
(すべてのデータは2018年の国勢調査を元にしています。)
- ウェリントン市の面積は 289.91 km2 人口密度735人/ km2 (東京15,000人)
- 15歳以上のの44%が大学修士課程以上の資格を保有、7.5%は無資格保有者
- 平均給与は 41,800NZドル(全国平均は$31,800) 28.6%が70,000 NZドル以上の収入を得ている(国全体では17.2% )
- 15歳以上のフルタイム雇用者 56.8%、パートタイム 14.6%、無職4.5%
- ヨーロッパ系74.1%、マオリ 8.6% パシフィック5.1%、アジア系 18.3% その他 4.5% (複数回答結果)
- 海外の出生率33.4% (全国値は 27.1%)。内訳 イギリス 6.2% 、インド3.1%、中国 2.6%、 オーストラリア2.0%、フィリピン, 1.7%、アメリカ合衆国1.5%、南アフリカ共和国 1.2%
- 53.2% が無宗教 31.4% がキリスト教, 0.4% 3.7% ヒンズー教、 1.6% イスラム 1.7% 仏教
- 96%が英語を話す
2020年の世界規模で行われた調査では209都市の内、 123番目に生活費が高い国に位置付けしています。
地震について
絶対知っておくべきウェリントンの4大事項に書いたように、地震王国のニュージーランドでも特にウェリントンは地震の多いところです。1日に少なくとも1回は地震が起きているそうで、勿論感じるのは年に数回ですが、それにしても異様な頻度で発生しています。
理由は、ウェリントンはオーストラリアと大平洋と二つの異なる地殻プレート上にあるためです。実際に海岸沿いに隆起した断層の一部を見ることができます。
過去に、1848年と1855年に推定震度8.2以上、1942年に推定震度7.2のワイララパ地震が起こっています。
最近では2014年1月に震度6.2、2016年11月の南島のKaikoura( カイコウラ)の震度7.8の影響で、ウェリントン市内の建物に破損が生じました。
あとがき
これまでウェリントンについて色々な面から紹介してきました。地震が多いという事実に驚いた人も多いかと思います。
個人的なウェリントンの感想を言うならば、ウェリントンは色々な人種と文化が見事に融合し、そしてリベラルな都市であることです。
アジア人に限定して説明すると、ウェリントンは1937年の南京大虐殺の孤児を難民として受け入れており、その2世や3世の中国人がウェリントン社会の中で一般市民として生活しています。
ですので、私がオークランドに住んでいた頃とは比べものにならないほど、アジア人ということで特別視されることはありません。
また、別の理由として首都であり、そして政府機関や大学に従事する人が多い為、リベラルな意識が高い人が多いことも事実です。
ウェリントンについては、『Wellington が THE BEST CITY IN THE WORLD に選ばれる!』でも特集しています。是非こちらもご覧ください。
ニュージーランド国全体の面白い特徴についてはこちらを。
Ngā mihi
wonderer
(参考)
https://en.wikipedia.org/wiki/Wellington
https://www.newzealand.com/int/wellington/