NZの北島を作った神 Māui ( マウイ)マオリ神話②

Tēna Koutou, Katoa

 お待たせしました。マオリ神話の第二話になります。
今回は、マオリ神話の人気者、 Māui ( マウイ ) を紹介します。

その前に、マオリ神話第一話を読みたいという方は、どうぞこちらをご覧ください。

Māui ( マウイ ) は、ニュージーランドだけでなくポリネシアの島々でも良く知られている名前です。

ウォルト・ディズニー社のアニメーション映画「MOANA」(邦題:モアナと伝説の海 2016年公開 )のおかげで、一躍世界中に知れ渡るようになりました。

この編ではニュージーランドに古く伝わるMāui ( マウイ )を紹介していきます。

 

Māui の特徴


ニュージーランドでは、Maui ( マウイ ) はマオリ族の神話で、もっとも親しまれている存在です。

マオリ語での本当の名前は Māui -tikitiki-a-Taranga、半分人間、半分動物の体を持ち、とても賢い反面大のいたずら好き、そして色々な鳥に変身する魔法の力を持っています。(先述の 映画 Moanaでも 度々鳥に変身してましたね。)

そういうMāuiですので数々の逸話がマオリ族の間に残っています。
今回はその中から代表的な三つの話しを紹介します。

Māui の火


Māuiと言えば、まず最初に思い浮かぶのが Māui の火です。

好奇心旺盛な Māui は火がどうやって起こされているのか知りたくて、ある晩人々が寝静まった後に、村中の火という火を全て消してしまいました。

翌朝火が無くなり村の人々がうろたえている中、誰かが火の神 Mahukia ( マフキア ) の所まで行って火をもらって来なければならないと聞き、Māui は自分が行くと申し出ます。
Mahukia ( マフキア ) は Māui のおばあさんで、地球の反対側の火山の麓の洞窟に住んでいました。

その Muhukia は Māui に炎の元になる爪の一枚与えますが、Māui はその爪を水の中に入れて消してしまいます。 Muhukia は仕方なく別の爪を与えると、Māui はまた同じようにして消してしまいます。こうして遂には全部の爪を使い切ると、怒った Muhukiaは炎を放ち Māui を追いかけますが、Māui は鷹に変身して無事に逃げ切りました。

Māui は逃げる最中に Muhukia の炎が触れた木の枝を村に持ち帰り、その後村ではその枝を擦って火を起こすようになりました。

Art + Story: Enelra © Macha Triangle via Flickr 

 

Māuiの魚


 次は、Māuiが北島を釣り上げた話です。

Maui には4人の兄弟がいましたが兄弟たちはMāuiの事をよく思っておらず、いつも Māui を残して4人で釣りに行ってました。

ある日、Maui は魔法使いのおばあさんの顎の骨を盗んで釣り針を作り、(映画に出てくるあの大きい釣り針はここから来ています)こっそり船の中に隠れました。翌朝船が沖に出ると Māui は兄弟の前に姿を現しますが、誰からも餌を分けてもらえません。
そこで
Māui は仕方なく釣り針に自分の血を塗って糸を垂れたところ、とても大きな魚が釣れ、そしてその魚は
NZの北島になりました。

このため、北島はマオリ語で ” Te Ika a Māui ”  「マウイの魚」 と呼ばれます。(そうです!マオリ語ではイカは魚を意味します)

また Māui の釣った大きな魚を恨めしく思った兄弟達が分け前にあやかりたいと食らいつき、魚の表面がでこぼこになった事から、北島に山や谷が出来て起伏のある地形になったと言われています。

Māui と太陽


最後は、
Māui が太陽を捕まえた話です。

その昔、太陽はとても気まぐれで好きな時に空に昇っては沈んでいたため、地上では昼の時間が短く思うように生活を営むことができませんでした。

たまりかねた Māui は兄弟とともに岩の影に隠れて、朝昇って来る太陽を待ってましたと言わんばかりにロープで見事に捕まえて、太陽が岩場にゆっくり沈むようにコントロールすることに成功しました。

おかげでMāuiが一日の昼と夜を、そして一年の四季を作り出したと言われています。

Te Hono ki Hawaiki © Tony Hisgett via Flickr

 上の写真は、ウェリントンにあるテパパ国立博物館の Marae ( マオリの集会所の役割を果たす神聖な場所 )にある Te Hono ki Hawaiki ( 魂の帰する場所の意 )と呼ばれる建物の写真です。
ひさしの両方の先には Māui が北島を釣り上げた話が、ひさしの真ん中には太陽を捕まえている模様が彫られています。わかりますか?

最後に、Maui が北島を釣って、ニュージーランドの北島が ”  Te Ika a Māui “と呼ばれるようになりましたが、南島は、” Te  Wai o Pounamu ”  「水とグリーンストーンの島」と呼ばれています。
その名の由来についても説明していますので、よかったらご覧ください。

 Ngā mihi
wonderer
 

 

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。