NZに来たら聞き逃しのないように!鳥の歌姫 Tūī ( ツーイ )

Kia ora

ニュージーランドには飛べない鳥のキウイ雪山に住むオウムのKEA(ケア)など面白い鳥が沢山いますが、このツーイもそれに負けず劣らずまた面白い鳥です。

ツーイの特徴はその独特の鳴き声です。「ピッピッピッ…」「トゥトゥトゥ….」と高らかに歌っているかと思いきや、時には「ガッグァッ」ゼンマイが切れた機械のような声を出したりと七変化。
まるで色々な鳥が集まって鳴いているかのようです。
喉元には白くて丸い飾りがついてこれまた愛らしい姿で、ニュージーランド国民にこよなく愛されています。

そんなツーイの歌声の秘密や面白いこぼれ話などを紹介していきます。

ニュージーランド人は、まるで春を呼ぶホトトギスのように、ツイが裏庭で鳴いていると喜びます。
まずは下の画像をクリックしてその鳴き声を聞いてみて下さいね。

始めて聞いてびっくりした方も多いかと思います。
まるで何種類もの鳥が一緒に鳴いているように聞こえますよね。

それもそのはずなんとツーイは二つの発声器官を持っているからです。人間でいうならば喉仏が二つあるようなもので、このため他のミツスイ科の鳥に似た鳴き声に加えて「かちっかちっ」というようなクリック音や、金切り声、軋み音、唸り声、喘鳴などが組み合わさった複雑な音を作ることができます。

さらに、ツーイはオウムと同じように知能が高く人や環境音を真似ることができるので、生息地ごとに、そして個体によって鳴き声が異なります

駐車場の近くのツーイが車がバックする時に出す音と似た音色で鳴くのはほんの一例にしか過ぎません。

実に面白いですよね。

ツーイの鳴き声以外の特徴を見てましょう

分類   : Prosthemadera novaeseelandiae
            ミツスイ科の鳥の一種
     ミツスイの中では最大
生息地:ニュージーランドの全土(NZの固有種
名称   :マオリ語のtūī
      和名はエリマキミツスイ
形態   :全身がほぼ黒で、青緑の光沢がある
             喉元の二つの白く巻いた羽毛が特徴的
      体長30cm、重さ58-150g 
            ヒヨドリの大きさ

生態
  • 木にとまってあまり動かない、昼行性。たいへい鳴いている。つがいでもしくは小さな家族の小さな群れを成すが、他の鳥と一緒に食べ物に集団で群がることもある
  • 翼が短くて広いため、羽ばたき音がとても目立つ
  • 主食は花の蜜。特にHarakeke(ハラケケ:フラックス、亜麻NZの固有種、写真下左)や Kōwhai(コーファイ:黄色の花をつける低木、写真下右  ) を好む果物や虫も頻繁も捕食する。時に花粉や種子も摂取。
  • 雄は攻撃性が高い。特に餌となる木の縄張りを争う時には大きな音を立てて羽ばたき、時には人間の怒鳴り声に似た鳴き声で他の鳥を追い払う。
  • おしどり夫婦である
    繁殖期は春の初め9-10月。
    一度に2~4個の卵を産み、3~4週間の間に孵化。
    雌は小枝・草・苔などを使って単独で巣を作る。
  • 寿命12年
  • 個体数 3,500 – 15,000 羽 と言われている。
    ヨーロッパ人の入植とともに生息地を失ったり、導入されたオポッサムやいたちなどの天敵に捕食され一時期数が減ったが、保護活動の成果が出て現在数は増加している。

© Katja Schulz via Flickr

© Katja Schulz via Flickr

ニュージーランドの先住民のマオリ族は、ツーイを聖者の使者として、特に安らぎと喜びに導く思考をもたらす鳥として崇めています。

また、何世紀にも渡りマオリ族は、長旅の途中に上空で輪を描くように飛び回るツーイを見ると、祖先の知恵が脳裏によみがえり道に迷わず旅を続けることができると信じていました。ツーイは自然との調和を象徴する鳥としても知られています。

さらに、マオリ人はツーイを訓練して、Marae(マラエ)で行われるマオリ伝統の歓迎式 Pōwhiri ( ポーフィリ ) で、人々を歓迎の言葉を話させたとか。中には所有をめぐって争奪戦の的になったツーイもいたそうです。

*ニュージーランド先住民マオリ族のマラエとポーフィリの詳細についてはこちらを。

かのキャプテン・クックは始めてニュージーランドに足を踏み入れた時に、クイーン・シャーロット・サウンドでツーイ見たと航海日誌に記録しています。1770年のことです。

その後ニュージーランドに入植したヨーロピアンはツーイを「パーソンバード」(牧師鳥)と呼んでいました。ツーイの姿が、黒い制服、喉もとのカラー、首の周りのレース状の襟をした聖職者の聖衣に似ていることが由来です。

今度は鳥の話題から反れてビールの話題になります。

ニュージーランドには Tuiという名のビールがあります。Tuiのビール会社の設立はなんと1889年。勿論鳥のツーイにちなんで名付けられました。
スーパーなどで簡単に購入できますので、昼間ツーイの鳴き声を聞いた後にツーイのビールを試してみてはいかがでしょうか。

©Tui Brewery East India Pale Ale via Flickr

尚、Mangatainoka (マンガタニオカ)という北島の中南部にある本社ではビール工場の見学やビールの試飲ができます。

Tui Brewery (Tui HQ)
 Mangatainoka, Pahiatua 4982
 HP: https://www.tuihq.co.nz/ 

以前ニュージーランドの片田舎で住んでいた借大家は、家の裏庭のコーファイの木にツーイが5羽停まって鳴いていたのを見て気に入り、即決でその家を買ったと言ってました。その位、ニュージーランド人はツーイに思い入れがあるます。

現在の我が家の裏庭では、ハラケケにいく停まって鳴いています。とてもニュージーランドらしい光景だなといつも思いながら台所の窓越しに眺めています。

街中の公園、森の中、それから海岸線などとにかく色々なところにいますので、皆さんニュージーランドにお越しの際は、聞き逃しのないように!

Ngā mihi
wonderer

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。