Kia Ora
現在ウエリントンにあるテパパ国立博物館では、「World of Wearableart Up Close 」展が開催されています。
以前紹介した「塩田千春」展と同時並行の特別展です。
「World of Wearableart (通称WOW)」は、多種多様の素材を用いて作製された身に着けるガーメントが、芸術性の高い舞台上で観客に披露されるという、ユニークなイベントショーです。
独創性に溢れたこの「WOW 」は海外からも注目を集めており、毎年世界各国のデザイナーから応募があります。
テパパの「WOW Up Close 」展はその「WOW」の大賞受賞作のガーメントを集めた集大成として、世界を巡回し絶賛を浴びている展示会です。
これからその「WOW」と、「WOW Up Close 」展を紹介します。
ウエラブル・アート・ショー ( World of WearableArt : WOW )
ウエラブル・アート・ショー ( World of WearableArt : WOW ) は、ファッションとアートが一体化の舞台パフォーマンスとして、30年以上に渡りニュージーランドの人々を魅了しています。
百聞は一見に如かず、WOWをご存じない方は、まずは下のビデオクリップをご覧下さい。
WOWの経緯と効果
WOWのルーツは、1987年にネルソンに住む彫刻家のスージー・モンクリフ( Suzie Moncrieff ) が、地元ネルソンのコミュニティ・ギャラリーをプロモーションするため、壁に飾られているアート作品をモデルの体に付けてディスプレイしたのが始まりです。
第一回目の公演は、ネルソンの屋外に設けられた大型テントの下、どしゃぶりの雨の中で行われました。
その後、首都のウエリントン会場を移し、現在は毎年2週間に渡る20回近くの公演で、6万人近くの聴衆を魅了しています。
累計では、舞台で披露された衣装は5000点近く、観客動員数は83万人にのぼります。
観客にとっては、単なるファッション・ショーではなく、マオリからコンテンポラリーまで幅広いジャンルの音楽や舞踏がオペラ仕立てに演出さる芸術の祭典として、特に女性が羨望するイベントです。またリピート客が多いのが特徴です。
余談ですが、このWOW開催中は、ウェリントンのホテルやレストランは予約で一杯、またバッグや靴の小売りもクリスマス商戦をはるかに超える売り上げがあり、地元には高い経済効果を与えています。
また、創設者のスージー・モンクリフには、社会に対する貢献が評され、後にDameの称号が授けられています。
出展デザイン
WOWは、出展するデザイナーにとっても、チャレンジ精神をくすぐる、そして世界に名を示すまたとないチャンスです。
作品が舞台で披露されるまでには、設立者のスージー・モンクリフと、アート界から選ばれた二人の審査員により、次のような項目で三段階に分けて審査されます。
・テーマを追求したものであるかどうか
( 6つのテーマ:Aotearoa NZ、前衛的など。内三つのテーマは毎年異なる)
・これまでに見たことのない独創的で斬新なアイデアと素材、デザイン
・質(衣装の表面、中の作り、そして何度着用しても、動きにも耐える)
・安全性(着用しているモデルが足元を見ることができる、重さは均等である)
・舞台映えするかどうか
上の写真の作品は 2017年の大賞受賞作品、「 Lady of the Wood 」です。製作者はアメリカ人 David Walker です。
17世紀の舞踏会のドレスが、ベニヤ板などの木材のみで再現されています。
ドレスの袖は、マホガニーに蒸気を与えて曲げられているなど、まさに面白いアイデアと優れた craftsmanship ( 職人技 ) が見事に生かされた一例です。
ブラジャーショー
WOW の舞台の最後は、ブラジャーのショーで締めくくるのが恒例です。
様々な奇想天外なブラジャーを付けたモデルが舞台で踊って盛り上がります。
Three Central Otago designers have been chosen as the only Otago finalists in this year’s World of Wearable Art (Wow) show. Pam Jones talks to them about the ideas and the dedication that has seen them recognised in the international fashion world. https://t.co/xonde0r95f pic.twitter.com/bOBAciTRVY
— ODT Online (@odtnews) September 18, 2019
WOW 2021
尚、来年2021年は、9月30日〜10月17日の日程で開催予定となっています。
通年チケットはすぐに完売となるので、興味のある方は下記サイトに登録してチケット発売などの情報を得ることをお薦めします。またウェリントン以外にお住まいの方は、チケット購入と同時にすぐにホテルを抑えることをお忘れずに。
●https://www.worldofwearableart.com/
Wow Up Close 展
さて、ウェリントンのテパパ博物館で開催の「WOW Up Close 」展は2010年~2019年の間に受賞した32点の作品をまじかで見ることができます。
これまでアメリカやロシア、オーストラリアなど世界各国を巡回しており、何とオーストラリアでは65万人もの訪問者があったそうです。
ショーと違って、まじかで心ゆくまで見ることが出来、値段も実際のショーよりは格安です。子供連れの家族でも大丈夫ですので、興味がある方はこの機会をお見逃しなく。2月14日まで開催されています。この夏休みの間にウェリントンを訪れる方にお勧めのアトラクションです。
< 展示情報 >
- 開催期間 : 2020年12月12日~2021年2月14日
- 開催場所 : NZ国立博物館テパパ
- 料金 : 大人 $ 22.50 学生 $ 19.50
子供 $ 7.50 ファミリー $ 52.50 - チケットの予約や詳細
https://www.tepapa.govt.nz/visit/exhibitions/world-wearableart-close
尚,テパパでは日本人アーティスト塩田千春さんによる「 The Web of Time / 時間の交錯」展も同時開催中です。
こちらは無料ですので併せてどうぞ。
それでは楽しい夏休みをお過ごしください。
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