今年のニュージーランドの大ヒット映画『Tinā』はサモア人監督のデビュー作

Kia ora

ニュージーランドで今年最大の話題を呼んだ映画『Tinā|ティナ』を紹介します。

『Tinā|ティナ』はあの『Whale Rider | クジラの島の少女』の興行成績を抜いたほどの人気で、しかもサモア出身の監督のデビュー作。

どんな映画か気になりますよね。

これからその『Tinā|ティナ』を詳しく紹介していきますが、『Tinā|ティナ』を一言で表現すると、ニュージーランドのある側面が描かれた心温まる映画です。家族で、特にテイーンがいる家族にお薦めです。

映画『Tinā|ティナ』

タイトル:『Tinā|ティナ』
ジャンル:ドラマ/製作国:ニュージーランド/言語:英語、サモア語/上映時間:2時間4分
監督/脚本:ミキ・マガシヴァ
撮影:アンドリュー・マクジョージ
出演:アナペラ・ポラタイヴァオ、アントニア・ロビンソン、ビューラ・コアレ、ニコール・ウィッピー、ダリップ・ソンディ、ジェイミー・アーヴァイン、アリソン・ブルース
配給:マッドマン・エンターテインメント
公開日:2025年2月27日(ニュージーランド)

あらすじ

クライストチャーチ地震で娘を亡くしたマレタは、しぶしぶ名門私立学校の代用教師として働くことになる。そしてそこで、子どもたちが指導や励まし、そして愛情を切実に必要としていることに気づき驚愕する。次第に彼女は生徒たちを励まし支える存在になる。

感想

今年5月に劇場公開されて大評判だったので、ティーンの子供と一緒に自宅でネットフリックスで観ました。

この映画の大筋の内容をある程度知っていたのですが、映画が始まって数分経つと、引き込まれるように見入りました。

サモア人の優しさ、美しい文化やコミュニティ・スピリットが若く傷ついた心を癒すことがテーマですが、それだけではありません。

そのメインテーマに複数のストーリーラインが織り込まれ、美しい画像や音楽とともに滑らかに展開します。
全く押しつけがましさがなく、それだけに一つのシーンから様々な感情が呼び起されていると思います。

そして主人公のサモア人女性がとても「リアル」なことも、この映画をより質の高い作品にしています。優しさや寛容さの表現は勿論ですが、あきれ顔やちょっとした視線、それからさらりと皮肉を言う「リアル」なサモア人のお母さんを演じた女優アナペラ・ポラタイヴァオンの演技は絶妙です。

これだけ精度の高い作品ですが、本作は監督、脚本を務めたミキ・マガシヴァの初の長編映画。今後の活躍が楽しみです。

ニュージーランドの文化がわかる上質なファミリー映画として、星5つ。
★★★★★

プロフィール

Miki Magasiva サモア生まれのニュージーランド映画監督。
サモア諸島のサバイイ島に生まれる。父親は郵便局員。1982年、一家はニュージーランドのウェリントンに移住。20年間にわたり、数百本のコマーシャル、テレビ番組、ミュージックビデオ、短編映画を制作。 制作に関わったテレビドラマ『ザ・パンサーズ』はトロント国際映画祭で上映された。
2024年、長編デビュー作『Tinā』をハワイ国際映画祭でプレミア上映し、以来、2025年のシアトル国際映画祭でゴールデン・スペース・ニードル賞、パームスプリングス国際映画祭でナラティブ・オーディエンス賞を受賞。ニュージーランドでも映画史上最高の興行収入を記録。

Anapela Polataivao (ONZM )ニュージーランド出身の俳優、脚本家、舞台・映画監督。
サモアで生まれ、オークランドの南部で育つ。
8歳で演技を始め、オークランド大学の劇団に所属し、2000年に演劇学校で演劇学士号を取得。2002年劇団を結成し、オーストラリアや2014年のエディンバラ・フリンジ・フェスティバルなどで上演。コメディを演じ、マオリのテレビ番組の制作・司会も務め、一方でパシフィック・インスティテュート・オブ・パフォーミング・アーツで講師を務めた。演出した舞台劇『Wild Dogs Under My Skirt』数々の賞を受賞し、2020年にニューヨークで上演された。
太平洋地域の舞台芸術への貢献が認められ、
2024年国王誕生日叙勲において、Officer of the New Zealand Order of Merit|ニュージーランド功労勲章を受章。

あとがき

映画の予告動画に出てくる、ティナと生徒全員で手のひらを擦り合わせたり拍手したりするアクションはサモア語で milimili | ミリミリと呼ばれ、集いの前にグループの士気や連帯感を高めるために行われます。
パシフィック人口が高いウェリントンでは、高校などの全校集会で生徒会の文化リーダーの指揮の元よく行われます。
私の子供も映画を観ながら一緒にしていました。

これからパシフィック文化についても少しづつ紹介する予定です。
ご期待のほどを。

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