ミュ―ジカルの決定版! スピルバーグのリバイバル映画『ウェストサイド物語』感想 ★★★★★

Kia ora

『 ウェスト・サイド物語 』と言えば、誰もが知っている名作中の名作のミュージカル。
その『 ウェスト・サイド物語 』が、リバイバル映画として甦りました。
監督は、子供の頃に『 ウェスト・サイド物語 』の歌に魅了され長年映画を作るのが夢だったというスピルバーグ。日本でも劇団四季が公演しお茶の間でお馴染みとなった「トゥナイト」「マリア」「アメリカ」等の数々の名曲が、美しい歌声と軽快なダンスとともに存分に堪能できます。お見逃しなく。

映画情報


原題名: West Side Story/
ジャンル:ロマンティック・ミュージカル/製作国:アメリカ合衆国/言語:英語/時間 : 2時間37分配給 : ウォルト・ディズニー・スタジオ/日本放映予定:2022年2月11日/
監督・製作 : スティーブン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー/キャスト : アンセル・エルゴート, レイチェル・ゼグラー, アリアナ・デボーズ, マイク・ファイスト​, デヴィッド・アルヴァレス, リタ・モレノ/
賞:ナショナル・ボード・オブ・レビュー 主演女優賞、第79回ゴールデングローブ賞 ミュージカル・コメディ部門作品賞など

あらすじ


舞台は1950年代のニューヨークのウェスト・サイド。
アメリカに移住した人々は厳しい現実に面しながらも、切磋琢磨しながら成功を夢見る。その一方で若者は貧困や絶望感そして日常的に受ける人種差別へのうさをはらすために同胞で集団グループを成し、他民族と対立する。
そんな中で、街のダンスパーティーで二人の男女が出会い一瞬にして恋に陥る。プエルトリコ系移民のグループ “シャークス” のリーダーを兄に持つマリアと、ヨーロッパ系移民 “ジェッツ” のリーダーのリフの親友で元ジェッツのメンバーでもあるトニー。二人の禁断の愛がゆえに、対立するグループの抗争は更に激化し、思いもよらぬ悲劇をもたらすことになる。

感想


その昔、映画や劇団四季のミュージカルをテレビで観て以来忘れることができなかったあの歌、「トゥナイト」「マリア」が大画面で歌われた時、まるで生で聞いているようで鳥肌が立つほど感動してしまいました。
映画は2時間半と長いですが、見応えのある歌とダンス、そして役者の息遣いが肌で感じられるようなカメラワークで、最初から最後まで緊張感に溢れ飽きることなく楽しめました。

劇場で観る前は、昔の名作を丸っきり派手にしたか、もしくは逆にモダン化してドライ過ぎてついていけないのではないだろうかと不安がありました。(*『イン・ザ・ハイツ』を観たときがそうだったので)。が、この『 ウェスト・サイド物語 』は、そんな一抹の不安を吹き飛ばすかのようにノスタルジアに溢れた町並みの景色から始まり、そこは1950年代の混沌とした移民の街そのもの。
そして、その移民の街に住む若い主人公のマリアとトニーを、レイチェル・ゼグラーとアンセル・エルゴートが可憐に演じ、純粋で普遍の愛が見事に描かれています。

思い切り楽しませてくれたスピルバーグ監督にはお礼を言いたいほどです。

子供の頃にオリジナルの『ウエスト・サイド物語』の歌声に魅了されて以来製作を長年夢見ていたというスピルバーグ監督。今回のリバイバル映画の製作にあたっては現実味があるように心掛けたそうです。

スピルバーグ監督が長年あこがれ夢見た、『ウエスト・サイド・ストーリー』が現代に通じる理由。
アメリカの移民たちの苦悩を描いている。
この物語はあの時代だけの産物ではない。あのような時代がまためぐってきているし、それにともなう社会の怒りがすさまじい」そうスピルバーグは言う。「この国にやって来た移民で、暮らしを立て、子を育て、外国人への偏見や人種差別と闘うプエルトリコ人たち、つまり、ニューヨークのプエルトリコ人たちの壮絶な苦闘をどうしても伝えたいと思ったんだ」

( 出典:https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/steven-spielburg-west-side-story-interview) 

感想を一言でまとめると、「見て本当によかった」。
俳優の息遣いが生で感じられるので、劇場で観られることをお薦めします。

★★★★★

キャスト


● マリア役 : レイチェル・ゼグラー

 Rachel Zegler。2001年5月、アメリカ合衆国のニュー・ジャージー州に生まれる。母方の祖母がコロンビア人で1960年代に合衆国に移民した。父親はポーランド系。高校生時代にミュージカルに没頭し、美女と野獣、マーメイドなどに主演。レィディ・ガガの『アリー/スター誕生』の主題歌 『シャロウ』をツイッターに載せ、1000万回以上再生されている。2018年、3万人の応募社の中から『ウェスト・サイド物語』のマリア役に抜擢され映画デビュー。その歌唱力と演技力は高い評価を受けゴールデン・グローブ主演女優賞を受賞。有望な大型新人として注目を集めている。『シャザム2』(2023年公開)に出演する他、ウォルト・ディズニーの実写版映画は『白雪姫』の主役が決定している。大型新人として最も活躍が期待されている俳優の1人である。

●  トニー役 :アンセル・エルゴート 

Ansel Elgort  1994年3月ニュー・ヨーク生まれ。父親はボーグ誌などのファッション界で有名な写真家で母親はオペラ・ディレクターである。 著名な写真家 アンセル・アダムズにちなんで名付けられた。兄、姉共に写真家である。9歳の頃から5年間バレエを習う。12歳から演劇を学び始め、高校で舞台に立つ。2009年、父親が撮ったティーン向けボーグ誌に登場。2013年、ホラーリバイバル映画『キャリー』の初出演し注目を集める。『 The Fault in Our Stars ( 日本非公開』に出演、2017年に『ベイビー・ドライバー』に主演、ゴールデン・グローブの主演男優賞にノミネートされる。現在、昔の恋人へのレイプ騒動の渦中で、本人は同意の上での行為と完全に否定しているが物議を醸し出している。

あとがき


『 ウェスト・サイド物語 』はいつの時代でも色褪せない、クラシック作品の代表作。
たまにはこういう映画を観るのはいいものです。
次は是非舞台公演を鑑賞したいと思います。

最後に、上記で触れた別のミュージカル映画 『イン・ザ・ハイツ』のレビューはこちらをご覧ください。

Ngā mihi
wonderer

 

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。