『SHOGUN 将軍』と肩を並べた NZの低予算ドラマ『 After the Party 』

今年のBAFTA (バフタ) であの『SHOGUN / 将軍』と肩を並べてノミネートされた、ニュージーランドのドラマを知っていますか?
残念ながら受賞こそ逃したものの、低予算のテレビドラマが世界的に名誉のある賞にノミネートされた快挙にニュージーランド中が湧きました。

その意外な?ドラマ『After the Party(アフター・ザ・パーティー) 』について詳しく紹介します。

ニュージーランドのウェリントンを舞台にしたドラマ『After the Party/アフター・ザ・パーティー』は、2025年の英国アカデミー賞テレビ部門(*BAFTA)の最優秀国際テレビシリーズ賞にノミネートされました。

受賞は、真田広之がプロデュース/主演の『SHOGUN 将軍』に譲り逃したものの、低予算でローカルに向けて作られたドラマがノミネートされたこと自体が称賛に値します。

『アフター・ザ・パーティー』は2023年10月29日からTVNZで放送されましたが、勿論今でもon demand TVNZ+で観ることができます。
とてもニュージーランドらしいユニークな内容です。この機会に是非ご覧ください。

*BAFTA (バフタ) とは、英国映画テレビ芸術アカデミー( British Academy of Film and Television Arts ) の略称で、イギリスで最も権威のある映画賞やテレビ賞を主催する団体。映画部門は英国アカデミー賞、テレビ部門は英国アカデミー賞テレビ部門と呼ばれている。

題名:『After the Party (アフター・ザ・パーティ)』
ジャンル:ドラマ
製作国:ニュージーランド/製作年:2023年/言語:英語
制作:ロビン・マルコム、ダイアン・テイラー
脚本:サミュエル・E・ショア、 ダイアン・テイラー
監督:ピーター・サルモン
出演:ロビン・マルコム、 ピーター・ミュラン 、タラ・カントン、 イアン・ブラックバーン 、エルズ・キャラッド  
配給:TVNZ+/シリーズ数:1 エピソード数:6

高校教師のペニーは5年前に夫のフィルの性犯罪を犯したと告発するが誰も信じてくれず、疎外感を感じながら暮らしている。そのフィルが再び目の前に現れ教職に就いた為、ペニーは再度フィルの罪を証明しようと試み、周囲の人々のかろうじて隠していた傷が再び開き娘の人生からも切り離されてしまう。ますます疎外感を募らせるペニーは、真実と家族との関係の狭間で揺れ動く。

最後の最後まで、果たして主人公のペニーを信じていいのか、何が真実なのか、そしてペニーは救われるのか。。。と、先が読めない面白い内容です。
欲を言えば、最終の6話の伏線となる出来事がもう少し掘り下げてあればよかったと思います。

このドラマは、中年女性にふさわしい役柄が少ないことへの不満がきっかけとなって生まれたそうで、中年女性がありのままに描かれています。
ペニーがカウチに座って、スーパーで買ったチーズにかぶりつきながら赤ワインを飲んでいるところなんかは、本当にニュージーランドでは普通にありそうなシーンです。

そのペニーを60歳になったばかりのロビン・マルコムが迫真の演技で迫りまくり、時々見るのが辛くなるほど。

そんな体当たりのペニーですが、夫フィルを演じたピーター・ミュランの掴みどころのない抑えた演技が対照的で、ペニーを一層引き立てています。ちなみに、二人は実生活でも夫婦だそうで、それを聞くと二人の関係は実際もこんな感じなのかなと思ってしまいますよね。

この二人以外の登場したすべての俳優が暗いテーマの脚本を引き立てる素晴らしい演技をしています。だからこそ『アフター・ザ・パーティー』が女性だけでなく男性や若者にも受け入れられているのでしょう。

それから、ウェリントンの美しい海沿いの景色がここぞとばかりにふんだんに盛り込まれています。ウエリントンに馴染みのある人はこの点にもご注目を。

Robyn Jane Malcolm(ロビン・ジェーン・マルコム)

1965年にニュージーランドのカンタベリー地方のアッシュバートンに生まれる。1987年に演劇学校でディロマを得る。


NZのご長者メロドラマ『ショートランド・ストリート』の看護師エレン・クロジエ役でデビューし注目を集め、国内の最優秀女優賞にノミネートされる。1999年、他の俳優と共にニュージーランド・アクターズ・カンパニーの創設し、ニュージーランド全土で数々の舞台作品を制作し、ツアーを行なう。

2003年、ロンドン・グローブ座で国際俳優フェローシップを受賞。

『アウトレイジャス・フォーチュン』での演技で、2005年と2008年のカンタス・テレビ・アワード最優秀女優賞など、数々のテレビ賞を受賞。2005年に女性雑誌の読者投票で「お気に入りのニュージーランド女性パーソナリティ」に選ばれる。
2019年の女王誕生日叙勲で、テレビと演劇への貢献が認められニュージーランド功労勲章を受勲。2024年には『アフター・ザ・パーティー』の演技でフランスのリールで開催されたシリーズマニア映画祭で最優秀女優賞を受賞。

『アフター・ザ・パーティ』はニュージーランドの中年女性が主役となっていますが、ここまで中年女性の赤裸々な演技は日本では滅多に見られないのではないでしょうか?
本当に、ペニーを演じたロビー・マルコムは素晴らしい俳優だと思います。

ちなみにバフタを受賞した『SHOGUN 将軍』で真田広之とともに主演した沢井アンナはニュージーランド生まれの日本人女優です。ニュージーランドつながりで嬉しいですよね。

最後に、『アフター・ザ・パーティ』を楽しんだ方には、同じくニュージーランドの女性を描いた『ドライビング・バニー』も面白いかと思います。
まだ観てないない方はこちらもどうぞ。


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ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。