シングルマムvsNZ社会 映画 『Justice of Bunny King / ドライビング・バニー』感想

Kia ora

もうすぐ日本でも、ニュージーランドの『Justice of Bunny King (邦題: ドライビング・バニー)』が劇場公開されます。

『ドライビング・バニー』はお金も家もなく運も尽きてしまったシングルマザーが、自らの方法で社会に挑むドラマです。人間愛に溢れたとても面白いストーリー展開に加えて、ニュージーランドの現在の社会事情がよく描かれています。シネマファンだけでなく、ニュージーランドに興味がある方にもお薦めの映画です。

映画詳細

原題:The Justice of Bunny King
ジャンル : ドラマ
上映時間:100分
製作:ニュージーランド 言語:英語/日本語訳
日本上映日:2022年09月30日
監督:ゲイソン・サヴァット 脚本:ソフィー・ヘンダーソン
出演 : エシー・デイヴィス、トーマシン・マッケンジー
賞:トライベッカ映画祭審査員特別賞受賞

あらすじ

過去に犯した過ちから監視付きでしか娘に会えないバニーの夢は、自分の家に落ち着いて娘の誕生日を祝うこと。その為妹夫婦の家に居候し、警官の目を盗んで交差点に停まった車の窓拭きをして日々小銭を貯めている。社会で底辺の生活をしながらも、明るく必死に働くバニーは、ある日妹の家で姪のトーニャが危うい状況に置かれていることに気付き早速行動に出る。その結果妹夫婦から家を追い出され、トーニャと一緒に路頭に迷い混みそうになるが、持ち前のウイットで切り抜けようとする。はたから見ると無茶苦茶に見えるが、母親としての純粋な愛故にまっしぐらに進んでいく。

感想

胡散臭い過去を持ち破天荒な性格、そして経済的に社会の底辺にありながら、娘と一緒になることを一途に思う母親を描いた社会的ドラマ。

重いドラマかと思いきや、痛快で明るくて最後まで面白くて、脚本がとてもよく出来ています。特に社会の規範からずれているけどひたすら人間愛の故に一心不乱に暴走する主人公のバニーは、親類や近所に一人二人いても可笑しくないと思うくらい、現実味があってよく描写されています。

そしてそのバニー役を演じたエシー・デイヴィスの演技はそのものでお見事。以前テレビで観ていたシリーズドラマの『Miss Fisher’s Murder Mysteries 』の主役 Miss Fisher と同一人物だと知って本当に驚きました。あまりにもバニーとMs Fisher は違うので同一人物が演じたとは今でも信じられないくらいです。それほど役になりきることができる素晴らしい俳優なのでしょう。ちなみにエシー・デイヴィスはオーストラリア人です。姪のトーニャを演じるトーマシン・マッケンジーは、『ジョージョー・ラビット』『ザ・パワー・オブ・ザ・ドッグ』『ソーホー』などに出演し、ニュージーランドが期待する若手俳優です。

社会性のあるテーマがしっかりとした脚本で爽快に描かれ、そして演技も素晴らしくよく出来ている映画です。★★★★★

監督/キャスト

監督 ゲイソン・サヴァット

Gaysorn Thavat。タイのバンコク出身、NZ在住。2004年よりオーストラリアと北米で商業用フィルムを撮る傍らテレビ番組を製作。2009年にショートフィルム『Brave Donkey』を製作。本格的に映画の指揮を撮ったのはこの『ドライビング・バニー』が初めてである。撮影してない時は郊外の自宅で蜂業と釣りを楽しむ。

バニー役:エシー・デイヴィス

Esther Davis  1970年オーストラリアのタスマニアに生まれる。シドニーのドラマスクール卒業後、シェイクスピアの舞台劇で主役を演じる。1995年より、数々のテレビドラマや映画に出演。有名な役に連続 テレビドラマシリーズ 『Miss Fisher’s Murder Mysteries 』のMiss Fisher、『ゲーム・オブ・スローンズシリーズの六作目のLady Crane役がある。 2002年に結婚。二人の娘がいる。

トーニャ役 : トーマシン・マッケンジー

Thomasin Harcourt McKenzie。 ニュージーランドのウェリントンに生まれる。祖母と母親は女優で、父親はディレクター、祖父は不動産会社 Harcourtの設立者である。2019年ネットフリックスの『 The King 』でデンマークのフィリッパ女王と、映画『ジョジョ・ラビット』のユダヤ人の少女役を演じ、評論家から高い評価を受ける。2021年には『ラスト・ナイト・ソーホー』 の主役のエロイーズを好演。ニュージーランド人監督ジェーン・カンピオン の『ザ・パワー・オブ・ザ・ドッグ』にも出演。アメリカ合衆国の女子体操選手を描いた『Perfect 』に主演予定。

あとがき

ニュージーランドの社会福祉体制は弱者にも優しいと言われていますが、それでも諸事情により福祉の恩恵に恵まれない人々がいる訳で、その人々がどのようなありさまなのかが『ドライビング・バニー』を見て解るかと思います。
日本映画の『万引き家族』と似ていると思いましたが、皆さんはいかがでしたでしょうか?

余談ですが、主人公のバニーが就職活動のためにお化粧をしビジネス・スーツを着るシーンがありますが、実際にニュージーランドに就職を支援する公立の機関があるそうです。面白いですよね。

最後に、ニュージーランドの社会を描いた映画を過去に挙げてますので、興味のある方はこちらもご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

アバター

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。