Kia ora
先週行われた2026年アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞したノルウェー映画『センチメンタル・ジャーニー』を紹介します。
カンヌ国際映画祭でも見事グランプリを受賞するなど大成功を収めているこの『センチメンタル・ジャーニー』、それもその筈、監督・脚本は日本でも人気を集めた『私は最悪。』のヨアキム・トリアーです。
まだ観てない方はこの機会に是非。
『センチメンタルバリュー』
原題:Affeksjonsverdi
ジャンル:家族ドラマ
製作:2025年製作/上映時間:133分/制作国:ノルウェー・フランス・デンマーク・ドイツ
監督/脚本:ヨアキム・トリアー
出演:レナーテ・レインスベ、ステラン・スカルスガルド、インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング
日本配給:ギャガ

あらすじ
ノルウェーの首都オスロで俳優として活躍するノーラと、家庭を選び息子と夫と穏やかに暮らす妹アグネス。そこへ幼い頃に家族を捨てて以来ずっと音信不通だった映画監督の父親グスタヴが前触れもなく現れる。グスタヴは15年ぶりの復帰作となる新作映画の主演をノーラに打診すると、グスタヴに怒りと失望をいまだ抱えるノーラはその申し出をきっぱりと拒絶する。その為主演はアメリカの人気若手俳優レイチェルに決定し、家族で暮らしていた思い出の詰まった家で撮影が始まる。
感想
『私は最悪。』のヨアキム・トリアーの監督・脚本作品です。主役も同じでレナーテ・レインスベが演じています。
『私は最悪。』では若い女性の恋愛に対する微妙な気持ちが、時には知りたくないほどにも深く掘り下げられながらも、繊細にそして美しく表現された作品でした。
この『センチメンタル・バリュー』のテーマは家族愛です。姉妹と父親の微妙な気持ちが幾重にも重なりながら、『私は最悪。』と同じように穏やでいて鋭く描かれています。
私がこの映画を好きな理由は色々ありますが、その一つにセリフに一切無駄が無くて、その一言一言に重みがあること。そして、そのセリフとセリフの間の余白が心もち長くて言葉の余韻を味わえることが挙げられます。
もう一つの理由は、各シーンがとても美しく撮られていて、とても丁寧に作られていることが感じられるからです。

映画のタイトルの『センチメンタル・バリュー』は、家族愛と思い出の詰まっている家に付けられているのかもしれません。が、家族愛という普遍的なテーマをノスタルジックに美しく表現するこの映画そのものに、センチメンタル・バリューの意図が込められているのかなと思ったりしています。
『私は最悪。』に続いて、主演のレナーテ・レインスベのいとも簡単にやっているように見える自然な演技が冴えわたっていますが、映画の後半部分は姉と全く違う性格の妹を演じたインガ・イブスドッテル・リッレオースからも目が離せませんでした。
特にこの二人の姉妹がベッドの上で話すシーンは今でも脳裏に焼きついています。
こうして映画を思い出しながら書いている内に、また観たくなってきました。
評価は星5つでは足りません。
★★★★★

プロフィール
📣監督:ヨアキム・トリアー
Joachim Trier 1974年、デンマークのコペンハーゲンに生まれ、両親の国ノルウェーで育つ。祖父が映画監督/脚本家、父親は映画音響師。10代のときにスケートボードのチャンピオンとなり、自身のスケートボードを滑る様子を撮影した。デンマークとイギリスの学校で映画制作を学び、2006年に『リプライズ』で映画監督としてデビュー。トロント国際映画祭などで上映され、海外からも高い評価を受ける。2作目の『Oslo, August 31st』はカンヌ国際映画祭で上映、2015年に公開となった第3作目『Louder Than Bombs』は、日本で初めて公開となる。2021年『The Worst Person In The World(邦題:わたしは最悪。)』でカンヌ映画祭:パルム・ドール賞ノミネート、主演女優賞を受賞。2022年のアカデミー賞の脚本賞、国際長編映画賞ノミネートされた。

★ 主演 :レナーテ・レインスベ
Renate Reinsve 1987年ノルウェーのSolbergelvaに生まれる。9~16歳までに受けた経験がトラウマとなり現在でも本人は口にすることがない。16歳で高校を退学し、スコットランドに行くが資金が底をつき慈悲を受けバーテンダーの仕事をする。2011年ヨアキム・トリアー監督製作2作目の『Oslo, August 31st』で映画デビューした後に、映画やテレビ番組に出演。が、俳優業をあきらめてカーペンターになるつもりでいたときに、『わたしは最悪。』のユリア役に抜擢される。同役でカンヌ映画祭主演女優賞を受賞。『センチメンタル・バリュー』ではアカデミー賞主演女優賞にノミネートされる。

★ 父親役:ステラン・スカルスガルド
ステラン・スカルスガルド(Stellan Skarsgård)1951年生まれ。来歴50年以上にわたるキャリアを持つスウェーデンの名優。『マンマ・ミーア!』(08)に出演、また『DUNE/デューン』ウラディミール・ハルコンネン男爵ハリウッドの作品にも出演し国際的に知られている。

★ 妹役:インガ・イブスドッター・リレアス
Inga Ibsdotter Lilleaas 1989年4月9日生まれ。ノルウェーの女優。この『センチメンタル・バリュー』でアグネス・ボルグ役を演じ、批評家から広く絶賛され、全米映画批評家協会賞助演女優賞を受賞したほか、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞の助演女優賞にもノミネートされた。

★ レイチェル役:エル・ファニング
Elle Fanning 1998年生まれ。アメリカ合衆国の女優。姉のダコタも女優である。子供の頃から映画に出演し、演技力に注目されていた。最近では『名もなき者』(24)や、プレデターシリーズ最新作『プレデター バッドランド』(25)の主要キャストとして参加。この『センチメンタル・バリュー』では、アカデミー賞の助演女優賞にもノミネートされた。

あとがき
この『センチメンタル・バリュー』も、それから『私は最悪。』も大好きな映画です。特に『私は最悪。』は私の好きな映画トップ5に入っているほどです。
実はその私の好きな映画トップ5に日本映画『悪は存在しない』も入っているのですが、その濱口竜介監督が『私は最悪。』を絶賛されているとか。
『センチメンタル・バリュー』は?と気になりますよね。
それにしても、今年のアカデミー賞の作品賞は『ワン・バトル・アフター・アナザー』が受賞したのは理解できますが、脚本賞にブロックバスターを意識した『罪人たち』が選ばれたのが腑に落ちません。
『センチメンタル・バリュー』の脚本が『罪人たち』よりもずば抜けて優れていると思うのですが、皆さんはどう思われますか?
やはりハリウッド受けしているかどうかが決め手となるのでしょうか?残念です。
Ngā mihi
wonderer




















