『リトル・マーメイド』実写版を3Dで観た感想 : 肌の色は関係ない!★★★★★

Kia ora

今回のシネマ編では『リトル・マーメイド』を取り上げて紹介します。

1991年に公開されて以来世界中を魅了しているアニメーション映画『リトル・マーメイド』の待望の実写版で、また今年創立100周を迎えたウォルト・ディズニー社の記念すべき作品です。

全米では劇場公開直後から『アラジン』を凌ぐほどの人気ぶりですが、その一方で、アジアの一部の国で主人公のアリエルの肌の色に関して人種差別的な批判が相次ぐなど何かと話題となっています。

その『リトル・マーメイド』の実写版を3Dで観た感想をニュージーランドからお届けします。

    はじめに

ここニュージーランドでも、全米と同時公開で5月の末に『リトル・マーメイド』の実写版が劇場公開されました。

子供のころアンデルセン童話集を数えきれないほど読んだ筆者と、習い事のピアノで「パート・オブ・ユア・ワールド」と「アンダー・ザ・シー」を毎日のように練習していた娘(現在14歳)との二人で、待ちに待った実写版!と喜び勇んで映画館へ足を運びました。
それもせっかくだったらということで、3Dで鑑賞しました。

    映画概要

原題:『 The Little Mermaid 』
原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン作『人魚姫』
製作国:アメリカ合衆国/上映時間:135分/言語:英語
監督:ロブ・マーシャル
出演:ハリー・ベイリー、ジョナ・ハウアー・キング、メリッサ・マッカーシー、ハビエル・バルデム、ジェイコブ・トレンブレイ、オークワフィナ、ダヴィード・ディグス
音楽:アラン・メンケン、リン=マニュエル・ミランダ
プレミアム吹替版声優:豊原江理佳、木村昴、海宝直人、野地祐翔、浦嶋りんこ、高乃麗、大塚明夫、王林、ますみ
公開日:2023年6月9日(金)

 あらすじ

アトランティカの海底に住む16歳の人魚姫アリエルは、父親のトリトン王から禁じられながらも、こっそり沈没船を訪れて集めた宝物を眺めては、地上の人間の世界に思いを馳せていた。そんなアリエルはある日人間の乗った船に近づき、王子エリックに一目惚れする。そして嵐で船が沈没するとエリックを救い、アリエルはエリックへの恋心を募らせる。エリックもまた記憶がおぼろげながらも、アリエルの美しい歌声の記憶を頼りにアリエルとの再会を願う。そんなアリエルの恋心を利用して海の魔女アースラが、アリエルと取引をする。その取引とは、アリエルは3日の間人間になる代わりに、声を失うこと。そして約束が果たせなかったら。。。。

    感想

まずは、何と言っても、主人公のアリエルを演じた Halle Bailey ( ハリー・ベイリー)が素晴らしい!の一言につきます。ハリー・ベイリー無しでは『 リトル・マーメイド 』の実写化は実現しなかったというロブ・マーシャル監督の言葉に頷けます。ハリー・ベイリーの歌声は勿論のこと、人間になった代わりに喋れなくても純真にエリック王子を慕うアリエルを、顔の表情やしぐさだけで可憐に表現した演技力も注目に値します。

そして、ハリー・ベイリーだけでなく、悪役のアースラを演じたメリッサ・マッカーシーの絶妙な演技にも拍手喝采です。歌も上手で、完全にアースラを演じきっていたと思います。

3Dで観た見所のひとつは、蟹(そう蟹です!ロブスターではありません)のセバスチャンが歌う『Under the Sea/アンダー・ザ・シー』に合わせて海の仲間が躍るシーンで、楽しくて見ごたえがありました。
ちなみにこの『アンダー・ザ・シー』は、1989年のアニメ映用に作られ、第62回アカデミー賞歌曲賞や第33回グラミー賞最優秀楽曲賞を受賞しているとか。何度聴いてもいいいですよね。

それからそのセバスチャンと、フランダー、そしてカモメのスカットルの三者による会話がとにかく面白いです。特にアリエルとエリック王子のキスをはやし立てるシーンには、劇場が大爆笑していました。

逆に、映画の最後の部分のアリエルの父トリトン王(演:ハビエル・バルデム)や他のマーメイドが登場する場面は、実写では無理があったと思いました。アニメーションだったら全く問題なかったのでしょうが。。。

欲を言えば、映画の最後にもう一度アリエルが歌う『Part of your world ( パート・オブ・ユア・ワールド』を聴ければ、夢ごこちで映画館を後にしたことでしょう。

歌良し、コミカル、内容良しのよく出来た映画です。終わったときに、沢山の人が拍手していました。評価は星5つです。★★★★★

 キャスト紹介

  ★ アリエル役 : ハリー・ベイリー

Halle Lynn Bailey。2000年3月、アメリカ合衆国のジョージア州に生まれる。姉二人と弟1人がいる。2012年にロサンゼルスに移る。子供の頃からテレビドラマで演じる傍ら、姉のクロエと一緒にユーチュブを観ながら作曲や楽器の演奏を学び、11歳の時にビヨンセの歌をカバーしたクリップをユーチューブに載せ、姉妹は一躍人気を集め、ディズニー系の番組に出演する。2016年、ビヨンセ出資のレコード会社と契約。その後  二人は『 Chloe x Halle 』の名前でアルバムを出し、2018年と2020年にグラミー賞にノミネートされる。2019年ディズニー映画『リトルマーメイド』の主人公のアリエル役に決定。一部のファンの間でハリーの肌の色がそぐわないとして抗議が上がったのに対し、ディズニー社は『大事なのはストーリーを語ることであって、登場人物の性格がものをいう』と対応した。2021年、ディズニー社の50年周年記念行事でソロとしてデビュー。今後もソロでアルバムを発表する予定である。

  ★ アースラ役:メリッサ・マッカーシー

Melissa Ann McCarthy。女優/コメディアン/脚本化/プロデューサー。1970年アメリカ合衆国イリノイ州に生まれる。カソリックの伝統校を卒業。その後コメディアン養成学校で演劇を学び映画やテレビ、舞台で演じ始める。テレビドラマシリーズ『ギルモア・ガールズ』『サマンサ Who?』の演技で注目を集め、2011年エミー賞を受賞。映画でも活躍し、2011年の『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』でりアカデミー助演女優賞に、2018年の『ある女流作家の罪と罰』ではアカデミー主演女優賞にノミネートされた。声優としても活動している。2005年コメディアンで映画監督のベン・ファルコーンと結婚し、二人の娘がいる。

 あとがき

冒頭にも書きましたが、一部の間、特にアジアでアリエル役が黒人であることが批判を浴びていることに対してとても残念に思います。

私の回りのニュージーランド人は皆一様に驚いています。ニュージーランドは西欧人と原住民、ポリネシア系、それからアジア人などの有色人種が見事に混ざっており、特に若い年層では、肌の色は髪の毛や目と同じで違っているとことが当たりまえ。有識者の間では肌の色を口に出すことが常識外れだと取られる社会です。

ネットフリックスのイギリスの大河ドラマ的な番組でも、かのシャーロット女王を有色の肌色の人が演じていますが、そのことで批判なんて出ていません。

ウォルトディズニー社には、批判に負けずこれからも人種や肌の色に関係なく本質を重視した作品を作り続けて欲しいと思います。

Ngā mihi
wonderer

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。