この7月1日からすべての賃貸物件の状態に関する条件が変更されています。
変更後は全ての賃貸物件が、快適に生活できるように最低要件を満たさなければなりません。
賃貸物件に住んでいる人やこれから住む予定の人は、是非このブログを読んで快適に暮らしていただければと思います。
コンテンツ
1. はじめに
Kia ora
この7月1日より、すべての賃貸住宅は最低基準を満たさなければならないようになりました。
この基準は2019年7月に施行されていましたが、家主には段階的に定められた要件を完全に遵守するために5年間の猶予が与えられました。その猶予期間が終了したという訳です。
基準が定められた背景には、ニュージーランドの賃貸住宅は持ち家住宅よりも質が悪く、2022年6月まで1年間行われた調査では、3分の1以上が湿気やカビの問題を抱えていることが判明しました。寒くて湿気が多くカビが生えた住宅は、健康状態の悪化や、喘息やリウマチ熱といった疾患につながります。

『 healthy home standards 』は、より乾燥していて暖かい賃貸住宅を法制化することを目的としています。では、この基準とはどのようなものなのでしょうか?
2.『 healthy home standards 』内容
早速『 healthy home standards 』で定められている基準内容を紹介します。
🔷 暖房
リビングルームを直接暖めることができる暖房器具が少なくとも1台は設置されている。暖房機の具体的な容量は部屋の大きさによって異なるが、暖房能力は1.5kW以上。ほとんどの住宅では、ヒートポンプ、薪ストーブ、ペレットストーブ、またはガスストーブが適合、小規模なアパートなど、一部の住宅では、小型の固定式電気ストーブで十分な場合もある。
暖炉、ポータブルLPGボンベヒーター、プラグイン式電気ストーブは不可。
(例外)
家主が2019年7月1日より前に暖房機を設置し、その暖房能力が要求される暖房能力の80%以上である場合、暖房を追加する必要無し。
暖房能力が80%未満の場合は、追加する暖房能力が2.4kW以下であれば、小型の固定式電気ストーブを追加して暖房能力を「補う」ことが可能。
ロトルアの一部の物件は、地熱暖房を利用することで暖房基準を満たすこともできる。
また、許容される暖房器具の設置が「合理的に実行可能」でない場合(大規模な建築工事、建物への損害、または施工業者の健康と安全へのリスクを伴う場合)にも免除が適用。

🔷 断熱
借家があるゾーンに応じて、天井と床下に定められた断熱レベルを満たす断熱材(通称ピンクパッド)の設置。
北島の大部分(ゾーン1と2)では、天井のピンクバットは厚さ160mm、床下は厚さ100mm
南島と北島中央部の寒冷地域(ゾーン3)では、天井のピンクバットは厚さ180mm
アルミホイルやポリスチレン断熱材も使用可能。 断熱材はカビ、湿気、破れ、裂け目、隙間、害虫や鳥の巣などがない適切な状態であること。

(例外)
複数階建て住宅では屋根につながる天井と最下階のみ。他の階の天井と床は必要ない。
アクセスが安全でない、または「合理的に実行可能」でない場合。
住宅に既存の適切な状態であり、建築時に準拠していたことが証明される断熱材がある。
🔷 換気
リビングルーム、ダイニングルーム、キッチン、寝室の各部屋に外側に開き、また開いたまま固定できる窓、ドア、もしくは天窓が少なくとも1つあること。そしてその窓の開口部の面積は、部屋の床面積の5%以上であること。
キッチンとバスルームには、換気扇または相当の換気システムが必要。キッチンでは直径最低150mm、バスルームでは最低120mmの換気システムが義務付けられている。
( 例外 )
建築時に基準を満たしていた窓がある
換気扇の設置が「合理的に実行可能」

🔷 湿気の侵入と排水
屋根から水を排出するための雨どい、縦樋、排水管など、雨水、地表水、地下水を効率的に排水する設備が整っていること。
密閉された床下(空気の流れが著しく制限される床下空間)には、地面に防湿シートを設置。
(例外)
合理的に実行不可能な場合
🔷 すきま風
鍵穴や換気口のように意図的なものを除き、目に見えるすきま風の原因となる不当な隙間や穴がないこと。目安は2ドル硬貨の縁と同じ幅の3mmを超える大きさ。
また、使用されていない暖炉は、閉鎖するか煙突を塞がれていること。
暖炉を使用する場合は、暖炉が正常に機能し隙間がないことが必要。
3. 借家している人へのアドバイス
🔷 自分が住んでいる家の状態を確認しよう!
2024年には、事前評価の対象であった1,100件の物件の約半数が、今年2025年に入ってからは900件以上の事前評価された物件の内、約270件が『healthy home standards』に違反していることが確認されています。
ですので、借家に住んでいる人は自分が住んでいる家が『healthy home standards』にのっとった家であるかどうか確認することをお勧めします。
詳しい情報は、↓ の借家権に関する 政府の tenancy service のサイトのリンクをクリックして確認ください。

🔷 基準が満たされていない場合
住んでいる借家が基準を満たしていないと思う場合は、まず家主または物件管理会社にその問題を解決した後に『 healthy home standards 』に適合する証明書を署名入りで提出するよう求めます。それでも改善が見られない場合は、14日間の猶予期間を与えた後に、Tenancy Tribunal ( 賃貸審判所 )に申し立てます。
Tenancy Tribunal ( 賃貸審判所 ) とは借主または家主との双方の間で解決できない問題について、双方の言い分を聞き、法的拘束力のある命令を下すことができます。
Tenancy Tribunalの詳しい情報については ↓ のサイトをクリックしてご覧ください。
https://www.tenancy.govt.nz/
尚、家主が義務を果たさない場合は、1986年住宅賃貸法に違反したとして違反事項1件につき最大7,200NZドルの懲罰的賠償責任が問われます。
4. あとがき
前にも書きましたが、かなりの割合の借家が『 healthy home standards 』に適してないようですので、是非レンタル物件にお住まいの方は確認してみて下さいね。
逆に大家である方もこの機会に見直されることをお勧めします。
では皆さん、寒い冬が続きますが快適に過ごせますように!
Ngā mihi
wonderer