NZ学校でのスマホ使用禁止令の効き目、それからSNS使用は?

Kia ora

ニュージーランドの学校では学年最後の期となる4学期が始まりました。

今年は法令により学校でスマートフォンの使用が禁止された初めての年でした。
さて、そのその実態はどうだったのでしょうか。

去年*2023年の末に発足した連立新内閣の新しい施策として、学校での生徒によるスマートフォン使用禁止が発令されました。

実際にこのスマホ禁止令が施行されたのは今年の2学期からですが、政府は各学校が自主的に1学期から導入することを臨むと発表していました。

スマートフォンの管理方法については特にガイドラインがなく、先生に預ける、もしくは生徒のカバンから出さないようにするなど、学校側の自主性に任せられています。

また、このスマホ使用禁止令の他に、新しい施策として、学校は読み、書き、算数の各教科に 1日最低1時間を費やすことも制定されました。

学校でのスマホ禁止令を発表した Erica Stanford ( エリカ・スタンフォード)文化省大臣は、

intermediate と呼ばれる8年制を終わる頃までに児童の80%が学習の標準値に達するには、
各学校がすでに取り組んでいる読み、書き、算数の各教科について、国全体として統一する必要がある。同時に生徒の集中力の妨げとなるスマートフォンの使用禁止に至った。

と、記者会見の席でコメントしています。

実際にすでに国内や海外で実施している学校から、スマートフォンの使用禁止後、生徒の集中力や学習意欲が高まるなど学業と健康の面で向上しているという報告が出ているそうです。

尚、健康問題や学習障害を抱えている生徒のスマートフォン使用は許可されています。

出典元:NewstalkZB

* 2023年の末に発足した連立新内閣の新しい施策の施策の詳細についてはこちらをご覧ください。

オークランド市の中心部にある生徒数3,400人を抱えるマンモス校 Mount Albert Grammar Schoolでは、校内でスマートフォンの使用が禁止されて以来、学校の文化に大きな変化があったと言います。

現在は休憩時間中は生徒が生き生きしとし、とても騒がしいなど、ここ数年見られなかった光景が戻ったそうです。ラグビーボールが学校の窓を割るなどの事件も起こってますが、それでも学校側はとても喜こばしいことだと受け止めています。

Mount Albert Grammar Schoolは、発令よりいち早く、去年の始めからスマホ禁止策を導入していました。
生徒が受動的に椅子に座って頭を下げてスマートフォンを凝視するだけで、生徒同士の会話がなかった状況に危機感が感じられたことが理由として挙げられています。

それが今では生徒が同士が会話したり、一緒に行動して運動場でゲームなどをして遊ぶようになり、おかげで学校はハンドボール・コートを増設したと言います。
生徒が休憩時間を待ち望んでいる状況について、学校側は

小さな変化ではあるが、周囲の人々に接しながら社会性を養うという、昔からの黄金ルールに近づく大事な一歩である。
大きな学校であるゆえに生徒の自主性に任せているが、それでも生徒は理由を理解しアクティビティにいそしむことを楽しんでいる。

と語っています。

尚、最初は保護者の反応を懸念する声もありましたが、実際には大多数の保護者が賛同したそうです。

同じくオークランド市内にある、Papatoetoe High School では、スマートフォンの使用禁止について、それまで学校の決まりとして教室の外での取り締まりが難しかったのが、現在は生徒からの反発が無くなり対応しやすくなったそうです。

一方で、休み時間のスマートフォンの使用についてまでも取り締まるのはどうかという学校もあります。
また、スマートフォンよりも*校内での電子タバコの使用がもっと深刻な問題であり、授業を抜け出してトイレで吸っている例も多々あるほどで、取り組みが必要だと意見も出ています。

出典元:Newstalk ZB

* 生徒の電子タバコ使用の詳細についてはこちらを。

ところでお隣の国オーストラリアでは、現在若い世代のソーシャルネットワークシステムの使用禁止が検討されています。

法律として可決されれば、サウス・オーストラリアでは14歳以下の子供のSNSのアカウント保有を禁止するため、各プラットフォームに年齢確認のツールが導入されることが義務付けされます。
また、14、15歳はスナップショット、ティックトック、インスタグラムにアクセスするには両親の許可証明が必要となります。

子供がオンラインいじめの対象になることや、社会的に害を加えられたり、精神面に追い込まれることを防ぐためと、オーストラリア政府は説明しています。

子供のSNS使用禁止策がオーストラリアで成功すれば、ニュージーランドでも実施されることになるかもしれません。

現在高校生の私の子供は、学校でスマートフォンが使えないことに最初は怒りをあらわにしていましたが、最近は当たり前となったようで不満を口にしなくなりました。

今回この記事を書きながら個人的に面白いなと思ったのが、学校側の反応の中に『休み時間のスマートフォンの使用までも取り締まるのはどうか』という意見が出ている点です。
個人の自主性が重んじられている国らしいなと思います。
逆に、「学校側が厳しく対応しなくてどうするんだ!」と、いわゆる「ゆとり教育」に反対の声も聞こえてきそうですが、皆さんはどう思われますか?

Ngā mihi
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ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。