マオリ女性マイピ・クラーク議員 米誌タイムの「世界で最も影響力のある新進政治家」に選出

Kia ora

ニュージーランドのマオリ女性議員が、アメリカ合衆国の威厳のある雑誌タイムにより「世界で最も影響力のある新進政治家」に選ばれました。

その議員の名前はHana-Rawhiti Maipi-Clarke | ハナ・ラウィティ・マイピ・クラーク。まだ若干23歳のマオリの女性です。

タイム誌は、マイピ・クラーク議員を選んだ理由として、昨年『ワイタンギ条約原理見直し法案』の採決中に彼女が「世界を揺るがした」ことを挙げています。

その「世界を揺るがした」事件、あのタイム誌が言うくらいのですのでよっぽどの事件に違いありません。そして、そのマイピ・クラーク議員はいったいどんな人なのか気になるという人のために、これから「世界を揺るがした」事件と、マイピ・クラーク議員について詳しく紹介していきます。

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2025年10月、世界的に影響力があるアメリカ合衆国のタイム誌は、マオリ系議員マイピ・クラーク氏を「世界で最も影響力のある新星」の一人に選びました。

タイム誌は、2023年にわずか21歳で国会議員となったマイピ・クラーク氏について、マオリ語、伝統、文化を支えてきた先祖の足跡をたどっていると評しています。

ジョー・バイデン政権下で米国内務長官を務めたネイティブ・アメリカンのデブ・ハーランド氏は、タイム誌上でマイピ・クラーク氏について次のように寄稿しています。

デブ・ハーランド元米国内務長官

「マイピ・クラークは私たちのために犠牲を払い、日々私たちにインスピレーションを与えてくれる活動家たちの輪の中心人物である。彼女は自身のプラットフォームと発言力を活かし、コミュニティの権利を剥奪し先住民の権利を侵害しようとする動きを阻止しました。物事を大局的に見ると、彼女は真実を体現しています。明日のリーダーであるだけでなく、自ら舵を取り、私たちにふさわしい未来のために闘っているのです。

「世界で最も影響力のある新進政治家」としてニュージーランドのマオリ女性議員が選ばれたのは、アメリカの雑誌『タイム』が毎年発表する「TIME 100 NEXT | 次世代で台頭する影響力のある人物100人」のリストです。

芸術、技術革新、政治指導、社会運動など、幅広い分野から、来たるべき未来のリーダーとなる人物が選出されます。

ですので、この100人に選ばれた人は、別の言葉で各業界の未来を担う100人の新星とも呼ばれています。

過去に、芸術の分野からビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)、漫画家としては初めての「鬼滅の刃」の原作者・吾峠呼世晴氏、また政治指導の部門で当時環境大臣だった小泉進次郎氏や英利アルフィヤ氏、社会運動の部門では職場での女性に対する性差別を訴えた五ノ井里奈それからが選ばれています。

マオリ議員マイピ・クラーク氏を「世界で最も影響力のある新進政治家」に選ばれた理由の「世界を揺るがした」事件とは何だったのでしょうか?

それは昨年2024年11月に、ニュージーランド国会で議会が開催中に起こった出来事を指します。
議会への抗議として、会議中に文書を破り、そしてあのマオリの武闘の「ハカ」を踊ったのでした。

是非下の動画をクリックしてその模様を見て下さいね。


マイピ・クラーク議員が抗議したのは、連立内閣が発案した『ワイタンギ条約原理見直し法案』の第一次評決に対してでした。
ワイタンギ条約は、1840年に大英帝国と交わした契約書で、マオリ族の個人の権利と土地や文化遺産を継承する権利を保障し、500名以上のマオリ族の首長らが合意し署名しています。

そのワイタンギ条約を連立内閣の一党であるアクト党党首の David Seymour |ディビッド・シーモアが見直しを図ろうとしたものでした。
このため、マイピ・クラーク議員と他の二人のマオリ党議員はディビッド・シーモア議員に向けてハカを踊って抗議したという訳です。


この為国会が一時中断され、また労働党のマオリ議員がシーモア党首をなじり強制的に退席させられるなど、波乱に富んだ票決となりました。
(第一次評決では可決しましたが、第二次評決は通らず『ワイタンギ条約原理見直し法案』は不可欠となりました。)

その結果、マイピ・クラーク議員は、他の議員と一緒に「下院議員を威嚇するような行動をとった」と判断され、7日間の停職処分を受けました。


が、上の動画でもわかるようにハカを歌ったり踊ったりしているのは、マイピ・クラーク議員と他の二人の国会議員だけでなく、沢山の聴衆が加わっています。国会の外でも多くのニュージーランド市民がマイピ・クラークの行為を支持しました。
海外のメディアでも、先住民族の若い女性議員が圧力に屈せず抗議したとして大々的に報道されセンセーションを巻きおこしました。

この「世界を揺るがした」事件がきっかけで、タイム誌がマイピ・クラーク氏を「世界で最も影響力のある新星」の一人として選んだという訳です。

ちなみにマイピ・クラーク議員は、2023年に21歳の若さで国会議員に選出されており、この事件が起きた時は22歳でした。

実はこの「世界を揺るがした」事件が国際的な注目を集める前に、マイピ・クラーク議員はすでに「ワン・ヤング・ワールド・ポリティシャン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれていました。この賞は、18歳から35歳までの世界で最も優れた政治家を表彰するものです。

それでは、世界から注目を集めているマイピ・クラーク議員がどんな人なのかプロフィールを見てみましょう。


Hana-Rawhiti Kareariki Maipi-Clarke|ハナ・ラフィティ・カレリキ・マイピ・クラーク(2002年9月生まれ、現在23歳。ニュージーランドの政治家で、2023年のニュージーランド総選挙から国会議員としてマオリ党を代表している。

ニュージーランド北島のワイカト地方で生まれ育つ。父親はメディア・プレゼンターのPotaka Maipi。マオリ語活動家Hana Te Hemara|ハナ・テ・ヘマラの孫姪に当たり、2020年のハミルトン大尉像の撤去を求めて活動したTaitimu Maipi|タイティム・マイピは祖父、マオリ族議員として初めて行政評議会議員に任命されたWi Katene|ウィ・カテネは曾祖父である。

ハントリーのTe Wharekura o Rākaumangamanga|テ・ファレクラ・オ・ラカウマンガマンガで教育を受けた。17 歳の時にマタリキについての講義からインスピレーションを得て、マオリの太陰暦であるマラマタカについての本『Maahina』を出版。後にラグビー・リーグのニュージーランド・ウォリアーズにマラマタカとマタリキに関するトレーニングコースを提供した。

2022年9月、マオリ語週間で国会議事堂の階段でマオリ語で演説を行い、複数の政党から入党を請われる。そしてマオリ党から2023年総選挙に出馬することになる。

選挙期間中、選挙ポスターの盗難、不審車両、窃盗容疑などが起こり、 国民党の著名な選挙運動員の男性に不法侵入警告が出された。

議会のマオリ問題特別委員会に加わり、また、マオリ党のマオリ開発、若者、マオリ語、食料主権、農業、自然保護、スポーツとレクリエーション、食品安全、バイオセキュリティ、税関の広報担当者に就任。

2024年、「政治分野への関与は、若いマオリや若い世代がニュージーランドの民主主義の中で発言権を持つことを可能にした」という理由で、『ワン・ヤング・ワールド・ポリティシャン・オブ・ザ・イヤー賞』の受賞者4名のうちの1人に選出される。

同年11月14日、連立内閣が発案した『ワイタンギ条約原理見直し法案』の第一次評決中に、はハカ「カ・マテ」を踊りながら、法案のコピーを半分に引き裂いて抗議。のちに7日間の停職処分を受けたが、このハカの動画はオンラインで数億回再生された。

受賞歴
2024年9月、「ワン・ヤング・ワールド・ポリティシャン・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞。
12月にはBBCの「100人の女性」リストに選出。
2025年10月には、タイム誌の「2025年Time100 Next」リストに選出され、「世界で最も影響力のある新進政治家」に選出される。

前編のジャシンダ・アダーン元首相に続いて、今度は若いマオリ議員ハナ・ラウィティ・マイピ・クラーク氏と、ニュージーランドの二人の女性政治家を紹介してきました。

奇しくも日本でも初の女性首相が任命されたばかりですよね。インタビューなどを見ると高市早苗首相も強い信念を持ち行動力のある女性のように見受けられます。

が、アダーン元首相やマイピ・クラーク議員とは、どうも逆の方向に向かっているようにも見えます。日本社会が上手く回るといいですね。

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