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ニュージーランドの高校では毎年この時期(11月中旬~12月上旬 ) に NCEA EXAM と呼ばれるテストが行われています。
今年はオークランドなど一部の地域がロックダウンのため生徒が従来通り勉強できなかったどころか、NCEA EXAM 自体の実施が危ぶまれましたが、当初の予定より一週間遅れて無事に施行されました。
よく耳にするこのNCEA、自身や子供がNZの高校に通った経験がなく、そもそも何?と疑問に思う方は多いかと思います。
そこで、この編ではこれからニュージーランドの高校に進学予定やもしくは留学をお考えの方のために、NCEAの詳細を簡潔に説明していきます。
併せてNZの大学入学資格についても紹介していますので、NZの大学進学を考えている方もご参照下さい。
目次
NCEAとは?
NCEAは、The National Certificate of Educational Achievement の略で、ニュージーランドの高校生の成績評価を意味します。
NCEA certificate は、成績評価証明書を指します。日本の高校の単位習得証明書に該当します。
ニュージーランドでは日本のように各大学ごとの大学入試試験が無く、代わりにこの NCEAの評価が大学などの学校へ進学する資格基準とみなされます。
日本や他の国でも、この NCEA certificate の提出を条件とする大学が多いようです。
NCEA の対象となるニュージーランドの高校生とは、Year 11, 12, 13 ( 15 ~18歳 ) の生徒で、カレッジではシニア・スチューデントと呼ばれます。
NCEA CREDIT :クレジットとは?
NCEA CREDIT ( クレジット ) とは、取得単位を意味します。
▼ Level 1 ー3
NCEA の証明書は3つのレベルから構成されています。Year 11 でLevel 1 から始まり、Year 13 として学校を卒業するまでに Level 2、Level 3で定められた数のクレジット(単位)を取得する必要があります。
その NCEA CREDIT ( クレジット ) の数は、基本的に各レベルとも80単位づつですが、Level 1で80クレジットを取得すると自動的に20クレジットが繰り越され、実質 Level 2 で必要なクレジットは、60単位となります。Level 3 も同様です。
▼ Literacy and Numeracy credit
NECA credit は上述した各レベルの単位と合わせて、Literacy credit と、Numeracy credit をそれぞれ10単位づつ取得する必要があります。
Literacy は識字を意味し、Literacy credit は、読む、書く、聞く、話す能力を証明します。
Numeracy は計算能力を意味し、Numeracy credit は、計算、計測、統計の能力を証明します。
NCEA クレジットを取得するには?
実際にNCEA credit を取得するには各学校で行われるテストを受けます。
NZではテストは、一般に assessment test と呼ばれます。
▼ assessment test
この assessment test は、日本の単元末テストと同じで、単元が終わるごとに実施されます。またすべての教科において行われます。
内容の濃さにより、各テストに 3~5のクレジットが付いており、テストに合格するとそのクレジットを取得します。
また、テストによってはその内容により Literacy もしくは Numeracy credit が付いており、テストに合格すると従来のクレジットと一緒に Literacy/ Numeracy Credit が加算されます。
なお、Literacy Credit は、英語や歴史といった文系の科目だけとは限りません。理数系の科目でも、単元によってはエッセイ形式のレポート形式のテストに Literacy Credit がついていることがあります。
そして、ほとんどの assessment test は、学校内で評価されるため internal と呼ばれ、回答を訂正して再提出するチャンスも与えられます。
▼ external assessment test
年に一度、 external と呼ばれるテストが行われます。この external test は、NZQA ( NZの資格審査協会) で審査されるため、11月中旬~12月中旬に全国一斉に行われます。各高校で実施されますが、試験官はNZQAから派遣された人で公正に行われます。
この external test の結果と最終のNCEA の成績証明書は翌年の1月中旬に発表されます。
万が一、生徒が病気や災害などやむを得ない理由でテストを受けられなかった場合は、その年の8月前後に行われた derived test の評価に振り替えられます。derived test とは、external test と同じような形式で行われますが、回答の審査や評価はNZQAではなく校内で行われます。そのため derived test は、mock exam ( 模擬試験 ) とも呼ばれます。
▼ test の評価方法
各テストの回答は基本的に二段階で評価されます。 Achieved (合格)、Not Achieved (不合格)です。
そして同じ Achieved (合格)でも、回答が良い内容のものは Achieved with Merit 、優れているものは Achieved with Excellence と評価されます。
Merit や Excellence であっても取得するクレジットのポイントは Achievedと同じです。
が、NCEA証明書に Merit や Excellenceの数は明記され、scholarship ( 奨学制度 ) などの制度を利用して大学進学する場合に有利となります。
NZの大学進学に必要な NECA credit
NZの高校からNZの大学へ進学する場合は、日本のように大学入試試験を受けるのではなく、University Entrance = UE credit を取得する必要があります。
UE creditを得るには、下記のクレジットをすべて取得することが条件です。
◎ NCEA Level 3 クレジット
◎ UE承認の3科目でそれぞれ14クレジット
◎ 10 Literacy credit (5 credits in reading 5 credits in writing )
◎ 10 Numeracy credit
参照元:https://www.nzqa.govt.nz/ncea/ncea-exams-and-portfolios/
あとがき
以上、ニュージーランドの NCEA について簡単に説明しました。
NZの大学進学について、大学入試を受ける必要がないという点では日本に比べて簡単そうに見えますが、必要とされる UE credit を取得するにはかなりの努力が必要で、特に日本やアジア人の学生には10 Literacy credit を取得することが難関のようです。理数系、工学系に進学するにあたっても、この読む・書くの Literacy credit クレジットは必要で、地元のニュージーランドの生徒でさえ頭を抱えていると言います。
では、どうしたら Literacy credit を取れるようになるかは、 改めて別の編で特集していこうと思います。ご期待のほどを。
追記: 2021ー21年にかけて新しいNECAシステム導入に向けて実験的に新しいカリキュラムが行われたところ、過半数の生徒が標準以下の成績というショッキングな結果になりました。興
是非こちらも一緒にご覧下さい。
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