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ニュージーランドには、日本で見かけない動物の一つにポッサムがいます。
面白いことにオーストラリアでは保護されているポッサムですが、ここニュージーランドでは自然に大打撃を与える要注意の動物です。
そのポッサムとは一体どんな動物なのか、ニュージーランドとの関係を交えながら詳しく説明していきます。
NZポッサムの特徴
- 名称:ポッサム(Possum、学名:Trichosurus vulpecula)
- 分類:樹上有袋類、双前歯目クスクス型亜目
- ニュージーランドのポッサムは、その一種であるフクロギツネ
- 形態:
外来種(オーストラリアの固有種)
体長約65~95cm、体重1.5~6.4kg
ポッサム種の中で最も大きい
太くふさふさとした尾、厚い体毛、尖った鼻、大きく尖った耳を持つ
体色は灰色と黒の2種類 - 生態:
夜行性
隠れ場所と多様な食料源があればどこにでも生息することから、NZのほとんどの地域に広く分布。
主な生息地は森林(マキ科の広葉樹林や森林と牧草地の境界部を好む)
歩行、跳躍、跳躍が可能で、物を掴むことができる尾を使って木の枝を移動
食料は主に葉だが、在来種の鳥やその卵、ウェタなどの昆虫も捕食する

NZに導入されたいきさつ
ニュージーランドポッサムは、ニュージーランドの固有種ではなく外来種です。
つまり、ニュージーランドに元々生息しておらず国外から導入された動物です。
1837年に、毛皮貿易を始めるために初期のヨーロピアン入植者によりオーストラリアから持ち込まれました。が、生き延びることができず死んでしまっています。

その後次のような経過を経て現在に至っています。
1858年:再度サウスランドに放たれ、永続的な個体群が確立。その後、団体や個人が全国的に数十頭を放つ
1921年 自然環境への被害が明らかになったため、輸入や放獣が違法に
1946年 正式に有害害獣と宣言される
ちなみに、ニュージーランドには元々コウモリと沖を回遊するクジラ以外は哺乳類は生息していませんでした。現在ニュージーランドで見かける哺乳類はすべて外来種です。
自然環境へのダメージ
毛皮のために良かれと導入されたポッサムですが、今では害獣としてニュージーランドで憎まれている存在です。
害獣扱いされている理由
ポッサムが害獣扱いされている理由は
- 生態系の破壊
- 森林の食荒らし
- 家畜への伝染病を媒介
と、ポッサムは自然環境に悪影響を及ぼすからです。
また、個体数が多く、野良猫などの天敵も個体数を抑制する効果はほとんどありません。
生態系への影響
ではどのようにポッサムが生態系を破壊しているのか詳しく説明します。
生態系を破壊している一番の要因は、雑食性で何でも食べることです。
このため、ニュージーランドの固有種が脅威に晒され、樹木の成長や森林の形成にも大きな影響が出て言います。
具体的には
- キウイやコカコなどの在来の鳥の卵やヒナだけでなく成鳥までも、それからウェタなどのNZ固有種の昆虫を食べるため、個体数が減少
- 芽、花、果実、蜜も食べるため、在来の鳥類や爬虫類と食料源をめぐって競合。
- 樹木や植物のあらゆる部分も食べつくし、樹木の成長を妨げる
と、ポッサムはニュージーランドの自然にとって脅威的な存在です。
それにしても、キウイの成鳥までも食べるなんて、害獣以外には何者でもありませんよね。

オーストラリアとの違い
お分かりのようにポッサムは自然環境を破壊し、このままでは数も爆発的に増え続ける害獣です。ですが、オーストラリアでは数が減りオーストラリアの固有種として保護動物に指定されています。
どうして同じ動物なのにニュージーランドとオーストラリアでこうも違うのでしょうか。
その理由について、ニュージーランドのポッサムの状況をオーストラリアを比べて説明していきます。
- 天敵がいない
オーストラリアではフクロウ、ヘビなどに捕食され数がコントロールされている - 豊富な食糧と住居
豊かな原生林や農場に隣接する森林の端など最適な環境 - 順応力と繁殖力
最適な環境に順応して繁殖力が強まる
と、ポッサムにとってニュージーランドは天国みたいのもの。
これでは放っておくと数が増えていくのも当然です。
対策
このようにポッサム天国のニュージーランドでは数が爆発的に増え、一時期推定6,000万~7,000万匹まで達しました。
これは人ひとり当たり30頭のポッサムがいたことになります。
1980年代から積極的に駆除が行われるようになり、現在はトラップや独餌散布、夜間射撃などの方法で駆除されています。それでも3,000万匹が生息していると言われています。
このためポッサムは*「Predator Free 2050」の対象として、2050年までに撲滅することを目標にプロジェクトが進んでいます。
*「Predator Free 2050」
ニュージーランド政府が主導する2050年までに国内の特定の外来捕食動物を完全に根絶することを目指す国家プロジェクトおよび自然保護計画。
ポッサムの他、野ネズミ、イタチ、オコジョ、フェレットが対象。
ポッサム製品
「百害あって一利なし」のように見えるポッサムにも一つだけ良い点があります。
それはポッサムの毛皮です。
もともと毛皮を目的に輸入された訳ですから、当たり前ですよね。
ポッサムの毛皮を材料にした製品の中でも、ここ数年ポッサム・メリノが注目を浴びています。
ポッサム・メリノは、ポッサムの毛と最高級羊毛メリノウールをブレンドしたとても軽くて暖かい天然素材です。カシミヤを超える保温性や、優れた吸湿・速乾性、防臭力を持ち、セーター、靴下、手袋などに使われています。

ポッサム・ウールはニュージーランドの生態系を守る活動の一環としてとてもサステナブルな素材 です。
ニュージーランドのお土産にいかがでしょうか?
あとがき
昔オークランド市内に住んでいる時、夜中に屋根から何やら音がすると窓を開けて見上げたら、驚いたポッサムが転がり落ちてきたことがあります。
今思い返せば笑い話ですが、その時は何が起きているのかわからずとにかく驚きました。
最後に、ポッサムが捕食しているニュージーランドの固有種、キウイとウェタについて以前特集を組んで紹介しています。
ニュージーランドの自然に興味がある方はクリックしてご覧ください。
Ngā mihi
wonderer




















