Kia ora
お土産としてまっさきに頭に浮かぶのがこのマヌカハニー。
ニュージーランドに馴染みのある人なら誰しも一度は口にしたことがあることでしょう。
マヌカハニーは、言わずと知れた質と効用力の高さで世界的に知られているニュージーランド原産の蜂蜜です。
この篇ではそのマヌカハニーの源、マヌカの木を特集しています。
マヌカの木の特徴の他に、ニュージーランドの歴史や自然環境保護など、蜂蜜としてだけでなく色々な見地からマヌカを紹介していきます。
マヌカの特徴
マヌカはマオリ語では Mānuka と記され、マの音を伸ばしてマーヌカと発音されます。
Mānuka (学名:Leptospermum scoparium)は日本語でフトモモ科のギョリュウバイ(檉柳梅)に属します。
「 檉柳梅 」名前の 通り、梅に似たピンク色の花が咲きます。また、ぎざぎざした小さい葉をしているのが特徴的です。適用力に優れており、湿地帯から高山まで至ることろで育ちます。
この為、オーストラリア南東部にも分布していますが、元々はニュージーランドの固有種です。
3~4 m 近くの高さまで成長し、灌木の種類に入ります。
Kanuka ( カヌカ )と呼ばれる植物とよく似ていますが、マヌカとカヌカは植物学上では全く違う種になります。
マヌカとカヌカの見分け方は、葉を手でこすって硬ければマヌカ、柔らかいのがカヌカになります。
ニュージーランドの子供は、とげがあり mean ( 意地悪なの意 ) な葉を持つのが、同じ m で始まる Mānuka だと覚えていきます。
マヌカと
ニュージーランドの人々との関係
先住民の Māori ( マオリ ) 族は、マヌカの木を様々な目的で使っていました。
赤くて固い材質の幹は、カヌーを漕ぐオールや、武器、鳥を狩る槍、斧、家などに、皮は水筒や、屋根葺きなど建築資材として使われていました。
またマオリ族は早くからマヌカの高い殺菌効果に目をつけ、薬としても用いていました。
例えば、幹の皮の部分は煮沸してやけどに、灰は皮膚病に、葉を煮沸した蒸留水は風邪薬として、幹の中身の煮沸液は口をすすぐ液としてなどです。
このため、マオリ族はマヌカを癒しの木として崇めていました。
同時に、マヌカの香りのよい花は蜜蜂などの昆虫を惹きつけ、ひいてはこうした昆虫を餌とする、マオリにとっては貴重な食料資源である鳥をもたらしていました。
17世紀後半にニュージーランドに最初に訪れた西洋人キャプテン・クックをはじめ、19世紀の初めから入植したヨーロッパ人は、マヌカの葉を煎じてお茶として飲むようになりました。
* この為、マヌカは tea tree ( ティーツリー)と呼ばれたこともありますが、現在アロマセラピーなどで使われる tea tree ( ティーツリー)とは異なります。
区別する為に、マヌカはニュージーランド・ティーツリーと呼ばれます。
が、同時に、羊や牛がニュージーランドに紹介され、各地で酪農や牧羊業が本格的に始まると、牧草地を開くためマヌカは有害樹木として次々と伐採されたり焼き払われるようになりました。
森の再構築とマヌカ
上述のように不遇な状況に押しやられたマヌカの木ですが、現在は自然環境保護の一環として、マヌカの植樹が全国的に進んでいます。
マヌカは厳しい環境にも耐えること、それから羊や牛、山羊などの動物に食べられることがなく生き残りやすいため、真っ先に植えられます。
そしてマヌカの木が成長すると、マヌカの回りに様々な種類の樹木が植えられます。これらの樹木はマヌカを厳しい環境にから身を守るシェルター代わりにしながら成長し、中にはマヌカよりも大きく成長したりしながら、次第に森が形成されていきます。
こうしてマヌカは森林の再形成の礎 ( いしずえ )となっています。
また、マヌカの香りの良い花はハチや他の昆虫、鳥を育くむことがから、森の生態系を再構築するという意味でも、マヌカは重要な役割を担っています。
マヌカ製品と効能
ご存知の方も多いと思いますが、マヌカハニーには次のような効能があるとされています。蜂蜜だけではなく、喉飴、エッセンシャルオイル、石鹸や化粧品などバラエティに富んだ製品があることにご納得いただけることでしょう。
○ 傷の殺菌と破傷風防止
○ 口内のバクテリアを抑制し歯と歯茎の健康維持
○ 喉の痛みの緩和
(特に化学療法や放射線治療被者には効果大)
○ ピロリ菌やアルコール摂取過多による胃炎抑制
○ 胃腸を整え、慢性的な便秘、下痢、痛みを抑制
○ 肺病気繋がる嚢胞性繊維症に効果(現在研究中)
○ にきび防止と発症後の皮膚の回復促進
mage from www.ReadPlease.com via Flickr
余談:ヒラリー卿とマヌカ
余談ですが、1953年に世界で初めてエベレスト山登頂に成功した故エドモンド・ヒラリー卿( Sir Edmund Percival Hillary ) は、マヌカハニーを舐めてエベレスト山の過酷な状況に耐えたそうです。(ちなみにヒラリー卿の家族は養蜂業を営んでいました)
20年ほど前に、日本の「知ってるつもり」というテレビ番組で ヒラリー卿が取り上げられた際、このマヌカハニーの話も紹介されました。
すると、またたく間にニュージーランドを訪れる日本人観光客の間で「ヒラリー卿御用達のマヌカハニーを買う」ちょっとしたブームが広がりました。
が、ヒラリー卿御用達と銘打ったマヌカハニーなどなく、実際にはヒラリー卿の顔が載った5ドル札でマヌカハニーを買うということで事態は納まったそうです。
(その当時はスーパーマーケットで安いマヌカハニーは5ドル前後の値段を付けていました)
最後に、ハチミツとしてお馴染みのマヌカですが、森林や生態系形成など自然環境保護に高く貢献する 木だということもおわかりいただけかと思います。
ニュージーランドにお住まいでこれから木を植える予定のある方、これを機にマヌカの木を植えてみてはいかがでしょうか?
ニュージーランドの木として、ポーフツカワという木についても特集しています。
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