Kia ora
ニュージーランドでしか見られない奇妙な姿をした昆虫ウェタ。
『指輪物語』や『ホビット』の映画の製作会社ウェタ・ワークショップの名前の由来としても知られていますが、実際に初めて目にした際その奇妙な姿に大抵の人が声をあげて驚いてしまいます。
これからそのニュージーランドの名物とも言える奇妙な昆虫 ウェタを取り上げて紹介します。
ウェタの名前の由来
まずウェタという名前ですが、マオリ語の wētā から来ています。 元々 wētā は大きなサイズの虫を総括して使われていました。
またウェタの種類によっては別のマオリ語の名前を持つものもあります。
⚠️ マオリ語で書く場合は、wētāと子音のeとaの上にマクロンと呼ばれる傍線を必ず付けましょう。マクロンがない weta は、汚い、糞という意味になります。
ウェタの進化・分類
- 恐竜と同じジュラ紀に出現
- バッタ目カマドウマ科に属する
- ニュージーランドの固有種である
- 1962年に絶滅していると思われていた Mahoenui giant wētāが発見される。1995年には新しい種が発見されるなど、種類は増えている
- 100種類以上の種が存在。その内16種は絶滅の危機にある。大きく分けると次の5種がある
Tree wētā(ツリー・ウェタ)
Ground wētā (グラウンド・ウェタ)
Cave wētā(ケイブ・ウェタ)
Giant wētā(ジャイアント・ウェタ)
Tusked wētā(タスクド・ウェタ)
特徴
- 昆虫の中でも大きい部類に入る。
- 大きな胴体や婉曲した触覚、とげがある発達した後ろ脚を持ちユニークな姿をしている。
- 翅を持たず、地面や樹木を徘い廻る。強い跳躍力を持つ
- 夜行性
- 温度差に順応し、高山、牧草地、灌木地、森、洞窟、住宅街の庭など様々な場所に生息。石の下や腐れかけや木材、樹木に穴を作って住む
- 種によって異なるがほとんどが雑食。 ジャイアント・ウェタは草食性である
- 秋から冬にかけて土中に産卵。翌年の春に孵化し、1~2年の間に10回ほど脱皮しながら成虫になる。
- 下顎が発達しており稀に人を噛むこともある。嚙まれれると痛い。

- 敵に襲われると後ろ足を上に上げて体を大きくそして棘があることを強調しようとするが、隙あらばその場から逃げようとする。
- 外来の天敵に補食され数が減ってきている
ジャイアント・ウェタ
ここでは、数あるウェタの種類の中で最も大きい ジャイアント・ウェタについて説明します。
- マオリ語で Wētāpunga と呼ばれる。
Punga は、マオリ語で醜い神を意味する。 - 体重が35グラム以上あり、昆虫の中では最大級の部類に入る。
大きなもので、触角を含まない胴体だけで10センチメートル、スズメやネズミより重くなる。過去に体重が71グラムの個体が発見されたこともある。

- オスはメスより体が小さい
- 草食性。ウェタ類の中ではおとなし人を噛むことはない
- 成虫の寿命は6~9ヶ月。この間何度も交配する
- 外来の天敵に補食され本土ではほぼ絶滅。Little Barrier Island島にのみ生息していたが、保護活動のおかげでTiritiri Matangi と Motuora Islands にも生息している。
Giant wētā listed as threatened by DOChttps://t.co/Q0XQNI9riz pic.twitter.com/9Di8Jq4maj
— 1News (@1NewsNZ) January 16, 2023
ウェタ保護活動
数が減少しているウェタを守るために、DOC と呼ばれる (Department of Conservation : 自然環境保護局) が保護活動をしています。
具体的には、天敵のいない離島にウェタの個体が集められて個体数の増加が試みられています。
ウェタは新しい環境に馴染みやすい上に、無脊椎動物の例にもれず生殖率が高く、また新しい生息地の広さは関係ないため、保護活動の成功確率が高いと言われています。
その一方で、現在具体的な生息数や生態系の情報が乏しいことや、生態上の違いは小さくても多くの種が存在しているため、ウェタの分類や保護の方法が常に見直されているのが現状です。
あとがき
そのニュージーランドの珍しい鳥のキウイやカカポ、それからケアについても興味のある方はどうぞこちらも併せてご覧ください。
Ngā mihi
wonderer