Kia ora
もし飛行中に前の座席がリクライニングしたおかげで窮屈で不快な思いをしたら、皆さんどうしますか?
このリクライニングシートを巡るいざこざは古今東西よくある話ですが、先月起きたキャセイパシフィック航空での出来事はソーシャルメディアで拡散され、世界中のメディアにも取り上げられました。
そこで、ニュージーランド航空でもし飛行中に同じ状況に陥った時の対処法として、知っておくと便利な点をまとめてみました。
1. キャセイパシフィック航空事件
本題に入る前に、今また飛行機の座席のリクライニング議論が浮上するきっかけとなった、キャセイパシフィック航空のフライトで起きた出来事から紹介します。
先月香港発ロンドン行きの機中で、一人の中国人の若い女性が座席の背もたれを倒したところ、その後ろに座っていた香港人中年夫婦がスクリーンが見えにくいと不満を伝え、背もたれを元に戻すように促しました。が、食事中ではなかったため女性は要求を断り座席を倒したままでいると、夫婦から罵声を浴びたり座席を大きく揺らされたほか、挙句の果てには人種差別的な言葉を吐かれ中指を立てられました。
その女性がソーシャルメディアに当時の様子を動画付きで投稿すると、194,000人の人が彼女に賛同し、中には「同じ香港人として恥ずかしい」というコメントも寄せられました。
一方、座席の作りに合わせてできる範囲まで倒して構わないという人と、前の座席の人が倒し過ぎると快適でなくなるという反対意見の間で議論も交わされました。
さらにこの中国人女性は、キャビンアテンダントに助けを求めると背もたれを元に戻すように言われたそうで、「私はびっくりした。食事の時でもないのにキャビンアテンダントが私に妥協するように言うとは。勿論その要求を拒否したわ」。とのコメントもSNSにのせています。
結果的にキャセイパシフィック航空は後ろに座っていた香港人夫婦を no-fly listと呼ばれる「搭乗拒否リスト」に加えました。今後その夫婦はキャセイパシフィック航空を利用できません。同社は、他の乗客に対し尊敬の念に欠けた態度ついては、a strict zero-tolerance policy/例外を許さない厳しいポリシーを取っており、正しくこの件も例外ではないと説明しています。
( 出典 https://www.bbc.com/news/articles/clyvd4yjj8xo )

2. 法律家の見解
このキャセイパシフィック航空の事件を受けて、ニュージーランドのオークランドの法律事務所の弁護士は新聞のインタビューで次のように語っています。
- フライトアテンダントからの指示(避難時のインストラクションも含めて)を守らないと、法的に逮捕されたり、罰金を課せられたり、乗車拒否という処分に遭う。
- 航空会社は乗客に対しある程度までの快適さと便利なサービスを提供することが義務付けられているが、それに対して乗客同士の間で衝突した場合航空会社は仲介する義務があるのかというと、それは状況によりけりである。
- また、国際線と国内線では航空会社の規則が異なる。
と、コメントしています。
リクライニングシートを倒す、倒さないの問題に対しての航空会社の対応については状況によりけりと曖昧に感じますよね。
また、国際線と国内線では規則が異なるとはどういうことなのでしょうか?
(出典 https://www.1news.co.nz/2024/10/13/reclining-seats-on-flights-can-you-legally-do-much-about-it/)
3. 国際線と国内線での対応の違い
そこで国際線と国内線のフライトではどう規則が違うのか、ニュージーランド航空について調べてみました。
国際線のフライト
国際線のフライトでの規則はモントリオール条約(英語: Montreal Convention、正式名称:国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約)に基づきます。
モントリオール条約にはニュージーランドの航空を初めほとんどの航空会社が署名しています。
そしてこの条約では、乗客の不快な思いに対しての規則は定めらていません。
ですのでチケットに健康や安全面の点で一定のスペースが必要と特記されてない限りは、前の座席のリクライニングにより不快な思いをしたと訴えても、残念ながら国際線でのフライトでは航空会社は対応する必要がありません。
前提に、飛行機は元々座席の数と乗客の快適性について、利益と評価のバランスを計算に入れて製造されており、不快性、不都合な点などはモントリオール条約では保障されていません。
が、乗客が値段に見合わない経験をすれば、話は別です。
例えば飛行中に怪我したり所持品が壊れたならば、ニュージーランド航空はモントリオール条約の署名国であるため、責任を負う義務があります。
国内線のフライト
ニュージーランド航空の国内のフライトには、 Consumer Guarantees Act (消費者保護法)が適用されるため、国際線と全く事情が異なります。
Consumer Guarantees Act (消費者保護法) 上、消費者つまり乗客に最低基準を満たしたサービスを提供することが義務付けられており、それが守れない場合は航空会社は法令に違反することになります。
例えばある程度の質の椅子を提供できなかったり、乗客が座席をリクライニングして他の乗客に近すぎて不快な思いをさせた場合などが当てはまります。

まとめ
ここで簡単にまとめると
ニュージーランド航空においては乗客の権利は
- 国際線より国内線の方が強い。
国内線ではリクライニングシート問題でもフライトアテンダントに対処してもらえる。 - 怪我や物品が破損した場合は国際線が有利
ということになります。
ちなみにニュージーランド航空のエコノミークラスの座席は約12.7cmまでリクライニングできます。ビジネスクラスではほとんどの機体で180度倒して平らにすることができます。
また、離発着の間や、食事中は座席をリクライニングできないので皆さんマナーは守りましょう!
出典:rnz.co.nz
4. あとがき
乗客の権利は国際線より国内線が強いということに驚いた人は多いことでしょう。
これもConsumer Guarantees Act (消費者保護法)が適用されるで、これはニュージーランド航空だけでなくニュージーランド国内を飛行するカンタス航空のフライトにも適用されます。
このニュージーランドのConsumer Guarantees Act (消費者保護法)、飛行中だけでなくニュージーランドで生活する上でとても便利ですので、別編で詳しく紹介するつもりです。
尚、ニュージーランド航空については機内食やスカイネストのトピックで特集を組んでいます。興味のある方はこちらもどうぞ。
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