中国が南太平洋諸島に実験用の核ミサイル発射! 緊迫状態のニュージーランドの反応は?

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今月中国は太平洋諸島に向けて実験用の核ミサイルを発射し、太平洋諸島は勿論、ニュージーランドやオーストラリア、そしてアメリカなど多くの国を震撼させました。

日本でもこのニュースは報道されているのでご存じの方は多いかと思います。

この編ではニュージーランドの目線から具体的に何が起こったのか、そしてニュージーランド政府の反応などをわかりやすく簡単に解説していきます。

中国軍は2026年7月6日、原子力潜水艦から太平洋の公海に向けて実験用の核ミサイルを発射しました。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と呼ばれる新型ミサイルは原子力潜水艦から発射され、南太平洋のソロモン諸島やツバル周辺の海域に着弾しました。
このミサイルの射程距離は1万キロを超え米本土に到達する能力を持つと分析されています。

中国側は「年間軍事計画の一環」と説明していますが、オーストラリアがフィジーと新たな防衛協定を締結した数時間後に行なわれたことから、中国の核戦力強化と米国本土を射程に収める反撃能力の高さを誇示する目的で行われたと捉えられています。

衛星写真により中国側が太平洋地域に複数の衛星追跡船を配備していたことが衛星写真で明らかになっており、核実験ミサイル発射実験の監視に使用されるとみられています。
また、そのうちの1隻はオーストラリアとフィジーの防衛協定が締結されたフィジー首都スバに停泊していたことも明らかになっています。

事非核地帯化を目指す太平洋地域の意向に反することと十分な通告が前もって行われなかったとして、ニュージーランド、オーストラリア、そして日本を含む近隣諸国は憤慨しています。

特にオーストラリアについては、近年、太平洋地域における中国の影響力拡大と軍事力増強に対抗するため、近隣諸国との防衛関係強化を急いでいました。

中国は否定していますが、ミサイルを発射の直接の引き金となったのは、オーストラリアとフィジーが締結した協定であることは否めません。
実際、ミサイルが発射されたのは協定が結ばれた僅か数時間後でした。

それほどまでに中国が気に食わなかった協定は、7月6日フィジーの首都スバにおいて、とフィジーのラビュカ首相とフィジーとオーストラリアのアンソニー・アルバネーゼ首相の間で結ばれました。
両首相が署名した協定は二つあります。経済と安全保障に関する「ヴヴァレ連合条約」と、相互防衛協定である「平和の海同盟」です。
その内の「平和の海同盟」は中国を牽制するための動きだと見られています。

ヴヴァレはフィジー語で家族を意味し、安全保障、経済、そして人々の福祉を含む、両国関係のあらゆる分野にわたる意欲的な取り組みを掲げる。言わば両国の友好関係を深くする内容。

  • 相互防衛: どちらかの国が武力攻撃を受けた場合、他方が支援や対応に当たることを義務付け。フィジーにとって初の同盟条約。
  • 第3国の牽制: *太平洋島嶼国における「第三国の軍事基地や安全保障上の拠点、継続的な駐留」が両国の安全保障への脅威になると明記
  • 多国間化の視野: 軍隊を持つ他の太平洋諸国もこの協定に参加できる規定を設けており、地域全体の抑止力向上を狙う

*太平洋島嶼国(たいへいようとうしょこく・とうしょこく)とは、太平洋に点在する島々で構成される国々の総称。主に「ミクロネシア」「メラネシア」「ポリネシア」の3つの地域に分かれており、広大な排他的経済水域と豊かな海洋資源を有することから、地政学上も重要な地域とされている。 
ポリネシア地域: サモア、トンガ、ツバル、クック諸島、ニウエなど
ミクロネシア地域: パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、キリバス、ナウルなど
メラネシア地域: パプアニューギニア、フィジー、ソロモン諸島、バヌアツ、ニューカレドニア(フランス領)など

オーストラリアはミクロネシアのソロモン諸島とも二国間条約の交渉しているなど、積極的に太平洋諸国間の地域安全保障協定構想を推進していることから、他の大平洋島嶼国もフィジーの例に従ってオーストラリアと安全保障同盟を結ぶと予想されています。

実は、中国の活動はパシフィック諸島だけではありません。
ニュージーランドに対しても次のような高圧的とも言える態度をここ数年示していました。

2025年2月、中国の軍艦がタスマン海で実弾射撃訓練を実施し、同月には3隻の軍艦がオーストラリアとニュージーランド間のタスマン海を航行しています。このような艦隊が同海域で目撃されたのはこれが初めてでした。

また、先月中国は外交訪問で台湾を訪れたニュージーランドの国会議員4名に対し、中国、香港、マカオへの1年間の入国禁止処分を下したばかりです。

このような状況に対してニュージーランド政府がどのように反応しているのか、クリストファー・ラクソン首相やウィンストン・ピーターズ外相などの政治家の声明文の抜粋を挙げています。

クリストファー・ラクソン首相

太平洋の非核地域に発射するとは憂慮すべき事態。この地域で建設的な市民であろうとするならば、ほとんど予告なしにミサイルを海に向けて発射するべきではない。この地域の人々とどのように関わっていきたいのか、全く分かっていない国家の行動である

ウィンストン・ピーターズ外相

非常に憂慮すべき事態として太平洋諸国と協議する意向。ニュージーランドと太平洋島嶼国は*ラロトンガ条約にのっとり、この地域におけるあらゆる形態の核実験、あるいは核関連能力の実験に反対してきた。が、このラロトンガ条約によって設立された南太平洋非核地帯に向けて発射した中国の行動は、同条約の目的と趣旨に反する」

ACT党のデイビッド・シーモア氏

ACT党のデイビッド・シーモア氏
中国の今回の行動は友好国がするようなことではない。今後の対応は中国次第だ。
(中国がニュージーランド最大の貿易相手国であるという立場が対応を複雑にしているのかとの質問に対し)、貿易がニュージーランドが意見を表明することを妨げることは一度もない

労働党党首のクリス・ヒプキンス氏

内閣が対応に全面的に賛成である。同地域が「軍事地帯」になってはならない。

と、ニュージーランド政府は珍しく(?)与党・野党を含め一丸となって、今回の中国の核ミサイル実験に反対しています。
しかも、もし中国がニュージーランドの輸出貿易に何らかの圧力を与えても屈しないなど、断固たる姿勢を見せています。

先日NZのクリストファー・ラクソン首相は、中国の核ミサイル実験の引き金となった「平和の海同盟」同盟への参加を検討していると発表しました。
すでにオーストラリアとフィジーの担当者とこの合意について協議しているそうです。ニュージーランドがこの同盟に参加するかどうかの最終決定は、内閣と議会によって行われる必要がありますが、ほぼ確定だと見られています。

オーストラリア側はこの動きに対し諸手を挙げて歓迎しています。

ちなみに、ニュージーランドの正式な同盟国はオーストラリアのみですが、オーストラリアはニュージーランド、米国、パプアニューギニア、フィジーの4か国と同盟を結んでいます。

少し本題から外れますが、ニュージーランド政府のコメントに度々登場するラロトンガ条約について簡単に説明します。

ラロトンガ条約を知ると、今回の一連の騒動が理解しやすくなると思います。

ラロトンガ条約(正式名称:南太平洋非核地帯条約)は、1985年に署名、1986年に発効された条約です。南太平洋地域において、核爆発装置の実験や製造、取得、貯蔵を禁止し、さらに放射性廃棄物の海洋投棄を禁止する非核地帯化を定めています。 この条約は、クック諸島にあるラロトンガ島で調印されたことからこの名で呼ばれています。

背景に、冷戦期、アメリカのビキニ環礁やフランス領ポリネシアでは、アメリカ、イギリス、フランスによる核実験が繰り返されていました。これによる環境破壊や、現地住民・乗組員への健康被害が深刻な問題となり締結されました。

このラロトンガ条約にはフィジー、クック諸島、サモアなどの太平洋島嶼国とオーストラリア、ニュージーランドを含めて13か国が加盟しています。

というように、ラロトンガ条約は世界的に知られている条約です。

そのラロトンガ条約によって非核地帯として守られている南太平洋で核実験を行う中国に、
オーストラリアやニュージーランド政府が激しく抗議しているいることは当然のことだと言えます。

(出展ウキペディア)

(出展 https://www.bbc.com/news/articles/c30yy6jj8p1o
https://www.rnz.co.nz/news/pacific/680244/australia-and-fiji-sign-landmark-security-and-peace-treaties
https://www.1news.co.nz/2026/07/10/australia-welcomes-nz-joining-pacific-defence-alliance

この記事を読んで、非核地帯に実験用核ミサイルを発射した中国の行動が如何に大胆でまた脅威なものであるか理解いただけたと思います。

また、併せてニュージーランドと太平洋島嶼国の密接な関係や非核への取り組みも紹介しましたが、これからこのブログで太平洋島嶼国やニュージーランド自体の非核への取り組みについても情報を提供していく予定です。

今後ともご愛読のほど、どうぞ宜しくお願いいたします。

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