Kia ora
マオリ語週間だった先週のニュージーランドは、いつもにも増してあちらこちらでマオリ語が飛びかってました。
テレビの天気予報の番組の中でも地名がマオリ語で紹介されていましたが、いつもの地名と違う聞きなれないマオリ語の表現に、思わず、あれっ?どこ?と思った人は多いのでは。
マオリ語で呼ばれる地名の中には、耳で聞く音には馴染みがないかもしれませんが、その意味を知るとなるほどそういう場所だったのかと納得できるものが沢山あります。
逆にマオリ語の方が分かり易いと思うこともあるかもしれません。
そこで、NZ各地の地名をマオリ語で調べて特集してみました。
その第一回目は北島の地名を紹介します。
地名によく使われている言葉
地名について説明する前に、場所の名前によく使われている単語を挙げています。
単語の意味を知ると、地名の意味も理解しやすいと思うので目を通して見て下さいね。
ara (アラ)道
maunga(マウンガ) 山
moana (モアナ) 海
nui (ヌイ) 大きい
one (オネ) 泥、砂、海岸
puke (プケ) 丘
roto (ロト) 湖
wai (ワイ) 水
whanga (ファンガ/ワンガ) 湾
whenua (フェヌア) 土地、国
ニュージーランド Aotearoa
まずはニュージーランドの国名について簡単に説明します。
ご存じのように、ニュージーランドは マオリ語で Aotearoa ( アオテアロア ) と呼ばれ、「白い雲が長くたなびく地」を意味します。
Aotearoaと呼ばれるようになったきっかけは、今からおよそ1000年ほど前に、ポリネジア諸島から巨大タコを追いかけて大航海をしている探検家 Kupe ( クペ ) の妻がニュージーランドを見つけ、「白い雲が長くたなびている」と発したのが始まりだと言われています。
詳しくはこちらをご覧下さい。
北島 Te Ika a Māui
そして今回特集する北島は、Te Ika a Māui ( テ イカ マーウイ)と呼ばれます。
Te Ika a Māui は、「マウイのさかな」を意味し、マウイが兄弟と釣った大きな魚が北島を作ったというマオリ神話に由来しています。
詳細についてはこちらをご覧ください。
北島 Te Ika a Māui 各地の地名
では、北島の各地の地名です。北から順々に挙げています。
▼ Northland : Te tai Tokerau
(テ タイ トケラウ)「北の海岸」
tai : 海、海岸 tokerau : 北
- Cape Reinga:Te Rerenga Wairua
(テ レレンガ ワイルア )
「霊が飛び降りる場所」の意味。
岬、 cape は、死者の魂が黄泉の国に入ると信じられている。

© Shellie via Flickr
- Bay of Islands: Ipipiri ( イピピリ )
「漁を捕る、泳ぐ、のんびりするなど楽しめる場所が沢山」の意。 - Russell: Kororāreka ( コロラーレカ )
「美味しいペンギンの場所」の意。
Kororā: ペンギン、reka 美味しい - Waitangi ( ワイタンギ)
「流れる/騒々しい」近くの滝の音を指す
wai 水 tangi 流す - Kaitaia ( カイタイア )
「豊富な食べ物」
Kai 食べ物 tataiaきちんと準備されている
- Whangārei (ファンガレイ/ワンガレイ)
幾つかのいわれがある。
・Te Whanga-o-Reitū / Te Whanga-o-Reipae
( ファンガレイ オ レイトゥー / レイパエ )
「二人の姉妹、レイトゥー / レイパエの湾」
whanga 湾
・Whanga-rei
「待ち伏せの場所」
ここでは whanga は待つ、rei は奇襲攻撃を意味する
・Whangārei-te-rerenga-Parāoa
「鯨の集まる場所」rerenga 泳ぐ Parāoa 鯨
▼ Auckland : Tāmaki-makau-rau
(ターマキ マカウ ラウ)「万人に望まれる地」
肥沃で、また北と南を結ぶ水路の中心地であった事から。
Tāmaki 密集地帯 makau 好意 rau 百

- Whangaparāoa ( ファンガパローア)
「海洋生物の楽園」 whanga 湾 paraoa 鯨 - Rangitoto (ランギトト)
Ngā Rangi i totongia a Tama te kapua の略
「血に染まった空」
先祖のTama te kapuaが他の部族との争いに負け大傷を負った事から。
rangi 空 - Pukekohe ( プケコへ )
Puke kohekohe の略 「コヘコヘ木のある丘」
Puke 丘 - Manukau ( マヌカウ )
「鳥が集まる場所」の意。manu 鳥、kau 水を渡る
▼ Waikato (ワイカト)
「流れる水」wai 水 kato 流れる
- Hamilton : Kirikiriroa ( キリキリロア)
「(ワイカト川に沿って)長く続く小石」
kirikiri 小石 roa 長い - Taupō (タウポー) Taupō-nui-a-Tia
(タウポー ヌイ ア ティア)
「(タウポ湖を発見した探検家の祖先) Tia の大いなる衣)」Taupō 衣 nui 大きい - Totangariro (トンガリロ)
「南風」Tonga 南 riro 運ばれた
- Ruapehu ( ルアペフ )
「騒々しいくぼみ」
rua 二つ pehu 大きな音を立てる
- Ngauruhohe ( ナルホヘ)
「熱い岩石を噴出する」の意
▼ Bay of Plenty : Te Moana a Toi
(テ モアナ ア トイ )「トイの海」
moana 海 toi 先祖の名前 Toi Te Huatahi の略
- Rotorua ( ロトルア)
「(祖先で探検家のIhengaによって発見された)2番目の湖」
roto 湖 rua 二番目の
- Tauranga (タウランガ)
「安全な停泊所」
▼ Gisbourne :Tūranganui-a-Kiwa
( トゥーランガヌイ ア キワ )
「(探検家の祖先 ) Kiwa が辿り着いたTūranganui 川
▼ Taranaki ( タラナキ)
「雪で輝く山頂」tara 山頂 naki 光り輝く

Mt taranaki © Jeremy Taylor
▼ Manawatū-Whanganui :
( マナワツーーファンガヌイ)
Manawatū 「心留る川」
先祖のHaunui-a-Nanaiaが妻を探している時にマナワツ川を見て思わず立ち止まった事から。
manawa 心 tū : tatūの略で止まる
whanganui 「大きい湾」whanga 湾 nui 大
- Palmerston North Papaioea (パパイオエア)
「なんと美しい!」の意。manawatu川を表現したもの。
papa 場所 ea 水上
マオリ神話に由来。北島を形成したと言われるマウイが捕えた大きな魚の顎がこの辺りになることから。
matau 釣り針 Māui
- Napier Ahuriri ( アフリリ )
潟へ入る航路を築いた先祖 Ahuriri ( アフリリ )を表敬して。
「きらめく水」wai 水 rarapa 光る
- Masterton Whakaoriori (ファカ オリオリ)
「動かす」の意。whaka ~する oriori 動く
二通りの呼び方がある
「(ウエリントン湾を発見し最初に住み着いた)タラの大きな湾」
ウェリントン湾にイギリスからの入植者が付けた名前Port Nicholson ( ポート ニコルソン) をマオリ語風に発音したもの

- Kāpiti ( カーピティ )
Te Waewae-Kapiti-o-Tara-raua-ko-Rangitane の略で、
「二つの異なる部族 Ngai Tara と Rangitane の境」の意。 - Porirua ( ポリルア )
「潮が(湾を挟んで住んでいたマオリ部族と入植者の)どちら側にも満ち引きする」の意
あとがき
これまで北島のマオリ語の地名を説明してきました。
なるほどそうだったのかと思っていただければ、幸いです。
次回は、勿論、南島 Te Wai Pounamu の地名について説明します。
乞うご期待を!
Ngā mihi
Wonderer