『 モアナと伝説の海2 』ポリネシア文化を美しく再現!でもガッカリ。。。★★★

Kia ora

2016年世界中で大旋風を巻き越したウォルトディズニーの大ヒット映画『モアナと伝説の海』が続編として戻ってきました。

その『モアナと伝説の海2』を、ニュージーランドで観客として鑑賞した感想を紹介します。

ジャンル:アニメーション/制作会社:ウォルトディズニー
製作国:アメリカ合衆国/言語:英語(日本語吹き替え)/上映時間:100分
監督 :デイブ・デリック・ジュニア
音楽   :アビゲイル・バーロウ, エミリー・ベアー, オペタイア・フォアイ, マーク・マンシーナ
日本版声優 : 屋比久 知奈 (モアナ), 尾上 松也 (マウイ), 小関裕太 (モニ), 鈴木梨央 (ロト), 山路 和弘 (ケレ), ソニン (マタンギ), 増留優梨愛 (シメア)
日本公開予定日:2024年12月6日(金)

『モアナと伝説の海』の最初の映画から3年後の設定。
すっかり成長したモアナはポリネシア航法の達人となり、海のうねりや夜空の星を読みながら周囲の島々を探索している。その目的は、他の島の人々と繋がること。

そんなモアナは、ふとしたきっかけで実際に海の向こうに人々がいることを知る。そしてその人々が住んでいる島には呪いがかけられていることも。もしかしたら生きては帰れないという覚悟を決めたモアナは仲間とともに旅に出る。

ニュージーランドに住むサモア人が脚本に参加したとあって、ポリネシアの人々の航海術や文化が細かく描写されています。
そして、自分たちの祖先を、他の島の人々を知るために航海するという筋書きも、ポリネシアならではの自然な流れでスムーズな展開です。

同じポリネシア諸島でも、西洋人の観点から描写され茶番劇に終わってしまった『アバター2』と違い、さすがディズニーだと思いました。

そして勿論アニメーションもとてもきれいで、特に島のまわりの水面の描写は何度見ても飽きません。
と、最初の30分くらいはとてもわくわくしながら観ていたのですが。。。

モアナが航海の旅に出てからは全く逆で、何をいわんとしているのか解りかねるシーンの連続でした。

その理由として、
新たに加わったキャラクターが多くて、目障りと言ってもいいほど。特にロトはいなくてよかったと思います。
そして、怪獣の種類や数も、また怪獣との闘いのシーンも無駄に多いです。『アラジン』や『リトル・マーメイド』を思い出させるエンターテインメント的な要素が入っているからなのでしょうが、あまりにも現実からも本論からもかけ離れていて子供だましに思えました。
例えば人食いサメなど、実際に航海中に出会う苦難と闘えば、筋書と同じで現実に忠実でメッセージ性も高くなったと思います。

そして音楽。どれも良く出来た曲なのでしょうがあまりインパクトがありません。
最初の映画のリン=マニュエル・ミランダが作詞作曲した主題歌「How Far I’ll Go/どこまでも」やマウイの歌『オレのおかげさ』のような軽快さに欠け、映画館を出た後に自然に口ずさむようなことはまずありません。
一緒に観賞した自身の15歳の子供がしきりに残念がっているほどでした。

続編に第一話と同じあっというな新鮮さを求めるのは無理だと分かっていても、筋書きの質や全体のクオリティーは高いだけに、商業的な欲張り感が見えて、とても残念。★★★

封切日の翌日の金曜日の夕方に『モアナと伝説の海2』を家族で鑑賞しました。
観客の半数近くはポリネシア系の人々で、中にはモアナにドレスアップした小さな女の子もいて、上映中はとても盛り上がりました。

新しい登場人物に批判的なコメントを書きましたが、おじいさんのケレは別です。特に「農夫がココナッツに殺されるなんて!」のケレのセリフには観客席は爆笑の渦でした。
実際にポリネシアでは、たまに木から落ちたココナッツの実にあたって死ぬ人がいるんですよ。

こうしたポリネシアならではのジョークや慣習、そしてポリネシア航法の他にも、登場人物の一人マウイもニュージーランドに深く関わりがあります。ニュージーランドに興味のある方にも『モアナと伝説の海2』はお薦めです。

ちなみにモアナの父親とモトュヌイ島の酋長の声は、ニュージーランドの名画『 Once Were Warriors 』を主演した Temuera Morrison ( テムエラ・モリソン)が演じています。
日本語吹き替えでなくて英語版を観る人は注意して聴いてみてくださいね。

Ngā mihi
wonderer

ABOUTこの記事をかいた人

1997年にNZに渡航。以来住み心地がよく現在に至る。旅行、ホテル業界を経て現在は教育業界に従事。 趣味は、ガーデニング、アートと映画鑑賞、夏のキャンプ旅行。 パートナーと中学生娘とウェリントン在住。